第5話 天才治癒師は思い出す
僕の頭の中に映るイメージは不可思議な物ばかりだった。
全く見た事も無い建物に見た事も無い服装の人間達がいっぱい歩いている。
歩いていると全く見た事も無い大きなお城に入って行き、人がいっぱいいる部屋に入り、そのままロッカーに荷物を入れて、白衣を着る。
あれ?
ロッカーって何だろう?
知らない筈なのに僕は知っている…
いろんな病室に入り、多くの医師や看護師の中に混ざり、いろんな患者の様子を見に行き、一人一人回診して行く先頭の人物を見ながらへらへら笑いながら付き従う。
総回診が終われば医局で今日の手術の予習をする。
一日何件も手術の予定があり、日々精神を削られる毎日を過ごしていた。
この日も僕はいっぱいいっぱいになりながら手術をこなし、多くの人の命を救った…
患者の家族からは感謝されるがそれ以外誰からも感謝されず、褒められず、また新しい手術予定を組まされまた手術する…
自分の命を削りながら…
今の自分と一緒だ…
一生懸命頑張ってるのに誰も褒めてくれず、でも自分の役目と思って一生懸命いろんな人の命を救った…
見ているだけで苦しくなった…
一日の業務が終わるとまたロッカー室に向かい荷物を持って帰ろうとすると、先輩が近寄ってきて飲みに誘われ、断れず行く羽目になる…
今日は朝から夜までに急患を含めて6回手術したから身体も精神もボロボロだから帰りたかったのに…
やっと地獄の十連勤終わって休みになったから昨日患者の親に貰った高級そうな洋菓子を食べながらラノベ読みたかったのに…
ふらふらの体に鞭打ちながら苦手な酒を無理矢理流し込んで、先輩を煽まくった。
身も心もボロボロで逃げたくなった…
でも、自分に助けを求める患者が居るから外科医を辞める事が出来ない…
辞める事は出来なくても僕はもうとっくに限界が来ていた…
僕は三次会まで付き合って、更にボロボロになりながらやっと家に帰宅した…
やっと眠りにつける…
やっと現実から離れられる…
もう目覚めたくない…
そう思っていたら僕は二度と目を覚さなくなった。
そう…これは僕の前世の記憶だ…
なんてくだらない人生なんだろう…
好きな事も出来ず、ただ言われるがまま仕事するだけのしょうもない人間…
まさに今世の僕だ…
僕は新しい人生を歩んでいると言うのにまた同じ様な生き方をしているのか?
もうこんな生き方をするのは嫌だ!!!
僕は自由になりたいんだ!!
誰かに縛られる事も無く、自分の好きな事をして、好きな物もいっぱい食べて、憧れのザイードの様に誰かを助けながら自由に生きていきたい!!
『自由に生きれば良いんやない?』
へ?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます