第505話

祝勝会はなんと5日間も続いた。そりゃ国を巻き込んだ大事件の元凶を倒したってんだから、それくらい喜ぶのは解る。それに俺も感謝をこめて料理を用意するとか言っちまったからな。だけどよ・・・・・。


「王国と帝国両方に出す料理全部俺が作るなんて聞いてねぇぞーーーー!!」

「おら兄ちゃんさっさと手を動かせ!俺達じゃあの料理は作れねぇんだからよ!!」


そう、今回王国の勝利に貢献したMPを消費して無限に復活する料理アイテム。それが何故か神から与えられた神器っていう話になっていて、王国から大量に用意してくれと注文が入った。


帝国の方は戦場で一口だけあの罠料理を食べた兵士が、あの味が忘れられないからと友好を結ぶ条件として出して来た!!まさか魔物になって迄まともな指揮官が残っていて、兵士に節度を守らせて食わせていたとか思わんだろう・・・・。だから死ぬ前に食べるのを止められて生き残れたんだけどな。


そうそう、帝国の生き残り何だが。鏡が倒されたと同時に全員消えて行く物だと思ったらなんと全員生き残った。支配力が無くなって自由意志を取り戻した感じらしい。まぁでも気が付いたら魔物の体になっていて、とても混乱していたんだとか。その混乱を収める為の道具に使われないか俺の料理?


「手が止まってっぞ兄ちゃん!!」

「だぁーもう今やるよ!!」


因みに俺は地下街でおやっさんと一緒に料理を作っている。地上に店を構えようとしたおやっさんだったが、どうも地下の方がおやっさんの作る料理には合っているらしく出店は諦めたんだと。そんなおやっさんの得意メニュー?ホワイトシチューだよ。しかもホワイトソースから作る奴な。意外と繊細な料理を得意とする人なのだおやっさんは。


「包丁の入れ方があめぇ!!そんなんじゃ店継がせられねぇぞ!!」

「誰が継ぐか!!」


なお後継者も見つからなかった模様。やたら俺に後継者になれ!!と行って来るようになった。おれ別におやっさんの弟子じゃねぇのに・・・。


「ルド君料理が足りないわ!追加を早く!」

「すいませんルドさん。前線組が次の料理はまだかって・・・。」

「パパ!お客さんの料理早く!!」

「アワワ ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿 アワワ」

「今やるからちょっと待ってろ!!」


くっそ!!腕が2本じゃ足りねぇ!!6本くらい欲しいぞこんちくしょーーー!!


そんなこんなで無事に5日間の宴会を乗り切った訳だ。なんでゲームで仕事みたいな事してるんだろうなぁ・・・・。


「あっルドさん。お疲れ様です。」

「ん?おぉタンケさんか!そっちも大変だなぁ。」

「まぁ厄災武器持ちになってしまいましたから。」


そう、鏡に止めを刺したタンケの武器は厄災武器に変化した。確か名前はミラージュウェポンだったか?影の武器って聞いてたからシャドウウェポンって言うんじゃないのかね。


「これが武器なんですよ。」

「小さな鏡の着いたブレスレット?それが武器なのか?」


タンケの手首に巻かれていた黒と銀色のシンプルなブレスレット。その中央に緑色の縁取りをした小さな鏡が光っていた。


「これをこう使うんです。【ライフル】」

「おわっ!鏡から影が出て来て武器になった!!」

「えぇ、鏡に記録された情報から武器を再現する。それがこのミラージュウェポンの特性ですね。特殊武器の扱いらしく、攻撃力その他は呼び出した物になります。ですが、MPが続く限りいくつでも武器が出せます。」


ほうほう、つまり軍団用のアーティファクトみたいな扱いなのか。武器が無限に出せる何て俺の作った料理みたいだな。まぁこっちは耐久度が無くなれば消えるが。


「もちろんこちらも耐久値が在りますよ?普通に作られたものと比べて影ですからね。耐久度はかなり低く設定されています。」

「成程、すぐ壊れる訳か。」

「一発で十分な威力を放てる武器でしたら関係無いんですけどね。」

「大砲量産されたら詰むわ。」


なんとも恐ろしい武器を手に入れたもんだよ。


「それでルドさんもとうとうジャイアント大陸に戻るんですか?」

「そそ。だから港町に来てる訳だ。」


おやっさんに店の返却も終わらせたし、お世話になった人達に挨拶も済ませた。これからディアに乗ってジャイアント王国に帰る。シアとアイギスは連日の手伝いでHPを全損して休憩中だ。HPが減る勤務って大分ブラックでは?


