第151話 幕間 乙女騎士団 王都に行く(1)
バルバドス王国アンデル。その街の領主テムズから、天使によって転移した人達が大勢居る事を知った乙女騎士団。そしてテムズに誘われて王都に居る転移者に会いに行くことにした。
鼎達3人は借家の玄関前に居る。
「巧さん、当分の間、留守にしますが宜しくお願いします。昴、何かあったら全力で戦いなさい。それで問題になっても私達が必ず何とかする。
そして菜々、あなたが最後の砦なの。菜々なら皆を守ることが出来る。頼りにしてるわ」
昴と菜々は力強く頷き笑顔で答える。
「「任せておいて」」
「この2人が居れば、どんな敵でも大丈夫だよ。油断だけはしないように私と幸之助がフォローするしね。だから安心して出掛ければいい」
「それじゃあ、行ってきます。政宗さんと真奈美さんにも宜しく伝えてください」
そう言って鼎達3人は領主邸に向かった。
「それにしても真冬よ。逃げ出して夏希さんの所に行くなんて。でも王都に行くより面白そうなのよね。私達も夏希さんの所に行く?」
領主邸に向かって歩きながら、鼎は2人に話し掛ける。
「お姉ちゃん、もうテムズさんに行くって言ってるんだから駄目だよ」
スラ君を肩に乗せた雫が否定する。さすが乙女騎士団の常識担当である。
「ふふ、でも王都は都会だから珍しい物があるかも知れないわよ?私は楽しみだな~」
「でも馬車で1週間掛かるのよ?その間ずっと馬車の中でなにするの?スマホとか無いでしょ?退屈で死んじゃうよ」
3人は呑気に話しながら歩いている。街で1番の権力者と一緒に、これから長い旅をするというのに緊張感はゼロである。
そして3人は領主邸に到着した。
領主邸の前には大きな箱馬車が2台と荷馬車が3台止まっている。そして護衛と思われる正騎士団が20名と冒険者が10名の姿が見える。
鼎達はその護衛達の側に居た見覚えのある人物に声を掛ける。執事のトーマスだ。
「トーマスさん、おはようございます。私達、来るのが遅かったでしょうか」
トーマスは笑顔で答える。
「乙女騎士団の皆様、おはようございます。いえ、大丈夫ですよ。まだ出発予定時間前でございます。真冬様の姿が見えませんが、何か不都合でもあったのでしょうか?」
鼎達は困った顔で答える。
「いえ、ちょっと別件でどうしても来れなくなりまして。あははは」
「左様ですか。では、乙女騎士団の皆様はテムズ様と同じ馬車に乗って頂きます。さあ、こちらへどうぞ」
トーマスが案内した馬車は、とても豪華で大きな箱馬車だ。中に入ると既にテムズが座っており、その隣には綺麗な女性と可愛らしい女の子と男の子が楽しそうに話をしていた。
「やっと来たな。俺様を待たせると‥‥」
「あなた? 私達が早すぎたのでしょ?」
テムズの言葉に被せるように、隣の女性が否定の言葉をテムズに掛ける。そしてテムズは鼎達をからかう事が出来なくて残念そうな顔をしていた。
「テムズさん、おはようございます。真冬が別件で来れなくなり、私達3名で行くことになりました。宜しくお願い致します」
鼎達は、テムズとその隣の女性と子供達に向かって深く頭を下げる。そしてトーマスに導かれて向かいの席に座った。
「それは残念だ。また機会があれば連れていってやるよ。それでは紹介しようかな。隣に居るのが妻のミランダで長女のセリーヌと長男のラルクだ。今回はセリーヌが来年から王都の学校に通うから、その準備の為に行くんだ」
「私が妻のミランダよ。宜しくね」
冒険者相手に先に自己紹介し、笑顔で迎えてくれるこの夫婦に鼎達は安堵する。
「こちらこそ宜しくお願い致します。私は乙女騎士団のリーダーで鼎と申します。左が桜、右が雫です。新米の冒険者故に言葉使いが出来ておりません。ご容赦頂ければと思います」
3人は座ったままで再度頭を下げる。
「ぶはっ!鼎が丁寧に話すのは似合わないな。そんなこと気にする者はここには居ねぇから、普通に話せばいいんだよ。普通にな」
「ほんと?良かったー。この口調で王都まで行くの嫌だったから助かるわ。ミランダさん、セリーヌちゃん、ラルクくん、改めて宜しくね。私達のことは呼び捨てでいいからね」
「お姉ちゃん‥‥‥」
「鼎ちゃん、切り替えが早すぎるよ~」
変わり身が物凄く早い鼎であった。
「ふふふ、楽しい人達ですね。テムズから異世界人と聞いてます。旅の間に鼎さん達のお話を聞かせてくださいね」
「はい、面白おかしく話すのは得意なので期待しててください。あははは」
もう友達気分の鼎である。
「テムズ様、全て準備出来ましたので出発致します」
そう言ったトーマスが御者に合図すると、護衛の正騎士団を先頭に馬車が動き出した。
これから約1週間、鼎達の初めての
◆◆◆◆ 後書き ◆◆◆◆
章の始めに幕間の登場人物紹介を追加していますので参考にしてください。
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