【ホラー】コンビニのおばさん

 バイト先のコンビニに最近、変なおばさんが毎晩やってくる。


 やってくるのはきまって深夜二時前後。

 何かを大量にコピーしてさっさと帰っていく。

 変な客は他にもいるし、別に迷惑でもないのでそれほど気にしてはいなかったのだが、ある晩、おばさんはコピーした紙を一枚忘れていった。

 戻ってくる気配はない。

 客も居らず退屈だったので私は暇潰しにそれを見てみた。

 どうやら何かの名簿らしい。ただしタイトルが奇妙だった。


「死亡通知書」


 気味が悪い。

 そうと思いながらも、タイトルがタイトルだったため何となく名簿にざっと目を通した。

 すると、名簿の中に知っている名前を見つけた。高校時代の部活の先輩だった。

 しかし先輩は死んでいないんだが。

 というかこの間電話で話をしたばかりだし。

 何に使うのか知らないが、きっと趣味の悪いイタズラなのだろう。

 気分が悪くなり私はその紙をコピー機に戻して仕事に戻った。

 上がりの時間が来たら片付けるつもりでいた。

 だがあの紙はいつの間にか無くなっていた。


 次の日の朝。

 先輩が亡くなった、と友達から連絡があった。事故に遭ったらしい。

 泣きじゃくる友達を宥めながら、私の脳裏にはずっと昨夜の名簿がちらついていた。


 随分迷ったが、私はその夜もいつも通りコンビニのシフトに入った。

 深夜、おばさんがやって来た。コピー機の前に立つと、じっとこちらを見つめた。

 私は前を向いて、必死に気付かないふりをしていた。

 おばさんはいつも通りコピーをして帰って行った。

 コピー用紙が一枚、また置き忘れられていた。

 私は恐る恐るその用紙を手に取り、名簿を見た。

 そこには――。

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