新規録画_03

@agonoke_zarazaraMonday

6:46:03~

 ---ピコン---


はい、じゃあ教室の掃除終わり。

あとそこのバケツ片づけといてね。


(はーい)

(やっと掃除終わったー)

(部活だっる)

(あっづー、汗やばー)



『……んー、まだ返事ないなー。

かな、どしたんだろ。』


「ね、昨日なつきが話してたかっこいい警察の人、知り合いなの?」


『え?あー、星本さん?

知り合いっていうか...まあそうだね。』


「いいなー!ああいう人タイプだわー!」


『うちの妹と全く同じ反応。』


「付き合ってるの!?」


『そういうんじゃないんだってー

ほら、最近物騒な話多いじゃん?』


『うち親が帰ってくるの遅いからさ、

よく知らないけど、お母さんがなんかあったらこの人頼りなって言ってて...』


『うちの父親ボスの部下の人らしいよ。

なんかカナのおかーさんからも紹介されたんだって。』


「そーなんだ!

爽やか系で、しかもなつきんちのパパさんの部下ってことは、

エリート警官じゃん!」


「...で、でさ、なんであの人昨日うちの学校にいたの?しかも来賓室に。」


『なんかうちの生徒が出くわした不審者を追い払った~とかで、

校長先生から直々にお礼されたんだって。』


『しかも何人も星本さんに助けられたらしくて...すごいよね。

てか、うちの地区そんな治安悪かったっけ?』


「...っ!へー!すごーい!」


『...あれ?まりか知らなかったの?

確か3組のマユも助けられたって聞いたけど...

仲良かったよね?』


「あ~...うん、でもあんま詳しくは聞いてなかったから。」

「っね!せんせーも見たでしょ?あのかっこいい人!」


うん、見たよ。まさに好青年って感じで先生達も色めき立ってたね~。


『えー?そんなに?

ていうか、警官っていっても刑事部じゃなくて生活安全部だよ?』


「警官は警官じゃん!」


『全然違うよー。カマキリとカマドウマくらい違うよ?』


「...なにそれ。」


『ごめん適当に言った。』


「とにかく!私めっちゃタイプだわあのひと!

いいなーうらやますぎっすナツキさん!」


『そーですか、てかそんなに気になってたなら一緒に話せばよかったのに。』


「いやー...緊張していけなかったんだよね...」


『そうなの?珍しいね。いつもタイプだわーとか言ってガンガンいくのに。』


『...そいえばカナも星本さんいいよね、みたいなこと言ってたな。

今度まりかにも紹介しよっか?』


「あー…うん。」


『なんで乗り気じゃないの?』


「いや...ほら...実際に話すとこ想像すると緊張するじゃん?」


『いや知らないよ。』


「なつきは年上の人好きじゃないの?」


『年上かー...まぁでも確かに、星本さん見てると、落ち着いてて、

まさにまりかの好みっぽい感じで大人っぽいっていうか、カッコイイな、とは思うよ。』


「でしょ!?」


『話しててもさ、こう、押し付けがましくないし、謙虚だし、

年上っていうか、やっぱ社会人は違うよね。』


「うんうん!やっとなつきがわかってくれて...う、嬉しい...!」


『はは、そんな感動する?』


『...でも、ちょっと変なとこあんだよね。』


「変?」


『うん、優しくしてくれるし多分紳士なんだろうけど、

あの人何故か私に敬語使ってくるんだよね。

なんか違和感あるっていうか...そこまでしなくてよくない?』


『でさ、なんで敬語?タメで良くない?って聞いたら、

 ❝敬語は年下に使う物ですよ❞

って言っててさー

どういう意味なんだろ?』


「...へー!」


『...あと、まあ一応警察だし、社会人だからかわかんないんだけど...

なんか、会話してても見透かされてるような感じがするっていうかまるで

「えー!なにそれ!なんかかっこいいじゃん!」


『そんな興奮する...?まぁ、いいか。』


『ね、せんせ、敬語は年下に使うものって...どういう意味だと思う?』


そうだなー、なつきはどういうことだと思うの?


『んーわかんないけど、まだ自分は未熟です的な?まりかはー?』


「紳士だからっしょ!!大人って感じでいいじゃん!」


『それ答えになってなくない?

ね?せんせ。』


えー?

先生はまりかの方が考え方が近そうだなーと思ったけど。


「ほらー!なつきさんわかってないっすねー

なつきっず!」


『うーざ、あとその呼び方やめてって

あの人紹介してあげないよ。』


「...いーよ。」


『いーんかい。』


あんた達、仲良いね。


『てかせんせ!なんでまりかの雑な答えの方が近いと思ったの?

やっぱ大人の言うことなんて適当ばっかりじゃん...』


「ちょっとー。雑ってひどくなーい?」


『うっっさい、今せんせーに聴いてんのー。』


なつき、どうして、大人は適当ばっかり、なんて思ったの?


