霞 ⑨
久しぶりに手紙を書くのが面倒くさいと思ったよ。今すぐにでも家を飛び出して、冬夜を探したい。
そう思っていたら筆を進めることを忘れていたんだ。
手紙の余白なんて、もう私達には関係のないことだな。今は、この1秒、1行が勿体なく感じている。
次が最後の手紙になるな。私は、冬夜に手紙で贈る最後の言葉を決めている。
次の手紙を投函したら、その日から冬夜を探しに行くよ。
私達を繋いでくれたこの時間も、もう終わりだ。次会う時は、私達はどこで、どんな顔で、どんな服を着ているんだろうな。
嗚呼、楽しかった。そしてこれからも、毎日私は心を踊らせて生きられそうだ。
冬夜はどんな顔をしているのかな。どんな服を着て、どんな笑い方をするかな。どんな声をしていて、どんな風に私を愛してくれるのかな。
どんなお茶菓子が好みで、どんな味付けの料理が好きかな。飲み物は、炭酸が苦手だと可愛いな。
あぁもう、もどかしいな。冬夜、早く返事をくれ。私達が新しい時間を紡ぐためには、この関係を終わらせなければいけないんだ。
つい先日まであんなに嫌がっていた関係終了を望んでいるなんて、私も我儘なものだな。
今までで1番返事が待ち遠しいよ。冬夜。
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