獣人村編
第10話 人里発見
人里を目指し西に向けて歩きだした夏希。
太陽は西に傾いている。時間は腕時計を見ると3時すぎだ。地球と同じであればだが、そんなに誤差は無いように感じられる。
季節は春先なのかポカポカ陽気だ。歩いて一時間位にはなるが道らしき物はない。魔物もまだみていない。(ウサギらしき物は、たまに見かけるが近寄ってこない)
強化されている為なのか疲れは感じない。ただ、お腹は空いてきた。(駄菓子だけだとな…)
それから歩くこと追加で2時間ほどたった時、ようやく道らしきものに交わった。道は馬車などに踏みかためられていて幅は2メートルくらいかな。
道は南北へ続いている。西に向けて歩いていたがどうするか?(南に向かうとするか)
南に進路を変更して歩き始める。もう夕方だ。そろそろ見つけないと野宿になる。夜営道具が無いからこのままでは危ないな。夜は魔物が出て来る可能性が高い。
少し焦りを感じた夏希は走り始めた。
「あ~、走ってもそこまで疲れないな。最初から走っとけばよかったかな」
ラノベ定番だと魔物か盗賊に襲われた商人とか姫様と遭遇したりするんだけど何もないな。(あっても勝てる気はしないけどな!)
少し暗くなってきたな。(ヤバイな…)
「ん?道から外れるが西の方向に灯りが見える!」
灯りの方向にダッシュだ!
ダッシュして10分ほどで人里が見えてきた。木で出来た高さ2メートルほどの壁があり、その上で2人見張りをしている人がいた。
何も持っていないと怪しいかなと思い、ネットからリュックを取り出して肩に担いだ。(もうネットでなくてアイテムボックスの表現でもいいよね)
ゆっくり歩いて近付く。
「すいません!中に入れて貰うこと出来ますか?夜営の道具もなくて困ってます」
見張りの1人が声を掛けてくれた。
「お前は人族か?ここは獣人の村だ。それでもいいのか?」
声を掛けてくれたのは、ガタイのいい30代ぐらいに見える頭に耳がある銀髪の男だった。
ん?種族間での争いは無いと天使は言ってたはず。(違うのか?)
「全然問題ありません。お金はあるので宿に泊まれたら助かります!」
「そうか、見た感じ大丈夫そうだな。今、門を開けるから門の前まで来てくれ」
「ありがとうございます!」
助かった。中に入れて貰えそうだ。門の前で待っていると先ほどの見張りの人が出てきた。
「こんな時間と場所で人族が1人でどうしたんだ?荷物も少ないし魔物にでも襲われたか?」
どう答えるべきか…ラノベでは、こういった場合は記憶喪失とか転移魔法陣で飛ばされたとかだよな。
「仲間が居たのですが、私だけ魔法の暴発かなにかで知らない場所へ飛ばされたみたいなんです。ここから東に4時間ほどの草原に気が付いたら居ました。歩いて人里探していたら、ここの灯りが見えたので…」
「そうか、たまに聞くな。まぁ怪我も無いみたいだし良かったな。夜は魔物が出るからな。取り敢えず、もう少し話を聞かせて貰うから中に入ってくれ」
中に入ると村の情景が目に入る。木造平屋の建物が100棟とまでは無いが割りと多いな。中央に大きな広場があり、その両脇に家が立ち並んでいる。広場の奥には井戸と10家族は使えそうな炊事場がある。(洗濯と家事はここでするのかな?)
門の近くに待機所があり、そこで話をすることになった。
「俺はラグだ。見張りは村で交代でやっている」
「私は夏希と申します。入れて頂いてありがとうございます。知らない場所で困っていて助かりました」
「夏希だな。丁寧な口調だが商人では無いのか?商人なら獣人への偏見も少ないみたいだがな」
「商人ではないです。種族での垣根は無いと聞いてたんですが違うんですか?」
「ん?それは隣の国だな。あそこは国王が優秀で善良だからな。この国は一部の貴族がな…」
そうか、転移したのは多分その国だな。(後でメールで国名確認しよう)
「ここの国名はなんですか?」
「ここか?ここはアスディール帝国だ。隣がバルバドス王国だな。バルバドス王国から転移したんだろ?」
「はい。ここからどれくらい距離があるんでしょうか?」(多分バルバドスに皆はいると思う)
「ここからか? 馬車で1ヶ月位か、歩きだと3ヶ月はかかるぞ」
これはどうするかな?
「この村から馬車で3日ほど行くと人族の街がある。そこで高速馬車に乗れば10日程で着くぞ。人族の街行の定期馬車が2日後にある。この方法が最短だな。」
お金は大丈夫だな。(天使から貰ったお金が丸々のこっているからな)
「それで行きたいと思います。色々とありがとうございます。あと、今日と明日の宿を紹介頂けないでしょうか?」
「宿は無いな。ここ来るのは住人の親類ぐらいだ。商人も滅多に来ない。2日後に出る定期馬車も街へ買い出しと売りの為だしな。俺の家に来い泊めてやる」
夏希は親切な村人ラグさん家に泊めて貰うことになったのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます