第161話 オーナーは誰?
マンションに戻った俺たちを呼んだのはコミアさんだった……こんな遅い時間に見かけるのは初めてかもしれない。
「コミアさんっ! ご無事だったんですね! 良かったぁー」
「お嬢ちゃんの様子を見る感じ、火事のことはもう知っているようね?」
「ああ、俺たちさっきまで現場にいたんだ」
「こんな時間にかい?」
「銀髪が腹を空かしても大丈夫なように、追加の弁当を買いに出ていたんだよ」
「そうかい……それは大変だったねぇ……あたくしはSNSを見て知ったんだよ……ほら、ここに写真が貼られているでしょ?」
コミアさんはスマホの画面を俺たちに向けて見せてきた。そこには、さっきまで見てきた光景が生々しく収められた写真が貼られている。
きっと、あの場に来ていた野次馬の誰かだろう……ん? よく見たら俺と五十嵐さんの後ろ姿も撮られてるじゃねーか……まったく、油断も隙もあったもんじゃねーな……このことはコミアさんには黙っておこう。
「コミアさん、この画像をみて外に出てきたんですか?」
「そうよ。仮にも、あたくしの職場だからねぇ……心配にもなるさ……でも、坊やたちと話していたら落ち着いてきたし……あたくしが行ったところで何か出来るわけでもないからね」
「そういえば、あの店のオーナーって誰なんですか?」
「ん? あぁ……それは……言っていいのかしら……うーん」
「あ! いや、無理にとは言わないですよ。少し気になっただけですから」
「まぁ、いいわ。坊やたちが何度か会ったことのある人物よ」
「俺たちが知っている人物?」
誰だ? モウツαはオーナーって感じじゃないし、あとは……誰かいたっけ? あっ! うららぎか? そういやあいつ、以前にアルバイトじゃありません! とか言ってたもんな。オーナーだったのか?
「うららぎがオーナーだったんですね」
「え? 違うわよ。ホンマよ、ホ・ン・マ! 話したことあるわよね?」
「えええええええっ! あいつコンビニのオーナーだったの!? 嘘だろ?」
「嘘じゃないわよ……まぁ、信じられないのは理解できるけど」
まさかホンマが、うさぎのらびっとのオーナーだったなんて……すげー意外……あいつ火事のこと知ってるのかな?
「そういえば、坊や。さっき弁当がどうとか言ってたわよね?」
「あ! そうだ! そうなんだよっ! うさぎのらびっとが、あんなことになってしまって、これから銀髪の弁当どうしようかと悩んでいたんだ」
「なる程だねぇ……それなら、あたくしが今後、暫くの間、カルビ炭火焼弁当だけでよければ作ってやってもいいよ。勿論、お代は頂くけどね」
「本当か! 助かるよっ! 勿論、お金は払う!」
「良かったね、集塵くん」
「ああ!」
――本当に良かった……これで銀髪の栄養補給の心配は無くなった……。
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