そろそろ準備OK?
さて、能力の確認はできた。
やっぱり、鑑定ルーペは使えるアイテムだね。運良く手に入れ……じゃなかった、借りることができてよかったよ。
他にも使えるものはないかなと、小屋の中を探すと、謎のズタ袋を見つけた。中身は子供用の服にナイフ、干し肉が少々になんと銀貨が20枚!
これって僕のためのもの、だよね?
元ご主人が用意してくれたみたい。凄く良い人だね。そんな人が違法奴隷に手を出すなんて、よほど追い詰められてたんだろうなぁ。娘さん、元気になるといいね。
ズタ袋の中身はありがたく頂戴しておく。うん、ルーペは返すよ。うん。
服を着替えて小屋の外に出る。まだ明るいけど、そろそろ日も傾き始める頃だ。出来れば暗くなるまでに食べるものを確保したい。干し肉が手に入ったから、少し気が楽だ。たけど、保存がきく食べ物は出来れば残しておきたいよね。
あと、水分も必要だ。水場があればいいんだけど……。まあ、果物とかあれば、どうにかなるかな?
武器になるのはナイフくらいだ。戦いとなると、心もとない。魔物と遭遇したら、逃げたほうがいい。右足がうまく動かないから、それも難しいんだけど。
この世界、魔物もいればダンジョンもある。前世でよくやったゲームみたいな世界なんだよね。スキルもあるし魔法もある。それだけ聞くとワクワクしてくるけど、危険も大きい世界だ。そのことは既に身を以て知っている。ダンジョンで囮にされたときは死んだと思ったからね。
でもなぁ。
冒険者、憧れるよね!
そもそも、この世界で危険なのは魔物だけじゃないんだよね。治安は悪いし、野盗の類が普通にいる。そう考えれば、最低限の自衛くらいはできるようになっておきたい。冒険者の訓練所みたいなところ、あるのかな? どこか街にたどり着けたら、ちょっと覗いてみよう。
こんなことを考えながら森の中を探索していると、草むらに赤い実を見つけた。鑑定ルーペで確認すると、スイートベリーという名前だった。食用だ。
一粒摘んで、口に入れてみた。思ったより酸っぱいけど、微かに甘みもある。何より瑞々しくて美味しい!
僕は夢中になってベリーを摘んでは食べた。それなりにお腹がいっぱいになったところで、ちょっと冷静になる。あと数日は小屋に留まるつもりなのだ。何も考えずに食べ尽くすのはまずい。
でも、その心配は杞憂だった。この辺りはスイートベリーの群生地のようだ。少なくとも数日間では食べ尽くせないほど、たくさんのベリーがなっていた。しばらくは食べる物に困ることはなさそうだ。ベリーだけだと飽きてしまいそうだけどね。でも、僕は平気だ。これでも奴隷経験者だからね。新鮮なベリーなら上等な食事だ。
■
小屋に留まって4日が経過した。パンドラギフトは全て開封済みだ。運の良いことに4度ともアイテムが手に入った。たぶん、何度かは【運命神の微笑み】の効果が発動していると思う。
入手アイテムその一は、欠損治療ポーション!
普通の治癒ポーションは傷を塞ぐことはできるんだけど、失った部位が生えてきたりはしない。そういうときに使うのが、この欠損治療ポーションなんだよね。まさに僕が欲しかったアイテムだ。もちろん、すぐに使った。
というわけで、僕完全復活!
眼球も復元したし、右足もスムーズに動く。そのおかげか、鑑定したときの能力値も少し上がっている。
入手アイテムその二は、収納リング!
異空間にアイテムを収納できるマジックアイテムだね。どのくらい収納できるのかは今のところ不明だ。この小屋には大してものがないからね。鑑定したときの品質ランクがCだったから無限に収納できるとかいうことはないと思う。
収納リングには収納したアイテムに時間経過があるものとないもの二種類があるみたいだけど、この収納リングは時間経過がないタイプだ。2、3日収納しておいたベリーは新鮮なままだった。これは大変ありがたい!
とっても便利なアイテムだね。治安が悪い世界だとなおさらだ。貴重なものを持っていると野盗なんかに狙われてしまうから、収納リングでこっそり持ち歩けるのは都合がいい。問題は収納リング自体が貴重なアイテムだってこと。腕輪タイプだから、スリに遭う心配はないと思うけど……。まさか、腕ごと持っていかれたりしないよね?
心配だから奴隷のとき着ていたボロ布を巻きつけて隠している。
入手アイテムその三は、魔法の砥石!
この砥石で刃物を研ぐと、切れ味が増すみたい。劇的な効果があるわけじゃないけどね。試しにナイフを研いでみたら、品質がDからCに変わった。効果があるのは間違いない。もっとも、まだナイフを使ったことがないから、この違いがどの程度なのかはわからないけどね。
そして、最後の入手アイテムは才能の実!
才能の実はステータスの特性を開花させるアイテムみたいだ。今回手に入れた才能の実は【魔法の素養Lv2】が開花する実だった。もちろん、すぐに使った。
これで僕にも魔法が使える!
……と思ったんだけど、素養だけあっても駄目みたい。魔法をどうにかして覚えないといけないんだろうな。どうやら【魔法の素養】は【調理の才】の魔法版みたいだ。成長速度や精度とかが上がるけど、なければ魔法が習得できないというわけじゃなさそうだ。
現在のステータスは、こんな感じになった。
―――――
名 前:トルト
種 族:普人
年 齢:12
レベル:1
生命力:15/15
マナ量:13/13
筋 力:6
体 力:7
敏 捷:12 [4up]
器 用:13 [1up]
魔 力:12
精 神:10
幸 運:100
スキル:
【運命神の微笑み】
特 性:
【調理の才能 Lv1】【強運】【器用な指先 Lv1】
【魔法の素養 Lv2】[new]
―――――
よしっと。
パンドラギフトは全部開封したし、収納リングにスイートベリーも溜め込んだ。この小屋でできそうなことは終わったかな。
明日、ここを出て街を目指そう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます