第350話

俺達が祠の在った場所を見つけたのが昼過ぎ。それからずっと掘り返しを行っていて気が付いたらあたりが暗くなり始めていた。


なぁ~んて事は無く掘り返し作業が俺達の目の前で急速に進んでいく。それと言うのもホラー夫婦・・・。もといジョーゴさん達が装備したアイテムの力が凄すぎた。


「ジョーゴさんが持っているナイフで地面を斬って。」

「ホーラさんが手袋を嵌めて斬られた地面を持ちあげて運ぶと。」

「人間重機やなぁ。」

「なんかマイ〇ラみたいだね。」


2人がテキパキ動く様子を呆然と見ている俺達。いやぁ、最初は手伝おうとしたんだよ?そしたら2人がね?


「ジョーゴを助ける為にあのお強い人と戦ってくれましたから!!」

「皆さんはそこで休んでいてください!!」


何て言われたもんだから、ジョーゴさんがどこからか取り出したブルーシートの上でのんびりさせて貰っている。持って来たサンドイッチ喰う?中身はハムとレタスとトマト、味付けはマスタードとバターのシンプルな奴だけど。あっ全員食べるのね。ほいっと。


モグモグモグ「もうすぐ掘り返しも終わりそうですね。」モグモグモグ

モグモグモグ「ジョーゴさんってかなり凄い魔道具職人だったりしません?じゃないとこんな凄い効果の道具をポンポン作れるとは考えられないですよ。」モグモグモグ

モッシャモッシャ「明らかに効果が高すぎますものね。あっこのハム美味しい。」ムシャーッ!!

パクパク「まるでピクニックやなぁ。」モグモグ

チビチビ「傍から見たら土木工事の休憩中に見えるんじゃない?」モクモク

パクッ!ゴクンッ!「パパおかわり!!」

シュンッ!ガガガガ。ピー「°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°」

「どうでもいいけど食べながら喋るなよ。行儀悪いぞ?」


いつも思うがアイギスはどうやって食べてるんだ?一瞬で食べ物が消えて、ちょっと震えたと思ったら目が光るんだよこの子。喜んでるからうまいんだと思うが。


『良いもの食べてますねぇ~?』

『僕達にもくださぁ~い。』

「ぬおっ!!突然背後に立つなって!!2人の分もちゃんと在るぞ。」

『ルドさんの背中は隠れるのに丁度良いんです。』

『反応も面白いからついつい。』

「心臓に悪いから止めてくれ・・・・。作業の方はどうなんだ?難しいなら俺も手伝うぞ?慣れてるし。」

『あっもう終わりました。』

「まじで!?」


岩の方に視線を向けると、そこには確かに掘り返されて全体が見える様になった大岩の姿が在った。そして問題の祠は大岩の中心部分に穴が開いていて、そこに在るそうだ。


「お疲れさん。それじゃあ俺達で調べて来るから2人は休憩しててくれ。」

「プハッ!!ではお言葉に甘えて・・・。」パクッ「うまっ!?」

「フゥー、疲れましたぁ・・・。」ムシャー!!「うまっ!?」

「似た者同士ですわね。」

「反応がまるで一緒だな。」


特段力を入れて作った訳じゃないんだがなぁ。1年でかなり練習したつもりだが。さて、俺達は祠が無事かどうか調べますかね。


「・・・・・・やっぱり無事じゃなかったかぁ。」

「ボロボロですわねぇ。」

「ご神体みたいな鏡も割れちゃってます。」

「パパ直せる?」

「うーん、どうだろうなぁ・・・。」

「( ¯•ω•¯ ) ジー」


穴の中に置かれていた小さな社は流れ込んで来た土や石で潰されていた。その際に一緒に祭られていた鏡も割れちゃったのか、入り込んだ土を掻き出すと破片がぽろぽろと出て来る。大きな破片だけならくっつけられるが、細かい破片も在るからなぁ・・・。


「お札は何処に在ったのでしょう?」

「鏡に張り付いてたんとちゃう?ほら、大きな欠片に痕が在るで。」

「本当だね。何かが貼ってあった痕があるよ。」

「鏡の修理とお札の収集しないと行けないのかぁ・・・。」


こりゃ面倒くさいクエスト引いたもんだなぁ。しかも今はイベント中、絶対他のクランが持ってる物も在るぞこれ。


「どうです?祠は無事でしたか?」

「見ての通りだ。無事じゃなかったな。」

「あぁ!!鏡も割れてる!!これでは守り神様が・・・。」

「あっ鏡なら僕が直せるよ。『物質復元光照射装置』ぃ~。」

「・・・・・。背景を光らせて声を変えた理由は何でだ?」

「えっ?気分で?」


青い便利道具を取り出す狸そっくりだったぞ今。大丈夫なのか運営!!これどっかに怒られないか!?


