第3話
「うおっ!!びっくりした!!」
いきなり目の前に現れたステータスプレートにかなり驚いてしまった。
「それがステータスプレートなのじゃ。ちなみに世界の全人類がステータスプレートを持っている」
「へえ……便利なものだな」
「よく見てみるのじゃ、色々数値が書かれておるじゃろう?」
カミラに言われて、ステータスプレートをよく見ると、さまざまな情報が記載されていた。
俺のステータスプレートに書かれていたものは以下の通りだ
【名 前】 コーサク
【年 齢】 18
【職 業】 なし
【レベル】 1
【体 力】 10
【魔 力】 10
【攻撃力】 10
【耐久力】 10
【素早さ】 10
【賢 さ】 10
【スキル】 なし
【経験値】 設定なし
「見てもあまりよくわからないな」
「体力や魔力なんていうのは成人男性の平均が10ほどじゃな。つまり、お主のステータスは平凡的な男のステータスなのじゃ」
「……こういう異世界転移?ってやつには他人を平伏すほどの圧倒的なステータス!なんていうのがテンプレなんじゃないの?」
平凡的なステータスで農業してて、魔物に襲われても何もできないじゃねえかよ。
「そう言うでない。お主の行く世界はシュクレーゼと呼ぶのじゃが、その世界では職業によって伸びるステータスも変わってくる。お主にはまず職業を選んでもらわねばならぬのじゃ」
「じゃあ職業は農家で」
「だからそう焦るでないと言っておろうが!職業は色々選べるのじゃから焦らずに決めるがよいのじゃ。これが職業の一覧じゃ」
カミラはそう言うと、何もないところから厚さ5センチほどの分厚い資料を用意した。
「……職業っていくつあるんだよ」
「わらわも全ては把握しておらぬ。何より数が多すぎるのじゃ。農業関連の職業もいくつあるか分からぬからな」
……じゃあその資料全てに目を通すしかないじゃねえかよ。農業関連の職業で良さげなものを見逃す訳にはいかないからな。
俺はそれから、かなりの時間をかけてカミラが用意した分厚い資料を片っ端から読み漁った。
◇
「……おぬしいつまで資料に目を通す気じゃ?」
「もうすぐ終わる。焦るなと言ったのはお前だろ」
資料を読み始めてから、どれだけ時間が経ったのかは分からないが、カミラの呆れた顔を見る限り、俺はかなり長い時間資料を読んでいるのだろう。
そんなこと知ったことじゃないけどな。
そうして、俺が資料の全てに目を通し終わった頃には、カミラの機嫌もかなり悪くなっていた。
「おーいカミラ、終わったぞ」
「いつまで待たせるつもりじゃ!……こんなことならさっさと農家にするべきだったのじゃ……それで?お主はどの職業を選ぶのじゃ?」
「俺が選んだのは『
俺は資料に含まれていた1枚の紙をカミラに見せつけるようにしてそう言った。
紙には錬金農家についての説明が事細かく書かれている。
「
「おそらくそうじゃないか?この資料にはスキルっていうのが書かれているが……スキルっていうのは職業によって決まるのか?」
カミラはこのスキルを見て、なぜか考え込むような表情を見せた。
「スキルは職業によって決まると考えてもよい。ごく稀に後天的にスキルが芽生えることがあるのじゃが、それについては考えなくてもよいじゃろう。しかし、『錬金』というスキルは錬金術師に現れるスキルじゃ。そして『
「この資料によると……農業に必要な情報を調べることができる、らしい。レベル1は土壌診断ができると書かれているが……レベルって?」
「スキルレベルのことじゃな。スキルを使うにつれてレベルが上がり、できることが増えていく。ほとんどのスキルはスキルレベルが存在するのじゃ」
カミラはスキルレベルについて俺に説明した。なるほど、そうするとこの『
「しかし……土壌診断なんて必要かのう?それこそ『農家』であれば畑を耕す速度や力を上げるスキルもあったはずじゃ。そういうのはいらぬのか?」
「だって初めて育てる植物ばかりなんだろう?少しでも情報が多い方がいいんだよ」
小さな情報でも、もしかすると作物の栽培に役立つかもしれないからな。
「まあお主が良いならそれで構わぬのじゃが……。ならば職業は『
「ああ、それで頼むよ」
俺がそう頼むと、カミラは何かを操作するように空中で指をスライドさせていた。
「……よし、ステータスプレートを開いてみよ」
しばらくすると、カミラがそう言ったので俺はステータスプレートを開く。
「ステータスオープン」
【名 前】 コーサク
【年 齢】 18
【職 業】
【レベル】 1
【体 力】 10
【魔 力】 10
【攻撃力】 10
【耐久力】 10
【素早さ】 10
【賢 さ】 10
【スキル】
錬金(レベル1)
【経験値】 0/50(作物の収穫数)
ステータスプレートを開くと、今まで『なし』と表示されていた職業に、『
「これで俺は農家になれるのか?」
俺はカミラにそう尋ねたが、カミラは俺のステータスプレートを見たまま動かなかった。
「おーい?カミラちゃん?戻っておいで?」
「……なんなのじゃお主の職業は!なぜ経験値が収穫した作物で増えることになっておるのじゃ!」
カミラはなぜか俺の職業についてご立腹のようだった。
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