第113話 モウツαの部屋へ……!
なんだかんだで無理矢理ヨドラ文鳥に留守番を押しつけてきてしまった……まぁ、仕方ない……出来るだけ早く戻ることにしよう。
「お? エレベーターが丁度一階で止まってる。ラッキーだ。えーと……五階だな」
エレベーターのボタンは他にも二階から四階へのボタンが並んでいるけど一度も押したことはない……用もないし、当たり前なんだけど。
それにしても、こもマンションの五階はどういうわけか知り合いばかりだな……五十嵐さんにうららぎ……そしてモウツα……いや、まてよ……一階にはコミアさんもいるんだった。
このマンション自体に知り合いが沢山住んでるじゃないか。まさかとは思うが他の部屋にも住んでたりしないだろうな? これから引っ越してくるとか……なんだか怖いんだけど。
エレベーターを降りた共通通路から見える景色は絶景とまではいかないけれど街並みが一望できて綺麗だ。俺も出来れば上階に住みたかったが、家賃の関係で諦めるしかなかったんだよな。
モウツαの部屋は……あった! たしかこの部屋だ。呼び鈴押したらうららぎ出てきたらどうしよう……五十嵐さんは学校いってるし彼女の部屋を間違えることは、まずないけど。
「よし! 押すぞ」
「……」
ん? 反応が無いな……もう一度押してみるか……。
「ポチっと……」
「はい……」
お? 居るじゃないか!
「あ、集塵だけど……ちょっと話があってきたんだ」
「集塵? 知らないでーーす」
ふざけてるのか? 変な話し方しやがって……。
「勧誘ならーーお断りですよーーーー!」
「突然訪ねてきたのは申し訳なかったけど、この間の件なんだ。少し時間もらえないかな?」
「迷惑でーーす」
迷惑って……研究で忙しいのかな? まぁ、あまりしつこくするのも問題あるか……仕方ない、今日のところは諦めて後日また来ることにしよう。
「悪かったよ。また出直す。お詫びといってはなんだけど、この間のお礼もこめて次は何か美味いものでも持ってくるぜ」
ヨドラ文鳥と銀髪も待たせていることだし、残念だけど早々に戻るとするか……。
――ガチャ!
ん? 今、ドアの開く音がしたような……。
「ちょっと、待ってくださいーー!」
背後から呼び止めてきた声に反応して振り返ると、そこにはピンクのうさぎの着ぐるみを着た怪しい人物が立っていた……それは俺が見慣れた奴だ……。
「うららぎじゃねーか! なんでお前が出てくるんだよ!」
「失礼ですねーー! 誰かと思ったらいつもの客じゃないですか!」
――もしかして俺……部屋を間違えたのか?
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