生命の秘法

最時

老化と若さ

 時流時空(じりゅう じくう)

 不老の秘術。生命の秘法を捨てて「時空の識」時空の完全な知識を獲得した最高の能力者。

 識者連盟総帥室で一人思う。

 

 完全な知識「神識」獲得のため、「時空の識」獲得のために生命の秘法による不老を放棄した。

 そのことに後悔を感じたことはない。

 生命の秘法で長く存在して、先を見ることはできるが長く生きたところでできることなど限られている。

 一人の人間が到達できるところなど限られている。

 五千年生き、最も多くの識を獲得しているランザードもその後に生まれた、神法、御月、私と、識連総帥の座、神識開封の鍵、要石の継承者は年月と共に移っている。

 人は進化していくが、個人の成長は限界がある。

 老化しないと言うことと、若いと言うことは違う。

 ランザードもその核となる識の獲得は二十代だった。

 

 我が子の貴流と、封地の管理者、霧河燈真君は十代での獲得。

 二人はどこまで行けるのだろう。


 生命の秘法を放棄したときに力を借りたのが生命の識者、鏡正伸。

 上位の識を獲得していながら、田舎で農業をしている変わり者だ。

 あの方によると私の本来の寿命は八十八らしい。

 なんとも縁起のいいことだ。

 あの方の餞かなと

 しかし思ったより長く生きられるものだなと。

 神識開封に立ち会えれば良いと思っていたのだが、貴流の次の世代も見届けられそうだ。

 十分だ。

 その前に神識開封の大仕事がある。

 なんとしても歴史をつなげなくては。

 次の世代につなげる事ができればいいんだ。

 

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生命の秘法 最時 @ryggdrasil

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