公募の時に要求されるあらすじの書き方
葛西 秋
あらすじだけで1次予選落ちしないために
はい、また来ました、ノコノコと。
さて、初めての公募、あるいは公募に出し始めたばかりのころに戸惑うのが、本文とは別に添付を要求されるあらすじです。
うっかりここでカクヨムやその他web小説に付けるあらすじをそのまま出してしまいますと、本文を読まれないまま、あらすじのページだけで選考落ちという恐ろしいことがある、ようです。
そもそもweb小説に付けるあらすじは、読者を引き付けるためのキャッチコピーも兼ねています。興味関心を引くために、あらすじの最後を「読んでのお楽しみ!」的に書かない、というのは、web小説においては常套手段です。
ですが、公募では違います。
公募で作品を読むのは、選考者です。下読みから編集者まで段階はいくつかあるにしろ、読者ではありません。その作品の良しあしを判断する判定者です。
「読んでのお楽しみ!」とばかりに結末を書かかないあらすじを見て、判定者は「ああこの小説は最後まで書けていないんだな」と判断し、そのまま本文が読まれることなく選考から脱落するということも公募では良くあるそうです(……ちょっとこの辺、モヤッとさせておいてください)。
ですので、まず公募に付すあらすじに大切なことは、
小説の最後までをしっかり書くことです。
「AとBが恋に落ちていろいろあってその恋が成就する」
基本、恋愛を主軸とした物語のプロットの骨子はこれだけだと思います。
このプロットに肉をつけ皮を貼り、デコレーションしたのが皆様の作品になっているかと思うのですがいかがでしょうか。
だいたいこの一文で終わってしまう内容を、どれだけ自分が工夫しオリジナルなストーリーや設定で味付けしたのかを選考者にアピールする場が、あらすじです。ここで自分の作品を上手くアピールできないと、次の選考に進むことは難しくなります。
その点を念頭に置き、少なくとも以下の4点については必ず書き込んでください。
1.背景
2.キャラクター設定
3.いろいろあって(何があったのか)
4.恋が成就する(あるいは別離を選ぶとか死に別れとか、結末を明記することが重要)
1.
背景は、物語の舞台と言い換えることができます。
単純に短く。設定集の内容をずらずら並べたところで字数制限がかかるだけです。少ないフレーズで、初見の人も容易に物語の背景を映像としてイメージできるような、そんな記述を心がけてください。
2.
次に大事なことは登場人物の明記です。名前をできればフルネームで、ふりがなをつけて出してください。誰が主役となる物語なのか、選考者に明確に伝えてください。
そしてその人物は、どのようなパーソナリティをもっているのか。これは物語の進行にも関わる内容ですので、本文と破綻がないように書きましょう。
恋愛が主軸になる場合は、その二人の関係性も簡易に記しましょう。
……ぜんぶ、書いてください。出し惜しみをしている場合ではありません。作品がどれほど面白い素材で成り立っているのか、この部分でも判定されます。つまりアピールポイントです。
3.
いろいろあって、だけで済ませたものはあらすじとはいいません。具体的に何が起きたのかを書きましょう。もう一度繰り返しますが、読むのは読者ではありません。選考者です。興味を引っ張るためにぼやかす、などという小手先技は選考脱落を早めるだけです。
この物語のコアとなる部分、自分が物語で書きたかったことがこの部分に集約されているはずです。それを端的にまとめて書くことができないのなら、その原因として本文のプロットが破綻している可能性があります。あらすじを書いている場合ではありません。もう一度、本文の書き直しを検討してください。
4.
物語の結末を書きましょう。
あらすじは物語の構造も評価されます。ストーリー全体の辻褄が合っていて、ちゃんと結末まで誘導されているかが重要です。
「こんな
と、ちゃんと結末までをあらすじで明記することは、物語の構成全体が成立している証左となります。
ここまであらすじを書いてきて結末だけつながらない、ということがあったら、この場合も本文のプロットが破綻している可能性があります。あらすじを書いている場合ではありません。急いで本文の書き直しを検討してください。
web小説のあらすじは読者に向けてのものですが、公募のあらすじは選考者に自分の作品をアピールするための釣り書きです。物語の結末まで明らかにしてなお、その作品の本文を読みたいと思えるような、そんなあらすじを目指してください。
せっかく書き上げた本文を選考対象として読んでもらう前に、あらすじが原因で落選してしまう、そんなことがないように、自分の物語がどれだけ魅力的かを是非、あらすじで十分にアピールしていただければと思います。
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