「やり忘れた事は在りませんか?」

「ん?あぁそう言えば“これ”解除してなかったな。」


俺の名前の横に浮かんでいる4つのハートマーク。イベントももう終わった事だし解除しとくか。


【一方的な解除は相手からの報復が在る場合があります。本当によろしいですか?YES/NO】

「一応婚姻時に契約を結んでるんだがそれでも駄目か?」

【個人間の契約には関与しかねます。本当に解除しますか?YES/NO】


うーん、イルセアと結婚する時に特記事項として盛り込んでいたんだが認識されてなかったか。しょうがない、皆には説明してるしこのまま婚姻の解除を【今後のイベントで婚姻状態の方が有利に働きますが本当に解除しますか?NO/NO】


「強引に解除阻止しようとして来るんじゃないよ!!なんだ選択肢のNO&NOって!」

「あー、次のイベントの告知が在ったみたいですねぇ。ほらこれ。」


そう言ってタンケが公式ホームページを見せてくれた。そこに表示された次のイベントの題名は・・・・。


『厄災討伐おめでとう!&海外販売記念!マリッジイベント開催!!』


なんで結婚イベントが厄災と海外販売に関係在るんだ!!そう叫んだ俺は悪くないと思う。


「元々厄災討伐は海外勢参入の時にイベントとして行うつもりだったみたいですよ?ジャイアント大陸、グルンジャ大陸、サンドリア大陸の3つでそれぞれ分かれて勢力戦をやるつもりだったとか。厄災武器はそのイベントのリーダーが持つ予定だったみたいですね。」

「そんなの何処に書いて在る?」

「下の方にイベントが変更になった経緯として書かれてますよ?」

「・・・・・本当だ。これ俺海外勢に恨まれないか?」


本来なら自分達にもゲットのチャンスが在った強力な武器を根こそぎ日本勢が持って行った感じになってしまった。これ絶対恨まれる奴じゃん!!


「その為のマリッジイベントなんでしょうね。婚姻を結べば強力な武器を持った人に守って貰えますし、イベントの最中は厄災武器の眷属を作り出す事も出来るみたいです。」

「完全に厄災武器を餌にしてる気がするんだが・・・・。」

「普通に婚姻しても良いみたいですよ?その場合は特別な防具が貰えるみたいですね。」


公式にシルエットとして表示されている防具。どう見てもウェディングドレスとタキシード何だがこれでどうやって戦うというのか・・・・。


「ん?じゃあ婚姻している状態だと優位だって言うのは何でだ?」

「すでに婚姻している人達は期間中に特殊イベントに参加出来る権利が貰えるみたいです。詳細は書かれてませんが。」


ほむほむ、でもなんでそれをウィンドウが教えて来るんですかねぇ?ねぇ巨神様?


【ギ、ギクッ!】

「ギクじゃ無いんだよギクじゃ!!なんだ個人のウィンドウに干渉してるの!!」

【い、いやぁ。私の所為でルド様が狙われた訳ですし?謝罪と言うか補償と言うか?】

「別に力も戻ったし、何なら厄災のお陰で昔の力が戻って来たんだぞ?いらん!!」


そもそも補償とか謝罪何てしなくても良いはずだ。なのに態々イベントで有利になるように連絡してきた。ウィンドウの文字越しだが何か隠している感じもするんだよなぁ・・・・。


【ルド様に婚姻解除されると世界の半分が崩壊しちゃいますので・・・・。心当たり在るでしょう?】

「・・・・・・・・。マジで?」

【天変地異を引き起こすリダ様。今回の厄災戦で急成長して太陽や隕石を堕とせるようになったイルセア様。最近出番が無くて今度こそは!!と意気込んで来たものの、あまりルド様に絡めなくてストレスをためているシチート。そして巨人種達を助けて絶対の支持を受けているローズ。この4人が暴れたらどうなります?】


うん、世界の半分くらい簡単に壊せちゃうかもしれない・・・・・。



毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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