元ネカマ現在美少女プレイヤーの日常

赤ブドウ

プロローグ

第1話 VRゲーム

ネカマ。

ネットワーク上のオカマの通称である。

俺の名前は黒木祐樹くろきゆうき。16歳で高校一年生をしている。

クラスでは目立たないほうだが、陰キャ、というほどではないと思う...多分。親友と呼べるほど特に仲が良いってわけではないが、友人はいる。

かわいい美人な幼馴染がいるわけでもなければ、彼女がいるわけでもない。男友達は美形が多いが、俺は正直普通だ。同じ学年で女友達と呼べるほど仲のいい女子はいない。

ごく普通の...いや、ちょっと普通以下の男子高校生。

勉強はあまり得意ではない。そして運動はもっと嫌い。なのにゲームが好き。ゲームが好きだがそこまでうまくない。ろくでもない奴だ。

俺はインターネットのゲームにおいてネカマと呼ばれるプレイをしている。

だいぶ変な人、と自分でも自覚している。だが、気づいてしまった。ネカマの楽しさ、そしてネカマはゲームにおいて強くなる近道であるということに!

それに俺が気づくことになったきっかけは...

______

バッド・コミュニティというゲームが今日発売される。世界初のフルダイブ・オープンワールド型アクションゲームである。このゲームの舞台は現代。社会の裏組織という設定のプレイヤーたちは協力して、自分たちの組織を強くしていく。そんなゲームだ。

数々のクエストをこなし、資金を入手する。時にはPKプレイヤーキルもして、物資を手に入れる。

武器は主に銃器。他にも、様々な兵器を使用できる。

俺はバッド・コミュニティとフルダイブ式ゲーム機を手に入れるため、平日の朝にもかかわらず行列に並んでいる。初のフルダイブゲーム、それもFPSであるのでそれはすさまじいい人気ぶりである。

と、ついに俺の番が来た。正式販売日の今日、一睡もしないで並び続けていた努力がやっと報われる。

俺はほくほく顔でレジに向かった。

______

俺は帰宅すると、ゲームを早速開封する。

「情報集めでもするか」

学校には今日は行かない。今日くらいさぼってしまおう。

俺は早速ゲームを始める前に、バッド・コミュニティに関する情報を集めることにした。

「全世界統一サーバー...すごいな」

つまり、全プレイヤーと同じ世界で、リアルタイムで遊べるというわけか。時代も進化したものだ。

「長時間にわたってプレイするのは危険...」

現実とゲームの区別ができなくなるのではないか、なんて一時期言われていた。果たしてどうなのだろうか。

「とりあえず、やってみるか」

俺は早速ゲームを起動した。

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