嶋地凌ログ2

詞梳記(ことばとき)

節:拈圖

 稀有な羽根一環、綴る。免罪符。

 背の君は筒音を轟かせ広漠の暗褐色に盛りて、虚飾の共存を発症する。

 夭逝悶死、絶句。暗黙の試金石は服務に中り、服毒すべき。

 口腔を蹂躙する針や毬を空嘔、悪阻に近い畏怖を生み出す。

 つつ闇暮れ方満山の稜線が通解す。

 多弁な流星が惨禍を監視す耳朶の砌、暗愚の消光。


 幾許かの夢寐にも誘う 種子を穿いたら あれは口添える背の鈍い漢。個々は炮烙の業により近く白鷺。何れ沙羅に濃淡の明に夜の街に魅入る。正に年頃、蒼黒の鹿の子斑の連鶴が一癖 棚に上げ、手持ち無沙汰に生れ出る。鉛白の苑に浮かべ決壊する誤りを腹に据え、去すれば目眩く段々畑へ往こうかと訪う。

 音信を待つ合間 細面な怪異が逐次 挽歌とも齎すような即瑛を 憚りなく そのうちに どのみちも 肆が堆積して狂う。乙女は腐り愛児は爛れ 誰か名答もない。いましがた私から遊離した書き損じが あったであろう 視界の隅に かぶりをふり無下に聡う。なにものも啼く憐れに思え 只只蜘蛛の子を散らした。

 これは快報であるか、暗夜を漫遊し 推測された歩数を虚栄さすれば。渋色の散開はみごと清貧であったが 失言にも錯雑といたす。閉口した吐露は萌芽し 耳介に根を張り 回天を催したその末路を誰か潤色に韜晦した、祖の叡智を悉く追想して往くものどもとは、純白で爛漫である。影も形も危うい、誰何。

 黴臭い熱帯夜に感奮する。ぉお郷里よ。宵の口にあたり羸弱にも否を詫びる。氷解する情理もなく舌禍にも満たない。愚老にも僅か乱酔する有様を紐解いたこの装飾である。少しばかり天を覗いたものを この安楽 笑壺のことと。悪辣な捕縛にて凡て唾棄の法、これにて潮騒の残響、律動の羽音。可視化風声

 具に擲つ。それで補筆する不可解。烈日を圧砕し腐朽のものは滅却するかと問うと、それは逃避にも到らないと唯堅忍する。血腥い粗相を醸し残滓にも中らない。大志など在りはしない。浮氷した醜いもの、不始末に爛れる祖が我と云う灯を無駄に掲げる、跛行を征く善後策を講じた、樹齢に追従する転寝。

 幾夜、確証も無く隔離せざる負えない暗躍が漏洩するとして、愚弄にも物騒な丸裸にも糞度胸在り。標点の誓い 凶兆でも瑞徴でも 所謂案に相違して刹那的幸福感に左右される、後にして汚辱 そして呵責の源。その星影は我と躍るか、只只嚮導を図る 騒乱の若緑は夜耽けに、何事もなしに猛り哭く息吹と。

 鎮魂 往生 思慕、啓示しても嘗て。

悶々と飛来する黒白。群生した温温を服毒して迂闊にも垂涎を齎す。潮時が溶融する。術もなく腐敗した瞼で覗く 崩壊した口角で暗愚な懺悔を空嘔吐。某 面倒でも渇望の限りを游ぐ。赤心でも身の丈も知らず 畏まり粗相を兼ねている寓居に、我が魂は在るのだろうか。


 今し方芳墨を添え、朽葉色した無想から立ち返り、明記致した秋月の折折。

 虚栄にも欠損しておりました薬指にほど留まる、懊悩の胡蝶はほら 見事に羽化したようです。暗黙のうち保存されました久遠の獣欲、浅瀬を憤慨する肝胆を糠星と湛える、歔欷を清流に灯し深層に宵が、臥して涼んでいる薄墓詩。 

 盲愛、紺青の邂逅 獲て臙脂黙祷す。

 今時愚妹と色調を施す。

 希薄な蠢動は急度暗鬱でも片腕を遺し氏素性を、便宜にも鹵獲する いいや邪推であれ兢兢と結納を躱す。断髪、半身痩躯 瀞に沒む 凡ての潮時と……足蹴に瑕疵を喚び来たれ!

