第112話 幕間 ルルの初めてのお使い

 わたちは、くまたんのルルたんたい。


(熊族のルル3才ね)


 わたち、かあたんが、おねーしたからいくの。


(お母さんにお使い頼まれたのね)


 どこに? …………わたち、わかんないの


「かあたん、どこでもどあ?」


(その言葉はダメ。小説的にギリ危ないの)


「ふふ、ネネおばさんのお家に行ってお塩を貰って来てね。ルルだけで大丈夫?」


「うん!まかてて、かあたん」


「じゃあ、お願いね」


「はーい。いててしまーす」


(どこか痛いの?大丈夫?)


 ルルは母親に作ってもらったお気に入りの「くまたんリュック」を背負ってお出掛けだ。


 ルルの家からネネの家までは、ルルの足ならば15分ほどの距離になる。


 ルルは嬉しいのかスキップでクルクルと回りながら進んでいる。(到着は朝になるね)


「おつかえ、おつかえ、うれちーな、わたちーは

 ひーとりで、だーじーぶー、ふんふん」


 ルルは嬉しすぎて歌いながら進む。


「そーだ、なつちにーたんのうた、うたたねー」


(夏希に教えてもらった歌ね。それと寝てはダメ)


「あるーひ、もりーのなた、くまたーんが、

 てーやった、はなちーが、もりーにーまーくー、

 くまたーんが、てーやったー」


(……モリーの鉈で手をやっちゃったの?鼻血も出て森に撒き散らしてるみたいだけど…)


「あっ!あこそのきーに、ヘビーな、ピーピーがあぶなーい、たつけないと!」


(あそこね。ヘビが雛鳥を襲ってるから助けるのね)


「それっ!」


「シュパッ!」「ズシュッ!」


 ルルがポケットから右手で鉛筆サイズの鉄の棒を出し、そのまま華麗なフォームで素早く放つ。ヘビはその棒手裏剣で頭を貫かれ木に縫い付けられた。


「もう、だーじーぶだよ。ピーピーちん」


 実はネネがルルの才能を見抜いて1才から棒手裏剣を教えていたのだ。今では村一番の投擲幼女だ。


 ルルはネネの家に着いた。


「ネネおばたーん、きーたーよー!」


 ドアが開いてネネが出てきた。


「ルル1人か?凄いじゃないか。エライぞ」


 ネネはルルの頭を撫でながら誉めている。


「うん!わたち、かんばつだー」


(干上がってカラカラになっちゃうね)


「それで、何かあったのか?」


「あのね、かあたんが、おしろが、もえるだって」


 ネネはルルの言葉を解析する。


(お城が燃える?判らんな。うーん………塩か!)


「ああ、塩が要るんだな。ちょっと待ってな」


 ネネは台所から塩を持ってきてルルが背負っているリュックに入れてあげる。


「よし、リュックに塩を入れといたからな。気を付けて帰れよ。ほら、ご褒美の飴ちゃんだ」


「ネネおばたん、ありあと」


 ルルは嬉しそうに貰った飴をポケットに入れた。


「またねー」


「ああ、気を付けてな」


 こうしてルルの初めてのお使いは成功した。


 帰り道?森の熊さんの二番を歌いながら帰ったよ。

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