第一章【〜神獣卵争奪戦〜】

§1【リアルプレイヤー誕生】

 2xxx年でVRMMOと言われる体感型RPGゲームが世界中で話題となり、知らない者はいないとされているほど、とてつもなく人気なゲームだ。


 だが、それを唯一知らずに生きている16歳の天霧 乃亜あまぎり のあと言う人物がいる。


 乃亜はいつも学校の窓側の席でずっと探偵物の小説を読み、家では趣味の料理をしたり、幼なじみの神宮寺 蓮太郎じんぐうじ れんたろうとバトロワ型ゲームをして日々の日常を過ごしている。



 そんな乃亜は家でずっと1人で過ごしている中、ある宅配便が届いた。


 小さなダンボールに張り付いているガムテープをカッターで切り離し、中を開くと、入れ物と全く合わないとても小さな一通の手紙が入っていた。


 乃亜はごくりと唾を飲み込み、ゆっくり手紙に手をかけると手紙の中から、光が発せられ、乃亜の目の前に文字が浮かび上がった。


 そして乃亜は浮かび上がっている文字を読んでいく。


『天霧 乃亜様へ この手紙が届いているということは、私は今存在していないのだろう。乃亜、よく聞きなさい。この手紙を読み終えるとがそちらへ向かうはずだ。その神様の言う通りにすれば、乃亜にとってへ連れて行ってくれるだろう』


 乃亜は最後まで読み終え、数秒間の間が空いた。

 すると床へ落としていた手紙から白く発光をした神様が姿を現した。


 純白の白い服にとても引き締まったスリムなボディ、そして真っ白で神々しい翼を背中から生やした女神が1度お辞儀をしてこう言う。


「乃亜、あなたのお父様からの遺言書は読んだようね。これからあなたにはとある場所へ連れて行ってあげます。そこで存分にはっちゃけ、女遊びをしてりして遊んでくださいませ。では、行ってらっしゃいませ」

「……え?」


 女神はすっと両手を前に突き出すと床にブラックホールのような漆黒の円が現れ、地獄へすっと落とされるように静かに落とされた。


 乃亜は目が覚めると物凄い数の文字が浮かび上がっている狭い仮想空間に座っていた。


 辺りを見渡し、立ち上がると天から透明の手持ちサイズのボードがゆっくりと舞い降りてくる。


 それを手に取り、薄ら書かれている『オープン』と言う文字を読み上げると空間がバグったかのようにエラーの赤い文字がたくさん発生する。


「な、なんだ……?」


 そんなエラー地獄が数十分繰り返され、ようやく終わりを迎え始めてきた。


「ん? なんだこれ?」


 ある拳サイズのボタンが乃亜の目の前に現れ、なんの躊躇もなくボタンを押すと輝いている文字が乃亜の脳内に吸い込まれるように吸われていく。


『これからキャラ設定を始めます。最初に種族をお選びください』


 アナウンサーのような声が脳内から直接発せられ、乃亜は何となく目を瞑ると暗い空間から吸血鬼ヴァンパイアオーガ魚人マーマン森人エルフなどのいろいろなファンタジー感満載の種族が現れた。


「凄いなこれ……確か選べば良かったんだよな」


 脳内でスクロールするように唱えると勝手に種族一覧がスクロールされ、下へ下へ下がっていく。


「多いな……しかも1個1個に特徴とかあるし、すぐには決められないな……」


 ゆっくりかつ慎重に選ぶこと2時間が経過した。

 乃亜はようやく最初の段階の種族を決め終わった。


「よし、だな。高い戦闘力を保有し、ドラゴンの姿にチェンジ可能だし」

『了解しました。次に髪色や瞳色などのキャラ詳細を設定してください』

「この姿じゃないのか……」


 若干まだあるのかよと思ってしまったが、乃亜はつべこべ言わず悩みに悩んだ結果、ようやく全てのキャラ設定が完了した。


『種族竜人、白銀の髪に碧眼、身長167センチ。最初で最後の、天霧乃亜様をたった今から……VRMMO

「……え、まて!? 説明無しかよ!」

『では、行ってらっしゃいませ乃亜様』


 こうしてVRMMO、体感型ゲーム世界にリアルゲームプレイヤーとして転生された。


 そう簡単に言えば、相手は正真正銘の現実世界でプレイしている、言わば死んでも生き返ることが出来るただの体感型ゲームのプレイヤーだ。

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