第120話 幕間 闇に誘われる者達(2)

 突然の出来事に驚き喜ぶ信吾、正樹、友成。


 ただ白いだけの何も無い空間に招かれた3人。


 そして現れた天使メリル。


 今は、天使メリルが虚空から取り出したオシャレなテーブルセットの椅子に座り天使メリルが準備した紅茶を飲んでいる。


「貴方達は死んだ訳では無いの。いつでも元の時間と姿で戻れるから安心して話を聞いてね」


 3人は期待の目で話の続きを待っている。


「貴方達には選択肢があるの。このまま元の世界に戻るのと異世界に行くかの2つね。

 元の世界に戻る場合は、ここに来た記憶は無くなって元の時間と姿で戻って終わり。

 異世界に行く場合は、望むスキルを3つ付与してあげる。当面のお金と装備もサービスするわ。

 そこからが凄いのよ。異世界で楽しく生活した後に元の世界に戻してあげる。元の時間と姿でね。

 さあ、どっちにする?」


 天使メリルは優しい目をして回答を待っていた。


 3人は相談する事もなく返事をした。


「「「…………………………」」」


 まだ、一言が言えない状態であった。


 3人は「行きます!」と心の声を目に乗せて天使メリルに伝える。それは目からビームが出るのではと思えるほどの鋭い目付きをしていた。


「そ、そう異世界に行くのね。じゃあ付与するスキルを決めましょうか。考えるのに時間が掛かるよ……」


「「「…………………………」」」


 3人は鋭い目付きで何かを伝える。


「信吾は、剣聖、聖魔法、鑑定ね。問題ないわ。正樹は、全属性は無理よ。あ、ああ、そんなに見ないでも伝わったわよ。火と土と治癒魔法ね。それなら問題ないわ。友成は、ダンジョンマスターね。スキル3つ分を使って出来るわ。あ、ああ、するのね。判ったわ。これで全員完了だけど問題ない?」


「「「問題ありません!」」」


「もっと早めに慣れてよね……」


 3人は望むスキルが付与出来る事に興奮していた。


「あとの説明は……


 1.お金は一般家庭の生活費3ヶ月分


 2.装備は予備の着替えと下着。サービスのリュックに入れている。今着ている服や装備しているままでの転移となる。


 3.異世界言語スキルはサービスで付与


 4.元の世界に戻りたい場合は死ぬ必要あり。


 以上かな。


 あとはステータスも見れるし自分達で色々と調べてみてね。その方が楽しみがあるでしょ。


 最後にもう1つだけサービスしてあげる。


 貴方達はまだ若いわ。だから精神面を強くしてあげるわ。助かるでしょ?」


 天使メリルは、3人に冷静に考える時間を与えないように急かすように一気に説明したのであった。


「それじゃあ、スキルを付与して異世界に行きましょう。私のスキルは天使の特別仕様だから凄いわよ。精神面の強化は徐々に強くなって行くからね」


 天使メリルは追い込みをかける。


「もう1つ大切な事をいい忘れていたわ。貴方達が行く異世界はゲームと一緒。相手はNPCだから何をしても大丈夫よ。だから貴方達は思うがままに生きて行動すればいいの。判った?」


 その天使の言葉は、まるで魅了魔法に掛かったように魅惑的な言葉として3人の心に刻まれたのであった。


「それじゃあ、スキルを付与するわね」


 天使メリルが両手を上げると虹色の光が3人を包む。


「はい、スキルの付与出来たわよ。体が熱く感じると思うけどそれが魔力ね。あとスキルの使い方も判るようになってるからね。それから転移する場所は街から馬車で2時間の距離にある広大な野原にしてあるわ。

 まずはその場所でスキルを磨きなさい。友成のスキルでダンジョンを作り、そこで鍛えるといいわ。それじゃあ、転移するわね」


天使メリルがそう言うと3人の体が薄れていき、全てが消え去った。


「ふふ、面白くなりそうね」

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