11話 ジョーカーとオルト
早朝、太陽が上がってすぐ、聖霊都市の正門に3人の軍人と2名の教会側の人間がいた。
「こんな朝早くからデートだって言うのに、女は0ときた。全くむさ苦しいな。尻でも掘りあうか?」
「おい、口の利き方には気を付けろ。こっちだって教会側と魔界に行くなんて、子供のお守りをするようなものだ。自分の命ぐらいは自分で守れよ」
軍側と教会側の敵対心は強い、軍の隊長は命令で教会側と魔界の調査と同時に教会側の監視を任されていた。しかし必要以上に絡むつもりは毛頭なかった。
「あぁ、分かってるさ。自分の命は自分で守る。顔合わせは済んだ行くぞジョーカー」
「ん? 話はもういいのかい?」
サーカスの劇団員の様な恰好をしたジョーカーという男はオルトに話しかけた。
そして歩き出すオルトにジョーカーもついていく。
教会側の二人も元々慣れあうつもりはなかった。
「あぁ、5人で仲良くピクニックなんてごめんだ。向こうもそうだろうしな」
「おい、教会の二人! 馬車に乗れ」
後ろで叫ぶ軍の隊長を無視する様に二人は歩き出し、ジョーカーは転移魔法を展開する。
「トランプターン」
正門から少し離れた場所でオルトとジョーカーは姿を消した。
「チッ、あいつら……」
「隊長、いいんですか?」
「かまわん、どうせこうなる事は分かっていた。教会側の監視なんぞしたところで得られる情報はたかが知れている。それに、一人は元軍人オルト、もう一人は傭兵で有名な戦闘狂ジョーカー。神父は相当食えない奴だという事が分かっただけいいだろう。」
二人に置いていかれた3人は馬車を走らせ魔界に向かった。
魔界の奥地に転移したオルトとジョーカーは城に向かう前に寄り道をしていた。
「ここ、今は通れないんでしょ?」
洞窟の目の前でジョーカーは言った。本来魔界の城に向かうには、この山を迂回しなければならない。転移魔法でもこの山の先の城まで転移することは出来ない。
以前はこの洞窟を通る事が出来たが、今はたった一人の存在のせいで通る事はできないらしい。
「あぁ、洞窟の丁度真ん中あたりに不死の狂戦士と言われる者がいるらしいからな。俺が軍にいた時に聞いた話だが、本当かどうか調べたい」
「不死の狂戦士ね。一度戦ってみたいと思ってたんだよね。」
「戦闘狂だな。まぁ噂話が本当なら戦う事は時間の無駄だからやめておいた方がいい」
「傭兵って奴は、戦う事と金が好きな連中しかいない。俺だけが異常者なわけじゃないよ。っとそれよりその噂話ってやつ聞かせてよ。」
「たいした話じゃないが、これは軍の生き残りから聞いた話で……」
オルトは過去に軍の仲間から聞いた噂話をジョーカーに話だした。
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