『ついこの前、私が高校に入学したときにうちのボスが言ってたの。

❝お前が社会人になるまで大人の言うことに耳を貸すな❞って。』


はは、それは、まぁ、ある意味否定できないわ。


「さすがなつきんちのボス!かっこいい!」


『あとこうも言ってたよ?❝特に教職員には❞って。』


手厳しいねー。

先生が言うのもなんだけど、その通りだと思うわ。さすがなつきの親御さん。

話半分でいいから、聞いてくれる?


『いーよーちゃんと聴いたげる〜

...てか、そもそもパパもその”大人”だしね。』


ありがとう、なつきはきっと賢い大人になるよ。


『でしょ?』




それでね、私は、

 ❝敬語は年下に使うもの❞は、

 ❝敬語は年下に”こそ”使う物❞

って言いたかったのかな?って思ったの。


『こそ?』


そう。


敬語は年上の人に使うでしょ?


『うん。』


まぁ、先生も年上なんだけどね?


『...はい。』


ふふ、じゃあまずなんで敬語を使うのか。


『それはまぁ敬語っていうくらいだし、

敬ってるから?ですか?』


そう、その人は多分、へりくだっているというよりは、

なつきを敬ってるんじゃないかな?って思ったの。


『はあ?なんで?』


「そりゃなつきが可愛いからでしょ!

ね、なーつき  っず!」


『はいはい、てか間あけていっても意味ないから!この!』


「あははは!なつ...くすぐんないで...っ!痛っ....あっ」


 -----ガッガガ ゴトン----- 


あらら、大丈夫?


『あ、ごめんやりすぎた。』


『まりかごめん、大丈夫?』


「う、うん、全然大丈夫!」


『ユマも読書中にごめん、大丈夫?』


《...大丈夫。》


『─あ、なんか落として

《...!大丈夫です!自分で拾います!》


『え?あ、うん、そっか。...なんで敬語?』


 ---ゴト---


『てかまりか、怪我してたの?』


「あー...この前学校休んだ時に、自分でぶつけちゃって。」


『あほまりか。』


「あはは...そうかも。」


なつき、じゃれるのはいいけどあんた力強いんだから加減しないと。


『はーい気を付けまーす。そんな力入れてなかったんだけどなあ。』



───────────────────



『で!なんで私に敬ってんの?

そんなたいそーな事してないよ、私。』


だからこそよ。


 年上は当然、

 年下でも、

 同い年でも、

 どんな人にでも敬う気持ちをもつ。

 それは、己を律して、心の調和を保つ...

 一種の美意識のあらわれなんだと思うの。


『..美意識...』


中々そんなことができる人いないよ。

先生達も職業柄、道徳や美学を意識することが多いし、

生徒に対しては対等な気持ちで接しなければならないけど...

相手が年下って分かっているとつい横柄な言動になってしまうもの。

 

あんた達みたいに生意気だと、特にね?


『まぁね。』

「せんせ、褒めんなって。」


課題増やしとくね?


「『大変申し訳ございませんでした。』」


ふふ、だからこんな生意気なガキんちょにも敬う気持ちを持てるって

素敵なことだと思うし、私も見習わなきゃって思ったよ。

きっと、紳士よりも真摯な人なんだろうね、その人は。


『ふーん...よくわかんないわ。』


「...せんせー、全然わかってないわ。」


あんた達はまず年上を敬いなさい。



...で、どう?先生の考え方を聞いて、何か変わった?


『う~ん...まぁ、まだよくわかんない、けど...』


『ふふ、なんかかっこいいかも。』


「...」


ふふ、そっか。



それにしてもなつきの親御さん公認なんて、よほど出来た人なんだね。

きっと私たち教員よりもずっと...


 ---1年2組担任の八村先生、至急職員室へお願いします---


はいはい行きますよ、じゃ、先生行ってくるから。

それまでなつきは敬語の練習しときなさい。

じゃあまりか先生、ご指導よろしくお願いします。


 ...まりか?


「...あ、はい!任されました!」


『ええー、ミス不敬のまりかじゃ無理だよ。』


「先生をつけなさいなつき君。」


『嫌。』


「じゃしりとりしよ。」


『なんでそうなんの。』


「いーからいーから

 じゃあ、まりかのか!」


『やらないやらない、今のうちに

課題終わらせとこーよこの後遊び行くんでしょ。』


「いやしりとりしよ!」


『だから...てかなんでしりとり?』


「いーから!やろ!」


『わかったわかったって。

今日もだけど、最近テンションおかしくない?』


「いーから!じゃーいくよ。

まりかのか!」


『か、か、か、かぶとむし。』


「しか!」


『カナブン。あー、』


「...!それ...!」


『まりか先生ガチすぎませんか?

 今のなしね、カメ。』


「...メカ。」


『かさ。』


「さか。」


『あーー!カ攻めやめろー!

か...かー?』


「…人名でもいいよ。」


『それおわんない奴じゃんよー。

ん、?まりか、どしたの?

