「俺に勝とうなんて百年早いんだよ」「覚えてろよ」
草茅危言
「俺に勝とうなんて百年早いんだよ」「覚えてろよ」
二人の幼稚園児が、喧嘩をしていた。
ドグシャ、ボコボコボコ、バキッ!
幼稚園児ではなく、保育園児の可能性もあるが、
管轄省庁が異なるだけで、話の流れには影響しないので、
幼稚園児ではなく、保育園児として解釈しても構わない。
計算を簡略化するため、仮に、両者の年齢を5歳としておこう。
学校に限らず、幼稚園や保育園でも、遺伝的要因や育て方によっては、
早熟な強者と、そうでない者―相対的弱者―に分かれてしまう。
ドグシャ、ボコボコボコ、バキッ!
早熟な強者は、相対的弱者に対して、こう言った。
「俺に勝とうなんて百年早いんだよ」
相対的弱者は、歯ぎしりをして、地団駄を踏んで悔しがった。
「覚えてろよ」
今日のことは絶対に許さないからな!
――――――――――――――――――――――――――――――
そして、百年後。ある老人ホームにて。
105歳となった、二人の老人が出会う。
「よぉ、久しぶりだな。百年前にお前が俺に言ったこと、
当然覚えてるよなぁ?」
「はて、何か言ったかな?」
「とぼけるんじゃねぇよ。百年前のあの日、お前は俺に、
『俺に勝とうなんて百年早いんだよ』って言ったよなぁ。
今日、ちょうど百年経ったから、あの日の復讐をさせてもらう!」
ドグシャ、ボコボコボコ、バキッ!
「ぎゃぁあああああ」
執念深いと思われるだろうか。
だが、これこそが恨みというものなのである。
「俺に勝とうなんて百年早いんだよ」「覚えてろよ」 草茅危言 @souboukigen
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