第14話 獣人村での○日目
ラグ家での生活は今日で2週間になる。
ん?いきなり日にちが飛びすぎだって?仕方ない、その間に起きた出来事は以下だ!
1.バルバドス王国に居る皆は、借家を借りて生活を始めている。戦闘組は冒険者になり順調にレベルを上げる。真奈美さんは残りのメンバーと商売に向けて準備中だ。
2.私のレベルが17になった。これは森に入って魔物を倒したからだ。最初はグロ過ぎて吐いたりしたが今は大丈夫だ。(剣術の腕は大分上がった!(ラグには、まだ勝てんけどな!))
3.ネットレベルが2になった。これは自身のレベルが10になった時に上がった。レベルアップの恩恵は、使用限度残高が1000円から5000円になった。(MAXは50円のままだ。(MAXが上がれよ!))
4.駄菓子屋になった。(子供達がうるさいんだよ!お金は貰えないから野菜と交換だ)
以上が主な出来事だ。
日常は狩りの手伝いがメインで、あとは駄菓子屋やったりサーラさんに料理を教えたりしている。(村ではハンバーグとポテトサラダがブームになってるな。(マヨネーズは無敵だ!))
村の生活にも慣れたな。村の人もいい人ばかりだし、もうここに定住してもいいように思えてきた。あとアイテムボックスにある野菜どうしよう?お菓子と交換して結構貯まってる。アイテムボックスは時間が止まってるみたいだから腐ることはないけど…
「夏希、狩りに行くぞ!」
「ラグか、ちょっと待って。すぐに準備する」
ラグから借りたショートソードを腰紐に挿して装備の確認をする。装備はこの間、街に行った時に革鎧を購入した。(剣は欲しいやつがあったが、高かったのでもうしばらくは我慢だ!)
「お待たせ。よし、今日も大漁だ!」
森に入るのはラグとあと2人居る。ラグよりデカイ熊獣人のザックと小柄で中学生位に見える女性ネネさんだ。索敵が得意で弓の腕もスゴイ!
狩り場は森の手前付近だ。森の奥はラグやネネさんでも手間取る魔物が居る。食糧を得るにはここで十分なので奥に行くことはない。
今日の獲物はレッドボアだ。(猪だな。デカイけど)ネネさんが弓矢で弱らせラグか私がトドメを刺すのが定番だ。熊獣人のザック? 運搬係だ!
今日も危険なことなく2頭のボアを狩ることが出来た。まだ昼過ぎ位だが帰ることにする。(デカくて2頭で十分だ)
「ネネ姉御!今日も素敵な立ち回りでしたね!」
「うるさい!さっさと歩け!」
ぐはっ!その容姿でその口調がなんとも癖になる。(マゾじゃないよ)
1時間程で村に戻ったが何か村の様子がおかしい。村人が中央広場に集まっている。
「何かあったのか?」
「おお、ラグか!アンナちゃんが大変だ!朝早い時間に村の外れで子供達が遊んでたんだがフォレストウルフの群れが現れて襲われたんだ!一緒に居た男の子が庇ってたんだが数が多くて皆噛まれたんだ。
村人が気が付いて助けたが噛まれた後だった。村にあるポーションでキズは治ったが、アンナちゃんと男の子2人が昼過ぎ位から高熱が出て息苦しそうにしてる。薬草を飲ませたが効いてない」
「アンナは今どこに?!」
「今はサーラさんが家で看病している」
ラグは血相を変えて自宅に走って行った。
「それで、これからどうするんですか?」
「夏希か。ポーションは外傷にしか効かん。薬草を煎じて飲ますしかないんだが効いてない。街の医者に診せようにも馬車で3日掛かる。それまで持たない… 過去にも同じ事があり街の医者に診て貰ったが治療方法が無く、数日後には苦しみながら亡くなった」
「話し合ってはいるがいい案は出ていない…」
症状からすると破傷風だろうな。狂犬病だったら筋肉の痙攣が起きているはずだ。この世界では抗生剤がまだ無いのだろう。(どうする?)
ネットで購入は…単価50円の抗生剤なんてあるか?ネットで検索したが該当無しだ。思い出せ!たしか商社勤務の時に試験医薬品メーカーと取り引きしたことがある。その時の話の中には抗生剤もあったはずだ。
たしかジェネリック製品の試供品単品販売があったはずだ!単価は1回分が100円未満だった!
ネットスキルの単価MAXを上げるしかない!制約解除条件は判らないから、自分のレベルを上げてネットスキルのレベルが上がることに賭けるしかないか…
時間は無い。今の狩り場ではもうレベルが上がり難くなっている。(森の奥に行くしかないか?)
悩んでる暇はない。行くぞ!
「アンナちゃん以外で高熱が出ているのは誰ですか!」
「ああ、加治屋の息子のトトとネネさんとこのカイトだ」
私はネットから単価50円で買える鎮痛剤を3000円分購入した。(売ってて良かった…)
「これを高熱が出ている男の子に飲ませて下さい。1回2粒です。次は3時間空けて下さい。沢山飲んでも効き目は変わりません。完治は無理ですが幾分か症状を抑える事が出来ると思います」
「夏希!これはどこで手に入れたんだ!」
「説明は後で絶対します。完治の為の薬を準備するのでそれまで待ってください。森に入る必要があり明日中には何とか戻って来ます。ただ、確実ではないので皆さん引き続き対策を考えてください!」
「アンナちゃんに薬を渡して来ます!」
私は急いでアンナちゃんのもとへ向かった。
「ラグ、アンナちゃんはどうだ!」
「夏希か。薬草を飲ませてるが高熱と呼吸が荒い…」
ラグは、顔色が真っ青だ。サーラさんは涙目になりながらもアンナちゃんの手を握って看病している。
「この薬を飲ませて!完治は無理だが症状は抑えられると思う!1回2粒だ、次は3時間空けて飲ませて!」
「夏希、この薬は?!」
「前に話したけどネットで買った。私の国の薬だ。ただ、完治出来る薬を買うには、レベル上げる必要がある。今から森に入る。明日中には何とか戻ってくる。それまで頑張ってくれ!」
「夏希、俺も行くぞ!」
「駄目だ。ラグが居ない間に何かあってもいけない。アンナちゃんの側にいるんだ!どうせレベル上げるには私が戦わないといけないしな」
「夏希さん、アンナを助けて…」
「サーラさん、任せてください!アンナちゃんは必ず助けます!」
「夏希、すまんが頼む!」
よし、絶対に何とかしてやる。行くぞ!
夏希は扉を開け、森に向かって走り出した。
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