第154話 繋がり
何故、ねこは銀髪の名前や、姫と呼ばれたことを知っているんだ? 名前の方は、俺の知らないところで聞いていた可能性もある。だけど、姫呼びに関しては知る可能性は低いはずだよな。
あの場に……モウツαの部屋に居た? いやいや、それも無いはず。絶対という保証はないけど、あそこには居なかったはずだ……だって、ねこは朝から留守にして……。
何処に……行ってたんだ?
「ぼーっとして、どうしたにゃ? わたっちは風呂に入るにゃ」
「いや、お前、銀髪の名前を、いつ知ったんだ?」
「にゃー、そのことにゃ? ずっと昔からだにゃ。少なくとも集塵より前にゃ」
「俺より……前?」
ちょっと、まて、どう言うことだ。だって、ねこは俺や五十嵐さんよりも後に銀髪に出会って……。
「どういうことだよ? 銀髪と出会った時のお前は、どう見ても知り合いって感じじゃなかったぞ」
「あの時は、わたっちの方だけが認識していたにゃ」
となると……。
「ねこ……お前、まさか……ストーカー」
「違うにゃ!」
ねこは手足をバタバタとさせて、必死に否定をして見せた。
まぁ、ねこは女性だし、その可能性は低いか……でも、一方的に知っているというのは、おかしいよな? どんな繋がりがあるんだ。
「なんだか、色々詮索しているように見えるにゃ。知りたければ後で教えてやるにゃ。今は、わたっちじゃなくて、ホリエ姫と話をするにゃ」
たしかに……。
「そ、そうだな……後で詳しい話を聞かせてくれるか?」
「わかったにゃ……もっとも、その時には、わたっちの話は必要ないかもだけどにゃ」
ねこは返事をすると軽く手を振り、風呂場の方へと行ってしまった。
なんだ、なんだ? 意味深なことを言いやがって……どういうことだよ……モウツαと銀髪の繋がりでさえ謎なのに、今度はねこまで……。
でも、ねこの言う通り、今は銀髪との話が最優先だ……。
「集塵。ねこと、わたしの繋がりが気になるの?」
「おわっ! 驚いた! いきなり声かけないでくれよ……」
そういや、銀髪もいるんだった……あまり今の会話は聞かれない方が良かったかもしれないな。
「えーと……それは気になるよ。だって初めて会ったときは、お前たち知らないもの同士みたいだったじゃないか」
「そうだね……あの時は、そんな感じだったのかもね」
「かもねって……まぁ、いいや。今は、ねこのことよりも、銀髪、お前自身の話を聞かせてくれよ」
「そうだね……約束したもんね」
銀髪は静かに頷くと下を向いたまま動かなくなった。
うーん、さっきからどうも調子狂うなぁ……銀髪の奴、やけに大人しいというか、妙に落ち着いた雰囲気なんだよな……最初は体調悪くて元気が出ないだけなのかと思っていたけれど、そうではない気がしてきた。
「わたしはね……此処の星の人間じゃないの……」
「知ってるが……」
「……」
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