第69話

「ふむ……それは面白そうじゃのう!これはあれかの?お主も悪よのう……と言うやつかの?」


「どこから覚えてきたんだよそんなの……。でも面白そうだろう?国王が作物を欲しがっていても俺は今の家から動く気などさらさらないからな。いっそ俺を中心に物事を進めるべきだ。周りに振り回されるのはもう御免だからな」


 何も向こうに合わせる必要も無いんじゃないかと考えた。だって王都に行くメリット無いんだし。


「まあこの話も国の方が良いと言えばの話だからな。もしかしたら国王が怒って話は無し、ということもありえるからな」


「それもそうじゃのう。その話が決まったらイチゴの約束は守ってもらうのじゃ」


「ああ、もちろんだ。早速明日街に行って話してみるよ」


 そうしてカミラとの取引?が終わり、俺の意識は再び暗闇の中へと沈んでいった。




 翌朝。


 俺は目を覚まして体を起こした。

 昨日の夜、カミラと話した魔の森発展計画のためにも一旦街に行ってアルベールさんあたりに説明しなくてはならない。


「よし、今日こそ土を耕さないとな!ささっと作物の手入れだけ済ませてしまうか」


 そうして俺は育てている作物の手入れを始めた。

 コブルコは順調にツルも伸びてきたが、魔法の肥料を撒いた畝のような溢れるほどの葉が育つことは無かった。栄養がまだ足りないんだろうな。


「新品種の方は……なんとか持ち堪えたみたいだな……。良かった、このまま全滅するんじゃないかと思っていたからな……」


 雨が降り続いて芽が死んでしまった作物も多いが、残っている芽が無事成長し、5センチほどまで育っている作物もあった。

 このまま順調に育てば良いが……あまり雨が降らなければいいな。排水性が悪い土だし。


 そうして、畝に生えた雑草を抜くなどの農作業を終え、ようやく農地の拡大作業に移る事になった。


「とりあえずひたすら土を耕すか。それから新しい土と肥料を混ぜないとな」


 それから俺は朝食の時間まで土を耕し続けた。さすがに農業機械も無いのであまり広い範囲を耕せないが、晴れた日にコツコツと農地を広げていけば良いだろう。


 農作業がひと段落したところで、俺はパプリを外に連れ出して植物を食べさせて、その後自分も朝食を食べた。


「よし、今日は昼くらいまで農作業を続けるかな。街に行くのは少し遅れても良いだろう。俺の考えをアルベールさんに伝えるだけだし」


 アルベールさんに用件を言ったらすぐに帰ってこよう。


 そうして俺は昼まで土を耕し続けた。

 パプリも俺の近くにいるので放し飼いにしておいた。腹が満たされてるうちは相変わらずいい子なんだけどな。


「ふう……だいぶん耕し終わったぞ……?これで畝10本分くらいの広さになったんじゃ無いか?」


 すでに日が高く上り、ジリジリと日光が照りつける中ひと段落ついたところで一旦作業を中断した。

 とりあえず今日はこの辺にしておくか。


「あとは肥料を混ぜたいけど……どんな肥料があったっけ?」


 俺は耕した土に混ぜ込む肥料を購入するために『資材ショップ』を発動した。


 現れたタブレットで商品を探していると、数種類の肥料を見つけることができた。

 しかし、その商品名がなんとも怪しいものだったのである。


「……全部カミラ特製って付いてるんだけど……またチート肥料か??」


 あのロリのじゃ女神、また性能が高すぎるものを用意していないだろうな……?

 できれば地球にあるような肥料を用意して欲しかったが……まあ、とりあえず全種類購入してみるか。


 そうして俺は『資材ショップ』で肥料を購入する事にした。

 

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