第384話
さて、ここまででおおよそ4階層降りて来た。俺的には序盤も序盤、まだまだ潜らないといけない。と思っていたんだが・・・・・。
「うわぁ、綺麗ですねぇ!!」
「ずいぶんと深く潜って来てるんですのね。」
「移動した時間を考えたらおかしくない?いや、流されていた事を考えると妥当なのかな?どう思います?ルドさん?」
「うーん、確かにクリンの言う通りあの水流が一種の転移だったと考えられるか?」
何故俺達がこんな会話をしているのかと言うと。階層を降りる途中、なぜか水晶の壁が突然現れ外の様子が見える様になったからだ。水晶の外はかなり暗い深海とも呼べる場所まで来ていて、時折ルゼダの灯している明かりに寄って来た魚が水晶にぶつかって逃げて行く。
「ねぇパパ?あのお魚さん食べちゃダメ?」
「外に出られないからダメ。アイギスも駄目だからな?」
「(゚Д゚;≡;゚Д゚)エッナニナニ?」
「惚けたって駄目だぞ?お前も食べようとしてただろ?」
「(∀`*ゞ)テヘッ」
「平和やなぁ。」
「平和だねぇ。」
「こーら。気を抜いちゃ駄目ですよ?この先何が出て来るか分からないんですからね。」
「「はーいリダ姉。(さん。)」」
幻想的な景色を見せられて、俺達はリラックスしながら下へ下へ降りて行く。その中で1人だけ、緊張感を漂わせる奴が居る訳だ。まぁカイトの事なんだが。
「やっぱり心配?」
「そりゃね。崩落に巻き込まれたって話だし、賢者の結界が無事だったかどうか、それだけじゃなくて崩落で怪我をした人が居なかったどうか・・・。どうしても気になっちゃうよ。」
「大丈夫。カイト君の知ってる魚人さん達は強いんでしょ?皆無事だよ。」
「そうだと良いんだけど。」
近くに来たからこそ、この先の事を考えてしまって気持ちが落ち込んでいる訳だ。まぁ心配した所で向こうが実際どうなっているかは行ってみないと解らんがな。
「そう言えばカイト君。もうALOの時から60年くらい経ってるんだよね?魚人さん達は皆生きてるの?」
「うん、それは大丈夫。魚人と人魚の寿命は100年を軽く超えるから。」
そう言えばシーも大分大きくなってたが、まだまだ若い人魚だって話だ。彼女達の寿命はどれくらいなんだろうな?
「クロナミさんとミナタさんは元気かな?ミーノもロロもフノノも、大分大きくなってるんだろうなぁ・・・・。」
「その人達がカイト君のお世話になった人?」
「そう。僕が海底都市に迷い込んで右往左往してた時に助けてくれたんだ。」
「恩人ですのね。」
あの時は白魚病という病が海底都市で蔓延したんだよな。その特効薬がシアの過剰摂取した栄養の詰まった実で、情報を聞いた俺達が届けに行ったんだ。懐かしいなぁ。
「白魚病はシアが御神木を改良して特効薬を常時生産できるようにして解決したんだよな。」
「シア頑張ったよ!!お薬を一杯作れるようにしてあげたからね!!」
「シアちゃん時間を掛けて頑張ってくれましたものね。」
「うん!!」
俺とリダの言葉に自慢げに胸を張るシア。俺は思わずシアの頭を撫でていた。すると、クリンが思案顔になって考え込んでいた。
「・・・・・ねぇルドさん。御神木って確か今、全ての樹が力を失ってしまっていましたよね?」
「そうだなクリン。」
「それってまずく無いですか?特効薬の実は御神木の力で生産していたんですから、その御神木が力を失ってしまっていたとしたら・・・・・。」
「はっ!!薬が生産されなくなっている可能性がある!!こうしちゃ居られない!!急がないと!!」
「あっこら待てカイト!!1人で先に行くな!!」
俺達の話を横で聞いていたカイトが、問題に気が付いて1人で先行してしまった!この先どんな敵が居るかも分からないっていうのに1人で行くのはまずい!!俺達も急いで追いかけるぞ!!
