28話 大鎌使いのメイド
城を出て、俺とメフィーは洞窟内を進んでいた。既に日は落ちて辺りは暗いが、洞窟内は魔結晶の影響かとても明るい。
俺はメイド姿のメフィーの後ろを追いかけていた。
メフィーの速度は恐ろしく早い、入り組んだ場所でもスピードを落とすことなく駆け抜ける。
洞窟内の構造を完璧に把握しているから出来る芸当だろう。
「洞窟中央ですね、少し休憩しましょう。」
「ああ、分かった。」
俺とメフィーは小さな岩に腰を下ろした。
洞窟中央に存在する漆黒の騎士を俺は初めてみた。
話はマルファスから聞いていたが、実物を見ると迫力がある。
「コイツが彫刻を使った成れの果てか……」
凄まじい魔力のオーラと誰一人通さないという殺気を感じる。
俺はマルファスから一つ貰った彫刻を握りしめていた。
そんな俺を見ながら、メフィーはバックから水筒の様な物を取り出し紅茶を入れてくれた。
「良かったら……どうぞ。」
「ありがとう」
「アヤト様。その彫刻はお守りだと思っていた方が気が楽になると思いますよ。」
「お守りか……使う機会が無いといいけど」
メフィーはメイドだからか、気遣いが出来て優しい感じがする。
そして、とても可愛い。メアより少し年上なのだろうか?
顔は小さく瞳は薄めの赤で、白い髪に少しウェーブがかかっている。ひらひらの白いエプロンと黒いスカートのメイド服が良く似合っている。
魔族は魔力を魔装として、服の様に纏う事が出来る。このメイド服もメフィーが考えたのだろうか。いいセンスだ!
俺には、魔族というよりも普通の人間のメイドさん? にしか見えなかった。
まだ会ったばかりだが、魔族にも外見はほとんど人間と変わりない子もいるのだろう。
メフィーは俺と目が合い首をかしげる。
「あの……アヤト様?」
「ハッ! いやすまない、可愛くてつい見とれていた。」
俺は少しジロジロ見過ぎていたらしい。女の子は視線には敏感だ。
メフィーは顔を真っ赤にして反応に困っていた。
「えっ/// あっ、ありがとう、ございます……初めて言われました……」
少し変な空気を作ってしまった俺は、焦って真面目な話題に切り替えた。
「そうか、あはははっ。そういえば、あの黒い騎士は動く気配がないけど、通り過ぎてから城の方角に戻ろうとすると切りかかってくるのか?」
「はい、たとえ魔族でも一度正面より先に進んでしまったら、もう戻る事は出来ませんね。」
「一方通行だな。しかし、この情報をあの二人が知らなくて本当に良かった。」
「そうですね。メア様の位置も先ほどと変わっていませんし、恐らく休んでいるのでしょうね……」
帰りは山を迂回しなくてはいけないが、今はコイツのおかげで大幅に距離を短縮できる。
俺とメフィーは少し雑談したあと洞窟を抜け、精霊都市の近くの村まで魔力を使って最高速で走っていた。
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