カクヨム日記。

@r_417

カクヨム日記。

***


「カ」


 花粉に泣かされる季節が到来した。

 持つべきものは腹心の友・ティッシュ。

 しかし、あまりにも友の無残な犠牲が多過ぎて心が痛い。


「(ああ、今日だけでいったいどのくらいの量がゴミとなったのだろう……)」


 そんなことを思いつつ、今日も僕はティッシュを使い続ける。

 鼻の下をヒリヒリとさせながら。


「ク」


 クラス替えの季節が到来した。

 春の一大イベントと言っても過言ではないだろう。

 新しいクラスの発表に心ときめき、貼り出されたメンバーを確認して、一年後を夢見る。


 その間、五分もなかった気がする。

 短時間で奈落の底に突き落とすエグさを思い出す季節。


 それでも希望を忘れず楽しみに迎える春。

 僕は、何度学習すればクラス替えに対する期待を捨て切ることができるのだろう。


 そんなことを思いながら、僅かな期待を夢見る。


「ヨ」


 夜、なかなか寝付けないのは主に二つの理由から。

 一つは今が盛りの花粉の勢い。

 ティッシュが手放せないのは何も日中に限ったことではない。

 もう一つが、数日後に控えたクラス替え。


 絶望の落差を味わう結果になる確率が高かろうと、胸躍るのは人の性。

 チャンスが巡る限り、恐らく興奮は続いていくだろう。


「ム」


 無駄なことなんて、人生に付き物だ。

 例えば、花粉に対する僕の体の反応なんて最たるもの。


 僕の意思なんて、ガン無視だ。

 勝手に体が反応する。


 いったい何の益があるというのだろう。


 他にも無駄なことはある。

 期待に胸躍らせたクラス替え。


 ものの数分で絶望した。

 さて、来春のクラス替えまでの道のりは果てしなく長そうだ。



****


 おや、僕としたことが日記の日付を書き忘れていたようだ。

 でも、何となくわかる。


 日付がなかろうと、春の日に記録したことだけは揺るがない事実なのだから。



【Fin.】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

カクヨム日記。 @r_417

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