日華に手向ける、赤き花束
デミ
第1話
それを見ると、僕は水分を含み重くなったコートのことを思い出す。
暗闇の中、何も考えずに走っている方が気は楽で、痛みもいずれ気にならなくなる。そう思わないと漕ぐのをやめてしまいそうだったから。
僕は、右手に着いている壊れた腕時計に目を向けた。時計の針はあの時のまま動いておらず、何故外さずに着けているのか思い出そうと記憶を探ってみたが、自転車をただただ漕ぎ続けることしか僕の頭には浮かばなかった。
でも、壊れた腕時計を右手にしているのはきっと理由があって、それは必ず思い出さなければいけない大切なことだと思った。
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