「さすがに水中だと魚人種は早いですわね!!」
「一本道だから見失わないで済みますけどね!!」
「あっ皆さん見て下さい!!カイト君が向かう奥!!光が見えます!!」
「ボスチャレンジ中は乱入禁止とかだったら助けに入れないぞ!!全員あそこまで急げ!!」
先を進んでいたカイトが光りの中に姿を消し、少し遅れて俺達も光りの中に飛び込んだ。眩しい光りに一瞬目が眩み、しばらくして周りが見える様になるとそこには、カイトが多くの魚人に槍を突き付けられている所だった。
「カイト!!」
「ルドさん・・・・。」
今にも泣きそうな顔をしているカイト。その理由は魚人たちに在った。魚人たちの頭から細い管の様な物が天井まで伸びていて、目は虚ろになりあー、うーと言葉にならない言葉を発している。まるでゾンビの様な状態だ。相手のネーム状態を確認すると、名前の横に体を糸で操られている人形のマークが表示され、傀儡化という今まで見た事の無い状態異常になっている事が確認できた。
「何かに操られてんのか!?」
「それだけじゃないんです。彼らの体を見て下さい・・・・。」
「体・・・・・。所々白い?」
「白魚病です・・・。やっぱり再流行してたんだ・・・・。」
つまり彼らは地上に助けを求めようとして、このフロアに居るボスに操られてしまったという訳か!!
「洗脳されているというならその大元を叩けば解決しますわ!!」
「それに今回はルドさんが料理出来ます!白魚病の根本原因はビタミン不足!対処出来ますよ!!」
「まずはあの管みたいなのを何とかするで!!」
俺達が戦闘態勢を整えたのが解ったのか、操られている魚人達も全員戦闘態勢に入る。その時視界の端に紐の様な物が見えた!
「あぶねぇ!!」
ルドの陽動 磯禁摘の攻撃対象はルドに固定された。
磯禁摘の触手攻撃
鞭使い・吸着・人形遣い・ドール作りスキル発動
ダメージ10ポイント 傀儡化の特殊効果
ルドの防御
純潔が自動発動
ダメージ-60ポイント
傀儡化効果に対抗・・・・・。成功!
ダメージ0ポイント ルドは傀儡化されなかった。
忍び寄っていた触手は一番最初に部屋に入ったカイトににじり寄っていた。俺はカイトを庇う形で体を突き飛ばして守る。
純潔がその行動を防御と見なしてくれたおかげでダメージは無く。さらに傀儡化も無効化してくれた!!なぜ無効化されたのかは分からんがラッキーだ!引きずり降ろしてやる!!
「隠れてないで出てこいやぁー!!」ドズーン!!
俺は体に張り付いた触手をむんずと掴み、そのまま力任せに引っ張った。ダメージにこそならないが、巨人の力で引っ張られた敵は天井から落下して俺達の前にその姿を現す。
そこには黒と紫のまだら模様をした磯巾着が、七色に触手の色を変えながらバタバタと暴れていた。
磯禁摘 HP100000
「HP10万とか高すぎるだろ!!」
「スキルが成長した私達なら余裕ですわ!!」
「今のうちの攻撃しましょう!」
落ちて来た敵に攻撃を加えようとしたその時、急に俺とリダ、シアにアイギスの体が宙に浮いた。
「なんだなんだ!?一体どうした!?」
「ルド兄!!たぶん原因はあいつや!!」
ベニが指さした先。そこには黒と紫の縞模様をした魚の姿が在った。
隠九魔魚 HP50000
「2体同時のボスか!!」
「磯巾着とカクレクマノミなんてありふれた組み合わせですね。」
「僕達は磯巾着を攻撃します!リダさん達はクマノミを!!ルドさんは防御頑張って!!」
「任されました!!」
「俺だけ励ましが適当になってないか?まぁやるけどな!!」
ルドの陽動
隠九魔魚の攻撃対象はルドに固定された。
さぁ、テッタに負けてられないからな!!ボス2体の攻撃なんて余裕で受けきってやるよ!
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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