 四季折々に戯れと昇天す、徒花の暗示 賭しても此れは正夢には到らぬ!

 隻腕の浮氷 類似する微香 逃避した、残品。萌葱色の循環 黄昏の諸君 つきましては弓張月の残痕、そういうことでしょう。流浪の民は 病葉に語りかけ 易しくておると沙羅に浸した。見聞にある安息は輪廻を誤読し それでも、遊離した燐華は点されて逝くのです。いつだって崩壊する道端の愛歌を便りに。

 浮薄した舟の墓場から空言すら焼失す、腐敗した水疱が膨らんで爆ぜるときに、サイシキされる射影は跡形もなく忘失するはずだった。然し蔓延る蠕動は糜爛を孕み ふしだらな骨格で溺れ、はて、そのものら凄艶を含ませ 泥濘に堕ち伏した。

 慢心と憂悶は苦海の朱墨を嗾け、土塊と化す華燭の展を披かす。

 祖の碑を知るのか 蘇の翳を見たのか。

 灘を乗り切るには苦海に身を置き癒着した赫を落とさねば成らない。

 愚劣にも忽せ黒白を目論む 然すれば鯨の髭にも満たぬ 唯空乏に裂かれた海月と胸に有る。随想に転記する陰惨たる懺悔 滞る事無く繰り返される。栄枯に明け暮れる強欲の華発 虚栄にも露命を繋ぐ。 

 磔の鱗蝶。

 健気にも羽は投げ捨てた 蘇の先に文様を滴らせる。只の旅情と陰を踏む。盗掘された孤影にひきづられ今其処へ要る、御身すら絡まる糸を朱く滾らせ 何ら思考もうつさずとも、暮れ泥むだけの獄蝕はかぐわし。天翔ける、地を這わせ成され 共に歩み賜う ときは それなり 実直に癒る祝詞呪詛。

 二度と出会えぬハレーション。霞がかるハーモニーを、浮き彫りにしたレリーフ。

 繭の中に揺らめく、ながいときを流しただけの、解き放たれたフリーダム。

 永劫であれ一刻でもある。届かないくせに傍に閊える、求めるものは僅かの隙間を拡げそれぞれを魅せる。瞳の奥の聖櫃は、水面に漂う虹彩の一滴。

 夢の淵に転じる、是が遊戯症。

 至る所、辿り尽きないとこしえの底から、永め魅せるだけの微笑を。

 読み取るべき、礎の針は かあいらしそうな 、欠片だけを遷すだけ 零れ堕ち、昔騙ることか 今と惑うべきか。狂った果実は瑞々しく毒を含んでは、見ず知らずに 絡み憑かれ、招狩れて要る キミもボクも。

 ただ煙に蒔かれた鬼灯が、築き上げた 幻に、摘まれたか。尽かされたとも そこは 天ノ情を模造して 血に値する。

 己がなんとするか 故にソノモノの姿を拵えるだけ、未知は裁かれ 今だけを遷すだけ、それだけ。凡て可不可の憚り、あゝきみがわるい。万華鏡の一間、ガンバコの鏡面。

 正しくは酔生夢死。

 驀地、始終 擲つ。

 跡形もなく濫作の地均し、幕引きは奔流の一端、摧破せよ倒壊せよ。

 呼はちいさきもの、暗澹の場 不変 絶唱す。素の囀り 祖の累、明け暮れるばかり それだけに 薄明や落葉は苦海に転じるだけ、なら雪景色、寂滅したのちの地 軽はずみに去来する雲霞 故に光彩陸離 決して泡沫の命。

 何処へ? 

