第335話
イベント会場に足を踏み入れた俺達。そのままだと後に続く旅人の迷惑になるのですぐに移動を始めた。と言うかすぐ傍にイベント用のウィンドウが表示されていたからそれを見に動いただけなんだがな。
「えっと書いている内容は・・・・。イベントの詳しいルールみたいですね。今回のイベントの内容は『宝探し』ですか。」
「この島の各地に眠るお宝を探して一番ポイントの高かったクランの勝利。宝の取得妨害も現地の人との協力も可能と書かれてますわね。」
「妨害は戦闘行為も含まれるのか。一度倒された旅人はゲーム内時間で4時間のインターバルを置いてからこの場所で復活すると。その際に持っていた宝が倒した相手に奪われるんだな。」
「クラン拠点の事も書かれてるで?リゾート地のどこかにクラン専用の建物が在って、全員が使える宝箱がそこに設置されとる訳やね。取った宝はそこに入れて置けばクランメンバーが倒されても取られる事は無いと。」
「でも宝箱を開ける手段もあるみたいだよ?拠点に侵入して専用の道具で宝箱を開けたら宝を1つ奪えるんだって。」
結構手の込んだイベントだなこれ。探索で普通に宝を集めるのも良し。戦闘で誰かから奪るのも良し。拠点に置いてある宝を狙っても良しとか。楽しそうじゃないか。
「潜入にはうちら向いてないなぁ。」
「戦闘ならワンチャン在りますかね?」
「普通に宝探ししたほうが良くない?」
「拠点防衛ならルドさんが居れば大丈夫では?」
「おいおい、俺だって宝探ししたいぞ?」
「まずは普通に探索。宝が在る程度集まったら防衛にシフトしても良いと思いますわよ?この場所に来てからイベント専用ページがメニューに増えてますわ。そこでランキングと自分達のクランの順位が見えますわ。」
ルゼダの言う通りメニューの中にイベントの項目が増えていた。その中には今回のイベントで獲得したお宝の数とそのポイント、他クランがどれくらいの順位なのかが表示されている。今は凄い勢いで順位が変わってるな。恐らくどこもお宝を1個2個見つけてるって事だなこれは。
「私達も急いで探しましょう!!」
「リダさん待って、どうやって動くか話し合わないと。」
「バラバラに動くのは・・・駄目だな。」
「どうしてですのルドさん?」
「もしルリやベニがお宝を見つけても奪われる可能性が高いからな。他の皆にも言える事だが、ここは一緒に動いて探したほうが良い。俺達の拠点もまだ見つけて無いしな。」
「それもそうですわね。」
「まずはお宝を探しながら拠点の場所の確認。その後に全員で宝探しですね!!」
「宝の数がいくつあるかも分からへんし。急いで動くで!!」
「隠しならシアに任せて!シアの目で見通しちゃうよ~♪」
「( -`д-´)」
「アイギスも頼むな。まずは拠点を探す為にあの街に行くぞ。」
山の岩壁を削って作られてた白い街。恐らくあそこに拠点は在るだろうからな。俺達は宝箱を使えるようにするために拠点探しから始めた。
「綺麗な街並みですねぇ。」
「道も石畳で綺麗に整地されてます。」
「歩きやすくてええなぁ。坂道は辛いけど・・・。」
「見~付けた!!はいパパ!!」
「おっ又見つけたのかシア。さすがだなぁ。」
「えへへ~。」
クラン『ティーターン』現在のお宝ポイント 10P
街の中に入ってすぐにシアが次々とお宝を発見してきている。まぁそのお宝がお札だったり、何かの部品だったりと何に使うか全くわからない物ばかりだが。まぁポイントが入ってるからゴミでは無いんだろうなぁ。
「それにしても街中に在り過ぎじゃないか?他のクランは探したりしていないんだろうか?」
「恐らく巧妙に隠されてるんですわ。シアちゃんが見つけられるのは<精霊の目>が在るからですわね。」
「嘘や擬態に隠れた物を見通す目か。他の旅人は持ってないのか?」
「持って無いみたいですよ?<鑑定>や<看破>のスキルはあるみたいですけど。シアちゃんの目程効果は無いみたいです。」
「あっあの看板の上にもある!!アイギス取って!!」
「(^^ゞ ( ・_<)┏━ バキューン」
カンッカラカラカラ・・・・。
「今度は丸い蓋か?本当にこれお宝なのかねぇ。」
「全部揃えたらなんか起こるんちゃう?これとかもろに機械やん。」
「お札は何だろうね?これも大きなお札の一部みたいだし・・・・。」
今まで手に入れたのはお札2枚に機械部品が3つだ。ポイントはそれぞれ違って札は1ポイント。機械部品は大きな物が4ポイントと中型の物が2ポイントの2つ。かなり細かくされてるとしたら、100以上お宝が在るんじゃないかこれ?
「あっ!!見つけましたよルドさん!!きっとあそこが私達の拠点です!!」
「ん?おー、マークが浮かんでるな。確かにあれだわ。」
「クランマークが表示されるんですね。分かりやすい物にしておいて良かったです。」
「盾2枚を構える巨人のマーク何てうちのクランくらいですわ。」
そう、なぜかうちのクランのマークは俺がモチーフになっている。盾2枚を構える巨人が俺達のクランマークだ。俺は他のマークを提案したんだが全員に断られた!!新しく入ってルリとベニは味方になってくれると思ったんだが、すでにリダ達から俺がALOでやった事を聞いていてまるで英雄を見る目で見られたんだよなぁ・・・。子供の目から発せられるキラキラビームには敵わんて・・・。
「それじゃあ今まで取ったお宝を入れとくか。」
「そうですわね。このまま持っていてもインベントリを圧迫するだけですし。」
「お宝1つが項目1つを埋めるから地味に大変だよねこれ。」
「人数が多いクランの方が有利そうです。」
「ぼやいてても人数は増えないからな。俺達は出来る事をやるだけだ。イベントに参加しただけで目的の半分は達成してるしな。」
「終わったら友魔の鈴ゲットやで!!」
「楽しみです!!どんな子を友達にしようかなぁ。」
俺達はクランマークが表示されている家の中に入る。どうやら優勝賞品の庭付き一戸建てを先に体験して貰う目的も在るみたいだ。家の入口にそんな風に書いてあった。
玄関から入るとすぐにリビングに繋がっていた。板張りの床に白い壁が在り、天井では大きな空調用のプロペラが回っている。家具としては全員が座れるようなテーブルと椅子が置かれていて、他にも本棚や食器棚が並んでいた。
リビングに繋がる形で広いキッチンが在り、そこには大きな冷蔵庫とオーブン付きのコンロが設置されている。調理場も水場も広いし、食器洗浄機まで在るぞ!!それにここで料理を完成させたらそのままリビングのテーブルに出せる。なんて使い易そうなんだ。部屋はクランの人数分あって、それぞれの個室にはベッドとクローゼットが在った。
「おー、凄いですねこれ。」
「うちらの部屋よりも広い!!」
「そもそも相部屋だもんね私達。」
「ルドさーん。そろそろ戻って来てくださーい。いつまでキッチンに頬擦りしてるんですかぁー。」
「はっ!!あまりにも理想に近いキッチンだったから思わず!!」
「パパ料理早く!!」
「(๑º﹃º๑)ジュル」
「今はお宝探しが先ですわ!!・・・・・。ついでに食材も買いに行きましょう。」
「ルゼダもお腹空いたんだね?」
「そういえば肝心の宝箱は何処だ?見当たらないが?」
「・・・・・。ルドさん。冷蔵庫をよーく見て下さい。」
「ん?・・・・・あぁこれか。いやこれなのか!?マジで?」
冷蔵庫をよーく見た結果がコレ。
食材保管機能付き宝箱
中に入れた食材の鮮度を良く保つように設計された宝箱。冷蔵、冷凍機能が付いていて真空庫も付属している。宝を入れる場所によってはどれかの機能が使えなくなる。鍵付き。
※これが宝箱だと解るのはクランメンバーのみ。
「まじかー。こんなのすぐばれるんじゃないか?」
「逆に見つかりにくいかもしれませんわよ?何せこれが宝箱だと解るのは私達だけみたいですし。」
「他のクランだと宝箱どんな物か気になって来ました・・・。」
「靴箱とか、コンロとか?」
「机の引き出しとか在りそうやなぁ。」
「侵入して宝箱開けるだけだと簡単じゃないか!!とか思ってたが。これならパッと見ても解らないし相手を騙せそうだな。しかしまさか日用品が宝箱になってるとは・・・。」
「そんな事より早く食材買いに行こうよパパ!!」
「(ヽ’ω`)」
どうやらシアとアイギスはかなりお腹が空いているらしい。圧が凄いぞ圧が。まぁ別に優勝する気は元から無いし、少しだけのんびりしても良いか。食材買う時にシアが又お宝を見つけるだろうしな。
「うっし、南国っぽいこの場所なら市場も在るだろ。ちょっと探索に行くか。」
「市場は・・・。あっちっぽいですね。」
「なんで解るんですリダさん?」
「地図がテーブルに置いてあったので・・・・。」
「あっ本当ですわ。人数分在りますわね。」
「じゃあ全員地図を持って市場に行くぞー。」
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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