【コメディ】財宝の夢

 とある海の中央部、地図にも載っていない無人島。

 そこには潮の満ち引きの関係で数年に一度しか姿を現さない秘密の洞窟があり、その奥深くには、古びた宝箱が置かれていた。

 遠い過去、今では伝説となった海賊が隠した財宝だ。


 しかしこの財宝、退屈で退屈でうんざりしていた。

 自分のような宝石は世に出回ってこそ価値があるのだ。

 こんな所に隠されていたのではただの石ころとなんら変わらない。

 誰かに見つけてもらいたい。

 ちやほやされたい。

 それがこの財宝の願いだった。


 数年が過ぎ、ある男が偶然この財宝を発見した。

 財宝は喜んだ。これで外に出られる。数百年ぶりに華やかな世界でちやほやされる生活に戻れるのだ。そう考えた。


 しかし生憎そうはならなかった。

 宝石は別の場所に隠されただけだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る