14話 彫刻の代償3




サーシャ姫が城を抜け出して、1日がたった。

城内の王家直属の部隊は焦っていた。普段から城内の安全の為に警備を完璧にこなしていても、内から外に出る人間の動きを把握する事は難しい。

城内の1室で5人が話あっていた。


「隊長まずいですよ、このまま見つからずに最悪死んでいた場合隊長の首が飛んでしまいますよ!」


「分かっている。中層まで探して見つからないという事は下層で間違いない。サーシャ姫が痕跡を断つ魔法を使っている以上仕方がない。」


部下の泣きそうな声に隊長は言った。

姫が魔法を使えなければ簡単に見つける事は出来るが、今はサーシャ姫の匂いをたどる犬のみが唯一の捜索方法だ。

堂々と捜索する為に軍を出せれば簡単だろう。しかし、第5王妃は王家の恥になると言って秘密裏に対処する方針でいる。


「隊長が死んだら次は俺が隊長かな、あはははは」


「それじゃその次は俺かな」


「それ皆首飛ぶじゃん」


焦る部下に、いつものように冗談を言う奴もいる。まぁ姫が城を抜け出す事はこれが初めてではないから仕方がない。


「お前ら明日までに見つけないと冗談じゃなく、本当に俺の首が無くなるから頼むぞ。とりあえず今から下層を探る。区画を分けて3時間後に合流見つけ次第、伝達結晶にて連絡をしろ。」


1人1人伝達結晶を渡された。これは魔力を込めると通話できる便利な魔法結晶を加工したものだ。


そうして装備を整え、王家直属の部隊はそれぞれの区画へと探しに向かった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る