「スイッチオン!!」ペカー

「凄い!あっという間に鏡が元通りに!!」

「じゃあ次はこのお札に光りを当ててくれ。それで治るんだろ?」

「あー、それは無理です。壊れた欠片が近くに無いと修復は出来ないんですよね。」


なんと!!かなり便利な道具なのにそんな制約が!!なんて言うと思ったか?うすうす解ってたよ。だってジョーゴは見つけた鏡だけじゃなくて地面にまで光りを満遍なく当ててたからな。あれで細かい破片を探してたんだろ。


「完璧に鏡直ったで!!」

「後はお札だけですね!!」

「物探しでしたらこいつを使って下さい。『探し物』「普通に説明してくれ。」・・・・。探し物ウォッチです。探したい物をこの腕に嵌めた時計に触れさせると、探し物の場所を魔力の針で示してくれます。物限定ですけどね。」


ふぅ、運営が消されるのを未然に防いだぜ・・・。さて、見た目は完全に腕時計だ。シンプルに皮のベルトと装飾の無い銀の時計が付いてる奴な。だけど変わってるのが針が無い事。ジョーゴの説明だと探し物をこいつに置けば魔力の針が出て来るって言うが・・・。


「おっ本当に出たな。」

「1・2・3・4・5・6・7。あと7枚ですか。」

「結構散らばってるみたいですね。針の位置がバラバラです。」

「動いてる奴も在るな。これは他クランに奪われた奴か。」

「動いてない奴も早く見つけんと取られてしまうで?」

「他クランから奪うのは大変そうです。」

「そうだな。2人には申し訳ないが守り神の件が終るまで俺達と一緒に動いてくれ。今は旅人がジョーゴの作った魔道具を奪い合っててな。勝手に動かれると合流できなくなる可能性が在るんだ。」

「島が騒がしくて領主の使いがイライラしていたのはそれが原因かい?解った。一緒に動こう。」

「ジョーゴと離れるのは嫌です。彼が行くなら私も行きます。」

「すまんな。じゃあまずは動いてない目標の確保から行くぞ!!」

「「「「「「「「「おー!!(* ̄0 ̄)/ オゥッ!!」」」」」」」」」


トスッ!!


「見つけたぞ『ティーターン』だ!!お宝寄越せ!!」

「お前等囲め囲め!!あいつらの連れている2人お宝の山だぞ!!」

「ふへへへへ、お宝をゲットしたら均等に分配だからな!!まずはランキングトップを潰すぞ!」


ジョーゴさんの秘密道具・・・ではなく便利道具のお陰で目標の場所はすぐに解った。ならさっさと動く方が良いだろうと、移動を始める為に片付けをしていた俺達。しかし、どうやらのんびりし過ぎてしまった様だ。まぁ飯食う時間在ったからなぁ。ジョーゴさん達の工事の音も響いてたし。居場所がバレるわなぁ。


「かかか囲まれてんで!!どうするん!?」

「まぁとりあえず<陽動>。うしこれで相手の攻撃は俺に向かうな。」

「ルド兄さん大丈夫なんですか?すごい落ち着いてますけど・・・・。」

「まぁALO時代にこれ以上の敵に囲まれて生き残ったしなぁ。あの時はスキルも装備も揃って無くてもっと苦労したし。それと比べたらまだマシだ。相手のスキル次第だけどな。まぁだからジョーゴさん達も安心して・・・・って居ねぇっ!?どこ行った!?」

「お2人ならあそこに。」


ザシュッ!ドゴーンッ!!

ドッドッドッドッドッドドルルルルルルルルルル!!


「「「「「ギャーーーッ!!殺人鬼が居るぅぅぅぅぅ!!」」」」」

『島の未来を守る為です。旅人さん達には悪いですが、邪魔をするなら排除します!!』

『旅人には本当の死は訪れないって聞いてるよ?ちょっと解剖させて貰えないかな?大丈夫大丈夫、その原理を調べたいだけだから。ちょーと痛みが走って血が流れるだけだから。痛くしないよ?本当だよ?』

「「「「「「こえーーっ!!」」」」」」

「躊躇いなく飛び込んでいきましたわ・・・。」

「はっ!?2人に何か在ったらクエスト失敗なんだ。急いで助けに行くぞ!」

「2人のお陰で包囲に穴が開きましたからね。その穴を広げてやりましょう!!」


こうして『ティーターン』包囲突破戦が始まったのだった。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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