第122話 やりすぎだぜ

 モウツαは銀髪は無事だととらえることのできる発言をしていたな……銀髪は無事なのか?


「モウツα! どういうことなんだ!」


 うららぎとモウツαが揉めている中、俺は銀髪の無事をいち早く確認したいという思いで問いかけた。


「あ! ごめんごめん。彼女は無事だから安心してよ。ほら」

 

 モウツαは、そういうとズボンのポケットからスマホを取り出し画面を俺に向けて見せた。


「銀髪!?」


 画面の中には銀髪が地面に立ってキョロキョロとしている姿が写っている。どういうこと……そうかっ! 俺の予想が当たっているならば……。


「タイツの機能か?」


「タイツ? あー、そうだね。集塵くんのいうタイツは僕たちでいうスーツのことだよね? その通りだよ。あれの機能が彼女を守ったんだ」


 やはりそうか……とにかく銀髪が無事で良かった。


「彼女についての話をしに来たんだよね? その内容を聞かれても困るんだよ」


「だから、銀髪を五階から落としたというのか? いくらなんでも、やりすぎだぜ」


「うららぎさんから連絡を貰ったとき恐らく彼女は断ってもついてくると思ったんだよ。だから強硬手段をとるしか無かったんだ。分かってほしいな」


「分かるかよ……もし、タイツ……いや、スーツの機能が何らかの原因で発動しなかったら、どうするつもりだったんだ! 一歩、間違えたら銀髪はもうこの世にいなくなっていたんだぞ!」


「なるほど……そこは考えもしなかった」


「仮に、あの時うららぎから説明を受けていたとしても、俺は今回、お前のとった行動には賛成は出来ないぜ」


「……あれが誤作動を起こす確率は、ほぼ0といっていいけれど……うん、そうだね。集塵くんの精神的不安までは計算には入れていなかった。謝るよ」


「そういうことじゃねーよ……」


 こいつら本当に頭がおかしいんじゃねーのか……ほぼ0だと? ほぼってなんだよ……失敗する可能性はあったということじゃないか……。


「とにかく話をするのか、しないのか決めてくれないかな? 早くしないと彼女が此処に戻ってきてしまうよ。もっとも鍵は閉めてあるから、壊しでもしないかぎり入ってはこれないけどね」


「あ……モウツαくん……」


「どうしたの? うららぎさん」


「鍵……まだーー閉めてないよーー!」


「早く閉めて!」


 ――ガチャ


 うららぎが扉の方へ足を向けたその時、玄関ドアが開く音がした。俺は音の方へ目を向ける。


「集塵! 大丈夫か!」


 ――開いた扉の先には、腰まである銀色をした髪の少女が立っていた……そう、銀髪だ……。



 







 







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