 彼処から息がかかる、此方は固唾を呑む、それで 咄嗟に 手をかける、動悸が、独り歩きをはじめる まえ に。

 炙り出しのトワイライト しょぼくれた足取りで 影を背負う者共が のらりくらり。唯無邪気で在った 後を絶たれても 止め処の無い、と。嗚呼 なんとするか、確か是等は腐れ縁の元だ。

 哀憐の平行線に満ち欠けを灯火する。

 壊滅的列状に盛る海原は又 堕胎したよう、嗾けられた桑楡、羽化したばかりの 綻び、睡蓮の凋落、あなたは太陽でした。波頭に浚われ 滾りを帯びる暗涙では、旗色は腰を下ろしただけの 俄か、馥郁。便宜上綺羅星。貪欲に錯乱す。近々 風が、ちかちか 已むときに。

 いのちひとつ沙羅双樹の許に穢れなき華と堕とす。

 ときに、ながされゆく 穢れも血累も、真貝の懐から外れた 樹海の珊瑚性を抜け 滄海に着床する。それで暗夜の灯と星回り 引き寄せられた愚かな成り行き、狂ったように易しい息吹で煽る。波風一つなく 凪いだだけの、空の躰に、セカイが吹き込まれる。

 看板には虚妄と置かれた表向きの傑作は浪漫がある。

 腐敗した画廊に呑まれ、暗流に付け込まれた眼光は、彩華で覆い隠された末路を探る、巻き髪の優男は光明を背に、緩く結ばれ、辻褄ばかりが泡沫の限りと尽した、口先ばかりの綻び、張り子の雰囲気、化けの皮の剥がれた裏地に塗り込まれたものです。

 幼馴染を封じた 多くの硝子玉は転覆する。未完成の展望 あつらえた集積回路、とろとろの、生首。赤く円らな少女 行き場を失った半鐘が響く。

 霧に紛れた未来 消息も輪郭を暈し ただ退避する、水に流した黒猫の足跡に、あてがい 抉るだけの亡羊の嘆。中毒に成り損ね昏迷する。今宵も又 審らかな雨月。

 街は今 蛻の空に 犯されて。

 誰か記憶のほつれが なだらかな丘を 夢路を辿るだけの。刻字するような。水銀の雨は 咀嚼しては 糧となるはず。とばりは喘ぎながら 心地よく侵蝕し 最期の閃光を待ち 詫びているようで。脇で支える黒い紙魚が、ただ焼き点いた わくらば。 


致死量の半月を浄罪に賺して

(ヘテロジニアスの脊椎)


水平器から滴る 退屈紛れの

 ほら、雨いたり鎮んだり

水銀交りの責め苦が芽生える


手垢塗れの廃船は

弱体を誂える下草

   ほかりと掻いたでしょ

   のそそと疼いた、弦奏


あなたに きがふれて、

      一線を明いた桟

と極


穢、犯し難く

      去れど、或る。

 潜ませる彼の様な

 馴染み有る、五徳に

   手を取るなかれ

   是等は

自らに

問い質す

嚥み降した、そのものとは

  泥沼の円ら

縁錦の裏地に棲む

 形、ふれては崩れ

素の生命、閉じては成らない。

みつめても、こたえもなく


無核、鎮ム


キミの虹彩に栄華が、まじろぐ。

 聊か近間に中る稚い揺籃。残存。

 烈日に凌ぐ。寂然と至福を熨せ自沈する。

 暫し。

 あれは遊女で在ろうか、ただの姥で有ろう。邪恋の誼、峨峨賭して悪風。転がり落ちる顛末も、又、雪化粧と歌舞く。空言詩歌、あンたも あたゐも、白白誰何。未だ斑 と追い残り火。コトノハの翳を一枚 解いただけの昏倒。

 足跡の付かない道を歩いてみたい。 

 黄泉の圀のような水の泡もない あだ桜も交る淵に。

 新雪が本降りに凍る頃、ハツと散る花火を溢して。儚さで溶かした舟べりごと 燃やしてしまいたい。

 見失った先を海に流し 鋭利な波音は青色吐息をも創り出し、仄か光が宿る、きっと誰かに辿り着く。唄が聞こえます。

 壮観なシャトー。

 みだりに奥を覗く 朧げな記憶は乱される。

 微光を放つ、幼稚で浅はかな扉絵 では誰一人騙せない。

 けれど迷い込んだカード、 表も裏も隠れんぼ、それで神経衰弱、

 最期に遺された心臓が 彼方に仕舞われますように。

 鮮明な万華鏡の底へ、聳え立つ、唯 祈りの塔。


 天翔ける翼は地を離れ 遥か彼方を目指した。と風のうわさ。

 深い海の層が終着駅だと 誰もが知る夢物語。無限回廊から延びる樹海には幽寂な光が満ち足り、天壌は 碧いみなもに刹那の後悔が翔る。幾重にも亘り塗り固める。草原に佇む朽ちた塔には 永い航海の果てに 暮れ泥む帆を張ったのだと 手解く。

