159.その正義は必要な正義か

1月30日(火)


小学生の頃、友人に勧められて「砂時計」という漫画を読んだ。あの年齢にしては思っているよりも大人な内容で、その時はまだ良さを感じられなかった。大学生になり、ふとその作品を読んだ時には驚くほど胸を打たれた。登場人物の繊細な感情の動きや人の死について、深く重く描かれていた作品だった。大人になったから読めば読むほど響くものがあった。


その作者さんが先日亡くなってしまった。あんな素敵な作品を生み出せる素晴らしい人材が自死してしまった。


あるトラブルを巡ってらしいが、どんな思いでその作者さんが亡くなったのかは外部の私には分からない。


SNSで何度もその件に関して目にしたが、その度に不快に思った。私のような関係ない部外者が自分たちの意見を押し付けて必要以上に正義を振りかざし、当事者を叩いていたのである。


SNSは相手の顔が見えない。名前や顔を隠して何でも言えてしまう。相手を傷つけ貶めるような事を平気で伝えてしまう。行きすぎた正しい主張を書き込んでしまう。まさに地獄だった。


基本的にSNSへどんな内容の書き込みをしても自由なんだからいいと思う。ただSNSの先には人がいることを忘れてはいけない。思ったことを全て伝えていいわけではないのではないか。それについて当事者はどう思うか。常にそれを考えて利用するものだと思う。



その正しさは必要な正しさなのか。その正しさよりももっと大切で守らなくちゃいけないものはないのか。あとほんの少し相手を思いやれていたら、きっと今回のようなことは無かっただろう。

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