第98話 宿屋前での屋台

 孤児院前で屋台を楽しんだ夏希。


 孤児院前での屋台から3日後。


 今日は宿屋前で屋台をやるのだ。


 商品は孤児院にお願いして手伝ってもらいアイテムボックスの中にある。数量は同じにしてある。

 孤児院前での屋台では余るかと思っていたが、ほぼ完売であった。売上金額は、なんと金貨20枚を越えていた。(20万円だね)

 孤児院には金貨10枚を寄付して子供達には1人銅貨10枚を袋に入れて渡してあげた。

 子供達は袋を何回も開けては覗き込みニンマリして満足そうにしていた。その後に、皆で輪になってコソコソ話をしていたと思うと…


「「院長せんせー、ボクたち(ワタシたち)が、頑張ってお仕事して稼いだの。このお金はいつもお世話してくれてる院長とニア姉ちゃんとマリアナ姉ちゃんにあげるー、いつもありがとー」」


 と、3人に抱き付きながら言った。


 3人は感激の嬉し涙で顔がぐちゃぐちゃだ。「ありがとね」と言いながら子供達を強く抱き締めていた。

(俺も大号泣してたね)


(ああ、もう大満足だ。燃え尽きた)


 なので今日の屋台は低速運転だ。


 だってワンパク小僧達だよ?可愛げ無しだよ?花も無いよ?アイテムボックスから商品を出さないといけないから離れる事も出来ないし…


「はぁ…お前ら売れ」


「なんだよそれ!やる気ゼロかよ」


 お前達の可愛いさもゼロだよ。


「孤児院でやった屋台はなんか凄かったって聞いたぞ。俺達も同じにしろよ!」


 だって燃え尽きちゃったもん。


「なんとか言えよ!」


「頑張れ」


「「「 ふがぁー!」」」


 ワンパク小僧達はぶつぶつ言いながら売っている。


 ただし売り上げは順調だ。前回の評判が良かったみたいでリピーターらしき人達も見えた。


 最終的には約7割を売り上げた。金額は約金貨17枚だったので約束通り、ワンパク小僧達に売り上げの2割銀貨34枚を渡した。(34,000円だね)

 予想より少なかったので売れ残りも全部あげた。(ワンパク小僧達は大喜びだった)


 売り上げが伸びなかった要因は孤児院前の屋台で夕方に決行した作戦 [ 幼き妖精達の誘惑 ] が無かった事だと思う。(名前は今考えた)


 まぁ4人は喜んでるから成功だな。


 今日の屋台でワンパク小僧達と色々話をしていた事で判ったことがある。


 1.孤児院はチェンリ院長の所以外に人族のみの孤児院がもう1つある。


 2.この孤児院は9才までの人族の子供を無制限で養っている。(ワンパク小僧達の3人はここの孤児院出身だ)


 3.街からの予算はその時の人数分支給


 4.スラムに住んでいる子供達は人族のみ、獣人族と人族の混在の2種類のグループがある。


 この街はやはり種族差別がある。


(嫌な感じたな…心が冷たくなる)

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