日記でセーブができることに気付いてしまった

嬾隗

セーブ機能は意外と不便

 ある日、俺は気付いてしまった。日記を書いた時間に、自動で戻ることができる、セーブ機能がある、と。

 気付いたきっかけは、車にひかれそうになっていた野良猫を助けようとした時。あの時確かに俺の体は空中に放り出され、アスファルトに強く打ち付けたはずだった。そして、毎日付けている日記を書いている瞬間に戻された。最初は意味が分からずにいたが、野良猫がひかれそうになっているのを見て疑問に思い、その日から能力の検証を始めた。もちろん、野良猫は助けられた。


 結局のところ、能力についてわかったのは、日記を書いた時間に戻ることができること、日記を書いた時間に戻ることができること、自力では戻ることができないこと。

 まず、日記を書いた時間に戻ることができること。これは、日記帳を変えて試してみたが、同じく戻った。つまり、俺自身にセーブ機能が備わっていることになる。どこかの財団なんかに解剖されたりしそうなので、秘匿しておくことにした。

 次に、日記を書いた時間に戻ることができること。いつ書いても戻れるのか実験してみると、正午付近に書いても真夜中に書いても戻れることが判明した。つまり、ボス戦前セーブ(死ぬ直前セーブ)ができる。これはすごい。

 最後に、自力では戻ることができないこと。何度か自殺を試みたり、他人に殺害依頼をしたりしたが、なぜか不思議な力が働き、殺されないし、自分では怪我をすることも困難であった。まさかシャーペンの芯で手を刺すのもダメだとは思わなかった。


 結論。意外と俺のセーブ機能は無能。




   完

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