ダンジョンに挑む
今日と明日は理由もなく二話投稿。
こちらは本日二話目。
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冒険者になってから二週が経過した。だけど、僕はまだ一度もダンジョンに入っていない!
さすがにのんびりしすぎかな。もちろん、だらっと過ごしていたわけじゃないけどね。
毎日、地道に薬草採取の依頼をこなしていた。他に依頼を受ける人がいないせいか、それとも幸運が高いせいか。理由はよくわからないけど、薬草の群生地が簡単に見つかるんだよね。おかげで、日に銀貨5枚は稼げる。もう薬草採取だけで食べていける気がするよね。需要と供給のバランスがあるだろうから、いつまでも稼げるわけじゃないんだろうけど。
ギルドの講習も受けた。僕が受けたのは短剣の講習と解錠&罠解除の講習。短剣の扱いはともかく解錠と罠解除はそれなりに上達した。もちろん、極めるにはまだまだ時間がかかるだろうけどね。
今のステータスはこんな感じだ。
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名 前:トルト
種 族:普人
年 齢:12
レベル:1
生命力:15/15
マナ量:13/13
筋 力:6
体 力:8 [1up]
敏 捷:12
器 用:14
魔 力:12
精 神:10
幸 運:100
加護:
【職業神の加護・迷宮探索士】
スキル:
【運命神の微笑み】【短剣Lv2】[new]
【解錠Lv5】[4up]【罠解除Lv5】[4up]
【方向感覚Lv1】
特 性:
【調理の才能 Lv1】【強運】【器用な指先 Lv1】
【魔法の素養 Lv2】
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あとは、ダンジョンで必要そうな道具はある程度揃えた。カンテラに包帯、それと革袋の水筒にロープ、その他いろいろだ。
本当は武器とか防具も欲しいんだけど、やたらと高いんだよね。レザーアーマーでも大銀貨3枚。銀貨だと30枚だね。無理をすれば買えなくはないけど、一旦購入は見送った。もう少し余裕ができたら、買いたいところだね。
魔法のスクロールも高い! 消耗品なのに、初級の魔法でも銀貨5枚する。だけど、魔法習得のためと思って二つ購入した。〈クリーン〉と〈ファーストエイド〉のスクロールだ。〈クリーン〉が汚れを取り除く魔法。冒険者活動に汚れはつきものだから、割と必須レベルの便利な魔法だ。冒険者以外にも人気が高い。〈ファーストエイド〉は応急処置程度の治療魔法で、効果はそれほどでもないけど、打ち身程度ならすぐに治るみたい。
そんな感じで準備は万端だ。いや、ちょっと嘘かも。本当はパーティーに入れてもらいたいと思ってたんだよね。そのために冒険者たちが集う酒場にも足を運んでみたんだけどさ、どうもベテランっぽい人ばっかりだったんだ。「仲間に入~れて」って気軽に言える感じじゃなくてすごすごと帰ったよ。
そんなわけで一人だけど、第一階層を様子見するくらいなら平気かなっと思って、ついにやってきましたダンジョン入口!
どんなものかと思ったけど、ギルドの出張所とかもあってずいぶんと賑やかだね。待機中の冒険者たちも結構いる。打ち合わせでもしてるのかな?
僕みたいな駆け出し冒険者らしきパーティーも見つけた。三人パーティーみたいだから、僕が加入する余地は十分にあると思う。声をかけてみようかな?
なんて、まごまごしているうちに、そのパーティーはダンジョンに入っちゃった……。
まあ、いいや。
もともと、今日はソロで挑戦するつもりだったんだから。予定通り、予定通り。
ダンジョンの入口は洞窟そのもの。だけど、中は外とは別の空間になってるみたいだ。ダンジョンによっては中に森があったり、溶岩地帯があったりらしい。意味がわからないよね。もしかして、ダンジョンマスターみたいなのがいて、階層とかいじってるのかもしれないね。噂話を集めた範囲では、そんな情報なかったけど。
ともかく、だ。
僕はダンジョンを入ってすぐの緩やかな下り階段をゆっくりと下っていく。入口から差し込む光は既にやや頼りない。カンテラを取り出して火を付けた。左手が塞がるけど、仕方がない。一応、腰のベルトに引っかけることもできるけど、低い位置から照らすことになるので、照らす範囲が狭まる。一長一短だ。
長めの階段を降りきると、周囲の雰囲気が変わった。さっきまでは天然の洞窟って感じだったけど、ここは人工の迷宮って感じ。床が凸凹していない分歩きやすいけど、似たような壁が続いているから、何度も曲がっていると迷子になってしまいそう。
まあ、この階層は既に調査し尽くされているから、曲がり角にも目印が打ってあって、迷うことはないみたいだけどね。世の中には変動ダンジョンと言って、たびたび内部構造が変わるダンジョンもあるみたいだけど、ここのダンジョンではそういった現象は確認されていない。初心者にも優しいダンジョンだね。
調べ尽くされたダンジョンに潜る意味はあるのかというと、もちろんある。じゃなきゃ冒険者たちが集まるわけがないよね。
どういう原理だか知らないけど、ダンジョンでは定期的に魔物と宝箱が湧くんだ。魔物が落とす素材は貴重な資源だし、宝箱を見つけたら超ハッピーなのは言うまでもない。だから、冒険者たちも集まってくるわけだね。
僕の目的も同じだ。特に宝箱! 魔物に比べて、宝箱が出現する確率は低いみたいだけどね。そこは僕の幸運でなんとかならないかなと期待してる。
適当に通路を進んでいくと、暗がりの向こうからゲヘゲヘという声が聞こえてきた。魔物……だね。
カンテラで照らしているわけだから、僕のことには気づいているはず。奇襲は無理だね。カンテラを地面に置いて、戦いの準備をする。
やがて現れたのは、小柄な人型の魔物。手には棍棒のような武器を持っている。しかも、その数は三体!
僕の幸運、ちゃんと仕事してます?
おそらく、あれはゴブリンだね。この階層に出る魔物は事前に調べてある。できれば鑑定で能力を確かめて見たいけど、さすがに悠長に鑑定ルーペを覗いている暇はない。こういうとき、鑑定ルーペはちょっと不便だ。
ちょっと数が多いけど、それでも戦えない相手ではないはず……!
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