 ...目、うるんでるよ…?』



 ---ガラッ---



『うーわびっくりした。』


(はっちーどしたー?)

(部活あるからホームルームはよー)

(帰りてー)


みんな、いるね?

帰りのホームルームはじめるよ。


『なんかあったのかな?』


「次、なつきの番だよ」


『え?なんか重要ぽいし、先生の話きいとこ?』


2つ大事な話をします。

まず一つ目、


カナさんですが、お家の事情でしばらく学校にこれないそうです。


(えー!)

(かなちーなんかあったのー?)


『かな、やっぱなんかあったんだ。

 まだ連絡返ってこないし...』


もちろん本人にもだけど、ご家族にも迷惑がかかるので、

お家に行くのは控えてください、

心配なのはわかるけど、連絡も無理にとらないであげてね。


『んー、手紙でもかいてポストにいれとこっか。

 ...まりか?』


 ...なんで泣いてるの...?』


「…!ごめんごめん、昨日見た映画の、思い出し泣きだから...大丈夫!」


『なんだーもうびっくりさせないでよ。』


『てかまりか!先生の話聴いてないでしょ!

かなが家の事情でしばらく学校来れないってさ。』


「...えー!」


『連絡してるんだけど返ってこないんだよね...

まりかはなんか聞いてる?

...あーでも二人はまだそんな仲良くないか。』


「そーなんだよね...でも...」

「そのうち学校くると思うよ。」


『だといいけどねー。てかこの前はまりかが休んで、今度はかなが休みって...

二人とも私をコドクシさせる気?』

『ま、色々事情あるだろうし、詮索しないけどさー』



もう一つ、皆知っていると思うけど、うちの地区に多数不審者がでています。

特に、未成年の女子が狙われているそうです。

集団下校、早めの帰宅を心がけてください。


それから県警の方、自治体の方、保護者の方に協力してもらい、

夜8時までパトロールを実施いただくことになりました。


また一部の不審者の特徴が判明したのでお伝えします。


男性、年齢は40〜50代、白髪まじりの長髪、

カーキ色のジャケット、ベージュのインナー、

黒色の厚手の作業用ズボンを着用していて、

靴は片方が運動靴、片方は革靴とのことです。


(せんせーそれホームレスですよね)

(言われなくても近づかないわ)


とにかく、怪しい人に声をかけられても絶対に相手にしない事、

なにかあったら知っている大人を頼る事、いいね?


(はーい)

(無職のロリコンとかないわー)

(去勢しろよー)


『多数の不審者...しかもかぁ...

最近暑くなってきたし、多分そういうことかな。』


『うちらもしばらくは早めに解散しよっかー』


『あ、てかお兄さん頼ればいっか!親公認だし、

仕事サボってないか監視しないとね~

ついでに敬語の使い方教えてもらおーかな!』


「次...なつきの番だよ」


『え?』



 ---ピコン---


 ほんとよく撮れてるな...さすがユマちゃん。

 またちゅっちゅしてあげないと。


 しかし、ああ、やっぱりたまらないなあ。

 このくらいの子達はハリもあって、

 それでいて艶もある。

 強いて言えばもう少し青い方が好みなんだけど...




 何よりこれからあのボスクソが何より大事にしているモノを

 グチャグチャにできると思うだけで...はぁ...

 ...考えるだけでっ...ウッ!?....ふぅ....




 ...それにしてもあいつの娘だけあって勘だけはよかったな、少し焦った。

 マリカちゃんが上手いことノせてくれたのもあって気付いてないようだけど。

 ただ、ちょっとお仕置きが必要かな?


 まぁ、もしっかり働いてくれているし大丈夫か...

 おかげであの姉妹は確定でいけそうだ。

 良くやってくれてるし、また可愛がってあげないと、ねえ?

 カナちゃん?



 おっ、連絡きた。


 はい、なつきさん、どうされました?

 ...もしかして不審者の件ですか?


 ─ははは、いえいえ。

 ちょうど私が所属している部署でも対策チームを立ち上げたところだったんです。


 ─...さすがツダ部長の娘さんですね。よくお気づきで。

 仰る通り、この気候ですから、

 大方わざと捕まりに来ているんでしょう。

 まぁ、例年この時期はそういう方が増えますし、

 言ってはなんですが、

 シゼンなコト、

 だとは思います。


 ─ええ、それで、ありがたいことに対策チームのチーフに任命されまして...

 私は自由に動けそうなんです。


 ─いえ!とんでもないです。

 いやぁ、なんだか、ナツキさんにそう言っていただけると、本当に、


 ガ ン バ ッ タ カ イ ガ ア リ マ シ タ ヨ 。


 ─本当に思ってます!笑ってないです!

 ただ、嬉しくて口が緩んでしまったんです。

 すみません。



 ─敬語?

 ..ああ!そんなこと言いましたね。

 はは、少し恥ずかしいです。

 そうですね、では帰ってからゆっくりお話ししましょうか。

 遅くなると危険ですしね。

 それでは。

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