第554話
レース開始の合図と同時に走り出す恐竜と鼬。俺達も牛に合図を出して走り出そうとしたんだが、こいつ一歩も動かない!!さっきまでのやる気は何処にやったお前!?
【さぁいよいよレースが始まりました!各選手スタートの合図とともに猛然と走り始めて、なぁーーーい!!一組だけスタート地点で止まっているぅーーーー!!】
【あれはルド・シチートペアだね。一体どうしたのかな?トラブルになるような生き物じゃ無かったと思うけど・・・。あー、そう言う事かぁ。】
【何か知っているのですか空神様!!】
【うん、多分あれはラニングビオストが拗ねちゃってるね。彼の真意に気がつけるかなぁ?】
【拗ねてるんですか?一体どうして?】
【それはルド君が原因だねぇ。】
「こらっ!お前が走らないとレースにならないだろうが!早く走れよ!」
「ぶもっ!」
「首を横に振るって事は嫌だって事か?本当にどうしたんだお前?」
「ちょっと良いかしらルドきゅん?」
「ん?どうした師匠?」
「どうしてルドきゅんは縮んでいるのかしら?」
「へっ?いやそのほうがこいつ走りやすいだろうと思ってだが?体重も軽くしてるぞ?」
金剛巨人体の熟練度が上がった事で身長は1メートルから50メートルまで変えられるようになった。体重も0,1倍から50倍迄変化出来るようになった。だから俺は今身長を一番小さくして、体重も8キロくらいに落としている。
ん?俺の体重?80キロだが?あっデブじゃんと思ったそこのお前!筋肉って意外と重いんだぞ!身長160センチで80キロ何て普通なんだからな!断じて脂肪ではない!!
「多分それじゃない?この子が臍を曲げちゃったのって。さっきから物足りないってオーラがビンビン伝わって来るから。」
「そうなのか?」
「ぶんも。」
普通に頷いて返してくる牛。こいつ滅茶苦茶賢いな?って感心している場合じゃなくて、俺が軽いから不満なのか?
「ってか師匠は良くこいつの気持ちが解るな?」
「あら、私は色欲の悪魔よ?相手の好みを瞬時に理解する何て朝飯前なのよ。本命には通じてないみたいだけど?」
「何の事かなぁ?」
通じてない訳じゃ無いんだぞ?容姿は滅茶苦茶好みだし、普通にしていれば出来るお姉さん!って感じてとても好感が持てる。だが、それ以外の時の奇行を知っているからかそう言う気持ちにならないってだけだ。だから背中に胸を押し付けて来るな。耳に息吹き掛けるな!
「はっはぁー!まーだスタートしてねぇのか!こりゃ楽勝だなぁ!!」
「へっへっへぇ~。お先―!」
スタート地点でもたもたしている俺達の横を恐竜と鼬が走り抜けていった。しかもそばを通る時に師匠を狙って攻撃までしてきやがった!俺が障壁張って無かったら危なかったな。
「ほらほら、早く大きくなって重くなって上げなさいよ。じゃないとこの子走らないわよ?」
「うーん、でもどれくらいデカく重くなって良いか解らないからなぁ。」
「ぶもぶも、ぶんも。」
「大きさはさっきの3メートルくらいで良いらしいわよ。重さは出来るだけ重くなれって。」
「最大迄重くなったら4トンになるが?絶対走れないだろうソレ。」
「ぶんもぉ~!!」
「私を信じなさいよ!!ですって。」
「こいつ雌なのか!?」
「良いから良いから、言う通りにしなさい。あいつ等もう3週目に入るわよ?」
師匠と言い合いをしていたら相手がまた俺達を抜かして走り去って行った。あぁもうどうなっても知らんからな!
「身長3メートル体重4トンに変化!」
ズシンッ!ビキィッ!「ぶもうっ!」
「あぁもうほら無理だって!背骨折れるぞ!」
「ぶんもっ!」
「行ける!ですって。」
ズシンッ!ズシンッ!ズシンッ!!
【さぁやっとルドペアが走り始めました。ですがこれはかなり遅―い!!】
【あの種族の悪い所が出たねぇ。鍛錬の為なら無茶な事もするんだよね。でもまぁ、歩けてるから大丈夫かな?】
【ですがこれではレースにならないのでは?ルドペアがやっと半周まで来ていますが、レイドペアはすでに5週目に入っています!】
【えっとね、ラニングビオストっていう種族には在る特性があってね?それは鍛錬した成果がすぐに出るって事なんだ。】
【それがレースとどのように関係が在ると?】
【鍛錬が過酷であれば過酷である程彼等の体は急速に進化していくんだよ。で、ルド君の体重は今4トンあるよね?その重さに適応出来たらどうなると思う?】
【どうなるんです?】
【脚力が爆上がりしてスピードもスタミナも上がるんだよ。もちろん体もそれに合わせて強くなる。現に今徐々に走り始めているでしょ?見ててよ、あれがどんどん加速して行くから。】
【本当です!みるみる内に加速していきます!】
ドスン、ドスン、ドスン、ドスン、ドス、ドス、ドス、ドス、ドドドドドドドドドドドドドドド!!
