第55話 幕間 アンナの花嫁修行
私はアンナ6才。
私は夏希お兄ちゃんが大好きなの。
大きくなったら結婚するの。ぜったい!!
夏希お兄ちゃんも大人の美人さんになったら結婚してくれるって約束してくれたもん。(うふふ)
夏希お兄ちゃんは優しいの。それだけじゃなくてとても強いの!
私の病気を治す為に森の奥まで行っていっぱい魔物を倒してきたんだ。
私の王子さまなの!!!
たから私は花嫁修業をがんばる。
まずは美味しいご飯を作って旦那さまの胃袋をギュッとにぎりつぶすの。(ちょっと違うな…)
「お母さん、これ上手く切れないよ?」
アンナが切った野菜は大小と不揃いだ。
「ふふふ、大丈夫よ。愛情さえあれば」
「お母さん、塩と砂糖間違えたみたい…量も…」
鍋の底が白い砂浜のようだ。
「ふふふ、大丈夫よ。愛情さえあれば」
「お母さん、火が強すぎてスープが無くなっちゃたよ。なにか色も変わってきたし」
野菜スープを作っていたみたいだが、今はもう砂糖が溶けてカラメルになり野菜がコーティングされている野菜炒めになっている。
「ふふふ、大丈夫よ。愛情さえあれば」
「よかった~。何とか出来た!」
「ふふふ、愛情いっぱいの料理ね。もうこれを食べたら王子さまはイチコロよ」
違う意味でイチコロである。
「どうしよ~。夏希お兄ちゃんはいまトバルの街に居るから食べてもらえない…」
悲しそうなアンナ。
「ふふふ、また戻ってきた時に作ってあげればいいわ。もっともっと愛情を込めてね」
「そうだね!もっともっと愛情込めて、夏希お兄ちゃんの胃袋をギュッギュッ!!って、にぎりつぶす!!」
夏希に明日はない。
「今日作ったスープは仕方ないからお父さんにでも食べてもらおうかな?」
今日はラグの命日である。
アンナの花嫁修業はまだまだ続く。
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