試作型短編42話  数あるモテ期到来ちょこっとかっちょいい女子

帝王Tsuyamasama

ゆもみちゃん登場

ゆきー、起きろーっ」

「……むぐぅ……んだよゅもみぃ……ゃすみなんだからもぅちょぃねかせ」

「おぉーきぃーろぉ~っ!」

「だーわあったわあったそんなうどん屋の棒みたいにぐりぐり伸ばすなー!」

 背中を押されながらぐいぐい転がされ、危うく朝からコシのある麺にされそうになった野都府のとふ 桃雪ももゆきくんはこちらです……。

(ちっちぇーくせに力あるんだよなぁ)

 このセリフを声に出すと麺にされた挙げ句ゆでられておいしくいただかれちゃいそうなので言えない。冴城さえしろ 遊紅絹ゆもみならガチでやりかねんっ!

 仕方ないのでむくり。昔から使ってる青色ボディに二連ベル式の目覚まし時計を見てみると……

「七時じゃねーか……」

 ぼそりとつぶやいたが、ベッドの横で立っている遊紅絹はこれまった上機嫌そうだなおい。

(そりゃ今日別に用事ないとは言ったけどよぉ)

 赤い長そでシャツに水色オーバーオール。腰に両手を当てて仁王立ち。にっこり。これに外に出てるときは黒いキャップをかぶっていることが多いが、今は室内のためかかぶっておらず肩を越す黒髪がよく見えている。

 選ぶ言葉も男っぽいというか、はっきりしゃべるタイプ。これらの要素だけだとかっこいい系女子なんだが……

「ごはんできたぞ! 食べるぞ!」

「ここ何だと思ってんだよ……」

「早く来い!」

 さも当然のように。さも当たり前かのように。さも日常のひとコマかのようにそうセリフを放った遊紅絹はそのままてててーっと俺の部屋から出ていった。

 そう、てててーっが似合うくらい遊紅絹は身長が低いのだ。同じ中学二年生なはずの俺たちなのに、未だに初見者からは小学生扱いされまくる遊紅絹なのであった。遊紅絹の頭が大して身長が高いわけでもない俺の肩にも届いてないという。

「……しゃーねーなっと」

 ちょっと伸びをしてから、俺はベッドから出た。

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