夢が叶う日記を手に入れても幸せになれるとは限らない
るるかチャンネル
夢が叶う日記を手に入れてもずっと幸せでいられるとは限らないよね
もう死のう。
小学生6年間・中学3年間
9年間で友達と呼べる人物と一人も出会うことが出来無かった。
友達は少なくてもいい。本当に信頼できる友達がいれば。
そんなことを言える奴は幸せだ。
俺には親友と呼べる友達も、休みの日に遊ぶ友達すらいない。
理由はかんたん。俺の【醜い顔】
本当に小さい頃に、実家が火事になった。
その時、顔に重度の火傷をした。
俺の子供時代は地獄だった。
子供は正直で残酷な存在。小学生の頃が一番キツかった。
俺の顔を見る同級生は怯えて逃げるか、バケモノ扱い。
嫌がらせのオンパレード。
ただ小学5年生の時に、日常になっていた嫌がらせを受け、我慢の限界を迎えた俺が暴れて嫌がらせの主犯格をボコボコにした。
バケモノ顔で主犯格をボコボコにしてる俺を見た周りは、全員血の気が引いたようにビビりまくって。
その日以来、嫌がらせをされることは無かった。
嫌がらせは無くなったが、誰も俺の周りには近づかないオマケ付きだけどな。
そんな一人も友達が出来ることなく過ごした6年間。
中学生3年間もイジメから始まり…。卒業する時には、何故か結果的には小学生時代と同じように勝手に怯えられる存在になっていた。
高校は義務教育では無かったので、行かなくても良いとも思ってたけど、両親がそれを許してくれなかった。
中学3年間遊び相手も、喋り相手すらいなかった俺は暇潰しで勉強をしていたので、人並み以上に勉強は出来た。
地元ではそれなりに偏差値が良い高校へ進学。
そして入学から3ヶ月。
偏差値が高い学校へ進学したのが幸いしたのか?
小学校・中学校の頃のようなイジメは無かった。
ただ、俺は存在しない。そんな扱いを受けた。
本当に悪口などを言われる事も無く、ただ存在しないように扱われた。
もう俺が何の為に存在しているのか?
この顔でいる限り一生こんな対応を受けるのか?
バカ・デブ・不細工など馬鹿にされる人間が羨ましい。
本当に酷い顔をした人間はそんな言葉すら掛けられない。
【だから今日死のうと思う】
死ぬ時には人に迷惑を掛けたくない。
自転車で2時間掛けて、自殺の名所になっている崖に来た。
自殺の名所と言われるこの崖は飛び降りたら最後、海流の関係で死体が見つかり難いらしい。
本当に見つかり難いのかは分からないが、これ以上良い死に方は思い浮かばないので仕方ない。
両親宛には手紙を残してきた。
別にイジメられたから死ぬとか、人生に絶望したから死ぬとか。そんな湿っぽいことは書いてない。
【今まで本当にありがとうございました。】
自殺することに関しても一切触れてないけど、本当に死体が見つからなければそれでいいと思ってる。
両親には迷惑しか掛けてないから。
あの崖から飛び降りれば、俺の16年間の地獄のような人生が終わる。
危険注意の看板を越えて…。
柵を越えて崖から飛び降りようとした瞬間。
『バコっ』
何処からともなくノート?が飛んで来て、俺の頭に直撃した。
何だこのノートは?手に取ると頭に直接イメージが流れ込んで来た。
【このノートに明日起こって欲しい事を、その出来事が起きた目線で日記として書け】
【何でも願いを叶えてやる】
【願いを叶えても死にたければ死ね】
何だ?この頭に浮かんだイメージは?
日記を書けば願い叶う?この死ぬ間際に、悪魔の囁きは何だんだ。
死ぬのを躊躇しちゃうじゃないか。
後数歩前に出れば死ねる…。
ただ、この何とも言えない状態で死ぬ気にはなれない。
柵を外側から再度超えて、自転車を放置した場所まで戻ってきた。
こんなノートに日記を書いたからって何かが変わるとは思えないけど、何故か気づけば俺は日記を書いていた。
明日起きて欲しいことを起きた目線で日記形式で書けば良いんだよな?
『自殺を諦めて帰ってきた俺は、昨日帰宅後すぐに寝てしまった、そして起きたら奇跡が起きていた。長年悩んでいた顔の火傷が治っていた。』
我ながら、変な内容だが『顔の火傷』が治ればいい、それだけで俺の人生は変わる。
そんな気持ちで日記を雑に書くと、もう帰る予定は無かった家に自転車で帰宅した。
帰る事を考えてなかったから遠目の自殺の名所を選んだのに、帰りも2時間掛けて帰宅。もう足がパンパンだ。
日記の通りに疲れ果てた俺は眠ってしまった。
そして起きると、奇跡が本当に起きていた。
あの火傷で醜かった顔から火傷が消えていた。
ノートに書いた日記通りになっていた。
何だこのノートは?
本当に願い事が叶うノートなのか?
しかも、このノートには使用回数などが記載されていない。ノートの白紙ページ自体は、まだまだある。
顔の火傷が治った俺は、翌日以降の日記も書きまくった。
今まで何も手に入れることが出来なかった反動は凄かった。
1週間後には、今まで欲しかった全てが手に入った。
『火傷の無い顔』『楽しく話せる友達』『彼女』
夢が叶うノート何だから、もっと色々な使い方があるだろって突っ込む奴もいそうだけど、俺の幸せはコレで十分過ぎる。
正直、友達と彼女をこのノートの力で手に入れたことには罪悪感がある。
ただ日記には。
『気が合う友達が出来た』
気が合う人と友達になるように記載していたり。
『今の俺を好きだと思ってる人から告白された』
流石に【火傷状態の俺を好きだと思ってる人】では無理だと思ったけど『今の俺を好きだと思ってる人に告られたい』にしたら。
隣の席の瑠奈ちゃんから告白されて付き合うことになった。
強要するような文章は記載していない。それでもこのノートの力が無ければ実現出来なかったのは間違いない。
ほんの1週間前まで死にたかったことが嘘のような幸せな生活
最近はノートに具体的なお願いはしていない。
『今日も一日幸せだった』
これは既に日記でも何でも無いけど、これが一番良い気がする。
実際問題これを毎日書いてるから幸せなのかも知れない。
…3ヶ月後。
あれから、ずっと幸せな生活が続いている。
ただ、あれだけ白紙があったノートも残りの白紙ページはわずか数ページ。
毎日『今日も一日幸せだった』と書くのが日課だったのに、後数日で書けなくなってしまう。
俺に久々の不安が押し寄せてきた。
このノートがなくなった時は俺はどうなってしまうのか?
また以前のように火傷が戻り、死にたくなるような学生生活が戻って来るのか?
そう考えると居ても立っても居られずノートを拾った自殺の名所へ、また自転車で向かっていた。
崖に到着!!速攻で自転車から降りて危険注意の看板を超えて…。
柵を越えて崖の先へ。
前回はここで突然ノートが現れた。
今回も同じようにノートが現れるのを待っていると…。
頭に直接、前回同様にイメージが突然流れ込んで来た。
【人間は本当馬鹿だな。あれだけ願いを叶えてやったのにまだ死にたいのであれば死ね】
え?俺はもう死にたいわけではない。
ずっと幸せでいたいから、ココに再度来ただけだ。
「前回も伝えただろ」
怠そうで生意気な感じの声が直接頭に響く
「願いを叶えても死にたければ死ねと、伝えただろ」
「つまり死にたければ戻って来いってことだよ」
「こんな場所に死にたくない人は来ないでしょ」
「そして、この場所に再度帰って来るような死にたがり屋さんには、願いを叶えた代償も含めて魂を頂きます」
だから俺は…。俺は言い切る前に意識がブラックアウトした。
「アンタの意見は聞いてないよ」
「再度戻ってきたら魂を頂く、それだけ」
この崖で自殺しようとすると悪魔の囁きが聞こえるらしい。
そんな都市伝説があるとか?無いとか?
夢が叶う日記を手に入れても幸せになれるとは限らない るるかチャンネル @rurukada
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