最初は歩くくらいのスピードだった牛が、徐々に駆け足になりそして今かなりのスピードで走り始めた!俺の重さはもちろん変えていないから、地面を脚で抉りながら走っている!!
「でもあいつ等すでに6週先に居るんだぞ?これ間に合うか?」
「そう言う時の為の私でしょ?このレース、妨害は禁止されていないもの。さっきから私ばかり攻撃してきて鬱陶しいのよねぇ。だから久しぶりに<城壁>。」
ゴゴゴゴゴゴゴ!!
コース上に師匠が城壁を展開した!久しぶりの事で懐かしく感じるなぁ。そして相手チームは城壁に阻まれて進めなくなった。
「ってこれじゃ俺達も進めなく無いか?」
「大丈夫よ。この子ならね?」
「ぶんもぅ!!」
ドガーーーン!
何と牛は城壁に突っ込みそのまま突き破った!師匠は即座にその穴を塞いで相手が通り抜けない様にしている。師匠の城壁破るなんてこの牛凄いな。
【おぉーっとここでルドペア相手の妨害に出たぁ!!これによりレイド選手達が足止めされているぅ!!】
【2週目から出て来るトラップを綺麗に避けてたのにねぇ。まっ、最初に妨害してたのは彼等だからやり返されても仕方ないね。】
【さぁそうこうしている内にルドペアがやっと2週目に入った!最初のトラップは!!】
【ルド君は体験済みの沼地だよー。足が取られるから速度がかなり落ちるね。レイドペアは身軽さを使って綺麗に飛び跳ねてクリアしたけど、ルド君達はどうするのかな?】
コース上にいきなり泡を立てる茶色をした沼地が現れた!4トンの重さが在る俺達がその中に突っ込んだら沈んで終わっちまう!
「一旦止まってくれ!障壁でなんとか足場を「その必要はないわ。」いや在るだろ!?」
「大丈夫よ。もうこの子はこの重さでも羽の様に地面を蹴れるわ。」
「だからって重さは変わらんだろうが!」
「気がつかないの?さっきからこの子、地面を抉って無いのよ?」
「ぶんもっ!」
「はっ?」
そう言えばさっきまでしていた思い足音が一切していない。トトトトトという軽い足音だけで地面の吹き飛んでない?
「脚運びがかなり速くなってるのよ。だからこれくらいの沼何て意味が無いわ。」
「ぶもーん」
パシャシャシャシャシャ!
師匠の言葉の通り、牛はそのまま沼に突入。何と!少し泥が撥ねくらいでそのまま沼地を駆け抜け始めた!
「どうなってんだコレ!?」
「あら、そんなの簡単よ。右の足が沈む前に左の足を出してるの。ただそれだけよ。」
「そんな忍者みたいな事マジでやってんのか!?」
「ぶんもっ。」
走りながら返事を返してくる牛。あっという間に沼地を抜け、師匠が張った城塞が見えて来た。
「こんの!この邪魔なものを退けろ!」
「くそう!壊れないぃぃぃ!!」
恐竜に乗ったレイドがこちらに向かって攻撃してくるが、それはもちろん俺の障壁が弾く。トイチと言われた相方は、ずっと城壁の方を攻撃していた。その横を、城塞を破壊しながら牛が通る。
「今度こそ!」
「残念。通行止めよ。」
「畜生!!」
俺達が開けた穴をまた通ろうとして師匠に止められる。これで5週差だ!
【さぁルドペアが徐々に追い付いて行きます!】
【コースの横に出れば良いと思った人。コースを外れた時点で失格になるから無理だよ。しかし城壁のシチートの力が健在だったとはねぇ。ほら、何もない様に見えて城壁の上にもしっかりと障壁が張ってあるよ。その所為でレイドペアは飛び越えられてないね。】
【これはレイドペアが先に城壁を壊すか、ルドペアが追いつくかの勝負になって来たぁ!】
【さぁ次の罠が発動するね。今度は針山だよ!・・・うん、今のルド君達には意味が無かったね。】
【あっという間に踏み潰していきましたぁ!!】
【4週目はコース外からの矢による攻撃だけど。こっちも意味が無いねぇ。】
【ルド選手の障壁が固すぎます!】
【さぁ5週目。これでレイドペアと1週差だ。次の罠は前方から鉄球が転がって来るよ!】
【ラニングビオストが軽々と鉄球を粉砕!さすがに城壁を破壊できる生物には軽すぎた!】
【6週目。これでレイドペアに追いついたね。今度の罠は狭い足場と落とし穴だよ。落とし穴に落ちたら失格だからね。気を付けて。】
【ここはラニングビオストが軽々と細い足場を飛び越えていくぅ!シチート選手が翼を使って着地地点を微調整をしています。】
【うまいねぇ。さぁこのままだとレイドペアは負ける事になるけどどうする?】
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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