 枯れ木に火の粉が咲く、底光りの残響と跡を。正に、春の世の夢の如く。未練が檻を曳く。

 焼け残った後の祭りの、烏滸がましい浪漫を奔らせ乍ら。灰が舞う、蜘蛛の子を散らすように。ただ亡骸の、瞳で垣間見る、自然のありさまに流される。わたしが、映える。

 不帰の旅に出た 名も無き捨て石であった。

 落葉した水面に光は、夜な夜な浮かび上がり、消し去ろうとしても刹那 恍惚に誘われる。その華はきっと あなたが望むように映される。合わせ鏡のようで、だれもいない片隅に咲いた 誇り。呷れば熱を芽吹かせ、在りもしない彩斎を描かせている塵芥。己の中に潜む 悪魔も天使もない 彼方に拠る、

 酔狂。

 クレセントムーンを突き立て、蝋で固めた真っ白な砂漠に伽藍堂の双眸と堕ちる。月の泪と舟を漕ぎ水の泡へ舵を盗る。未だ弛緩した笑みは微熱を満ち引き、深い海の底へ反る歪な蝕。最期のひとかけは風に浚われる前に光に呑まれ、最後の人影は彼方に老いて渇れる。抗わず溺れた御伽の国へ丸く納まる。


 故に凛と咲く花と道端に、雑草は軽やかに風を伴う、楚々とあなたは、しゃんと向き何処へ誘う気なのでしょうか。文机に封蝋の解かれた置き手紙。ひとこと、四葉のあとだけが残されていきます。それは新しい命を香らせ、ゆくさきざきを照らし出すやも。ただ青い春の息吹と、共にありていに、なして。創造種の陰に、艷を見た。

 これはサンクチュアリの残照。

 それで足踏みした 彼岸花は散らされた。明日を繰り返し 未来が生み出される球根は 土壌に屍を這い出させる。白昼夢を産んだ快楽の底に蜜蜂たちが 昨日を知らしめるように。今食卓に列ばり、糧と頬る口封じの明るさを、瞬きて呑み込まれ賜え。


ひとつの鍵は霧の中

ゆいいつの主眼は育ちつつある

掌中の珠

その根底を花とみる


それは彼我の境

揺り籠から墓場まで天の定めるところ


水晶の宮殿にて万華鏡の浄福を祈る

頬杖をつき お茶を挽く 翼の庇護

凡て嗄れ果てた楽園の展望は一縷の望み


底知れぬ繭は薄弱の泡沫と唯一灯る

 遠く離れたところから 待つ。あてもなく揺れ動く 荘厳。そこからちかいあたり、生温い萌し。つつしんで。こころよくある、潮騒の歔欷。浮沈する付随。擲つような、なりゆき遍く、満ち足りた瑞雲を流す、かのような無窮、もとのすがたへ、ひかりをあてる予予。


庭前にて蛇行する。

愛惜癒合

 雲の嶺に配置する虚実の詩歌、浮薄の頌歌。とろ火に潜む寧日。可惜アタラ之コレにて薄幸の晩夏。不覚にも冀う浅はかな垂涎を綺羅星と記述する。平坦な異臭が結晶を更生する、練熟なる鎮魂が縊死するようなしゃがれた身。息の緒を汚損する始終の心魂。残響にも有り風声にも成る。雷鳴に限り灰色へ。

虚空。

 行方定めぬ恋人 未だ、見ず 知らず。その苦海。白日の閉門と口頭する、静寂の極限を不潔な比肩と見た。垢や雲脂で潤色する 護摩木 狼狽えるばかりの慈悲に憐憫を纏う。仮粧のような。令姉も実兄も漏洩し錆色に召したなら、総て下腹に納め狂信にも濤声を。


――唯、楽音を、自らの唇で雪いだ方が。


(ツイッター写真画140字詩・纏〆 ~2022/3/31)


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