第2話 2021/12/01

 友達申請を承認した翌日の夜、友里恵 NatuaさんからFacebook Messengerにメッセージが入りました。

 やはりご主人を無くされて寂しいのでしょう。

 当たり障りのないご挨拶ですね。


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 @ おはようございます 。

 @ ご承認ありがとうございます。

 @ 私の名前はユリエナツアです。

 @ 日本の天気はどうですか?

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 ふむふむ、やはり世間話の相手募集といったところですな。

 さっそく私は返信しました。


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   * 今こちらは夜なので、暗くてよくわかりせんが曇ってると思います。

   * これもご縁と思って、申請をお受けいたしました。

   * 宜しくお願いします。

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 するとすぐ返信が。

 やはり、日本人と話がしたかったのかなぁ?


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 @ 外の天気は寒いと思います。

 @ 今いるところから外が見えません。

 @ 私はベッドから動けないのです。

 @ 友達に会えてうれしいです 承認ありがとうございます。

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 50年日本を離れてたと思うけど、なかなか流暢な日本語ですね。


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   * これからも宜しくお願いします。

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 @ 私は日本で生まれ育ちました。

 @ 私は約29年間日本に住んでいました。

 @ 私の両親は私が10歳のときに交通事故で死亡しました。

 @ 私は孤児として育ちました。、私は一人っ子です。

 @ 子供はいない私は50年前にオーストラリア人の夫と結婚しました。

 @ それは29歳の時なのです。

 @ 結婚後、夫と一緒にオーストラリアに移住し、2歳4ヶ月で亡くなった子供を

 @ 出産しました。

 @ 私は数年前に夫を亡くしました。

 @ 私はここ数ヶ月のために病院で孤独でした。

 @ 私は約50年間オーストラリアにいました。

 @ 私は79歳です。

 @ 私のような孤独な未亡人にとって、人生はとても耐え難いものでした。

 @ 私は慈善団体を非常に大切にしています。 私の友人

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 おおっ! なんとお気の毒なご婦人。

 さぞかし辛い思いをしていたのでしょう、良い話し相手になってあげなくては。


 うん? 79歳って?


 しかし……。

 あれっ? 

 最初の友達申請の時は、私と生年が一緒とか言ってなかったっけ?

 どうだったっけ? 

 と考えているときに、次のメッセージが来ました。


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 @ お互いをもっとよく知りましょう。

 @ 結婚していて子供がいますか?

 @ 私のような詳細であなたについてもっと教えてください

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 ふむふむ。

 そりゃそうだよな、相手のプロフィールを知れば、いろんな話も

 はずむって事だよな。





 この日は、この程度のやりとりで終わりました。

 私はまだ、異国で身寄りのない日本人のご婦人の話し相手になってあげようという気持ちだけでメッセンジャーで遣り取りをするつもりでいたのです。

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