第75話
「おい、あちこちからいろんなモンスターの鳴き声が聞こえてくるぞ……?本当にこんなところに住んでいるのか?」
「まだ俺の住む家は先だよ。そこに行くまではいつ襲われてもおかしくない。グランドボアに襲われたのも森の中だったからな」
俺たちはかなり慎重に森の中を進んでいた。
いつ襲われてもおかしくない状況に、ジャン達はかなりビクビクしていた。
そうして歩いていると、遠くの方からオオカミのような遠吠えが聞こえてきた。まさか、オオカミ型のモンスターもいるのだろうか……。
「なあ、今の鳴き声ってどんなモンスターかわかるか……?」
俺がジャンにそう尋ねるために振り向くと、3人とも足を止めてしまっていた。
「どうしたんだ?」
「かなりまずいぞ……。今のは多分ルーヴ系のモンスターの鳴き声だ。大きい犬のようなモンスターなんだが、かなり凶暴で毎年何百人もの冒険者が犠牲になっている」
「そんなモンスターなんて今まで一度も見かけなかったぞ……?」
俺がいつも森を歩いていて見かけたのは小さい鳥のようなモンスターがほとんどだった。俺のことを襲ってきたのはグランドボアとアンフェルボアだけだったし……そのルーヴ系のモンスターっていうのは夜行性なのか?
「ルーヴが出るなんて聞いてないよ!一旦街に戻ろうよ」
アンネもルーヴが出ると分かってかなり焦り始めた。どうやら相当厄介なモンスターらしい。
「いや、おそらくだが多分俺の家に向かうまでの中間地点くらいにはきたと思う。戻る距離も同じになるし、このまま家に向かわないか?」
「そうだな……。しかしルーヴが出るとなったらあまりゆっくりしてられない。かなり急いだ方がいい」
そうして俺たちはかなり足早に家に向かうことに決めた。
しかし、遠吠えのような鳴き声は俺たちに段々近づいていることがわかった。
「もしかして俺たちの居場所がバレているんじゃないか?」
「……そうかもしれない。あいつらは離れた仲間同士でコミュニケーションを取るのにああやって鳴くんだ。おそらく、このままだと囲まれる。あいつらの厄介なところは群れで狩りをする点だからな」
「連携を取るなんて相当賢いんだな……っ!前にモンスターだ!」
俺がジャンと話しながら家に向かっていると、正面に灰色のオオカミのようなモンスターが3体ほど見えた。
身体は意外と小柄で、大型犬ほどの大きさしかない。
「アンネ!とりあえず魔法は使うな!音で居場所が完全にバレる可能性がある!」
「了解!」
すでにジャン達は戦闘体制に入っていた。
ジャンとクロードはルーヴというモンスターに向かうとあっという間に3体を仕留めてしまった。
「おい、そんな簡単に倒せるのになんであんなに焦っていたんだよ?」
「あいつらが作るのは100体以上の群れなんだよ!出来るだけ早く逃げ切らないと数の暴力で蹂躙される……後ろからも来てるぞ!」
ジャンは焦るようにそう口にした。
そうして、ルーヴというモンスター達との戦闘が始まってしまったのだった。
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