第318話

さて、それじゃあボスを倒した後のログを確認っと。


『草原を追われた者』を討伐しました。討伐参加クラン『ティーターン』『ウィンドルクルー』にエリアが解放されます。


ユニークボスモンスターの討伐を確認しました。貢献度により報酬が支払われます。


貢献度1位 ベニ

貢献度2位 リダ

貢献度3位 ルド


上位3名には特別な報酬が支払われます。


ベニ 

スキル<空歩>

10歩だけ空を歩けるスキル。

装備:弾丸兎の具足 足へのダメージ-30ポイント 移動速度UP 移動が関わるスキルの能力UP


リダ

スキル<超加速>

全ての行動の速さが上がる。ダメージ+10ポイント

装備:弾丸兎の帯 腰へのダメージ-20ポイント 移動速度UP 


ルド

スキル<ヘビィウェイト>

一時的に体を重くするスキル。防御にも攻撃にも使える。(ダメージ-10ポイント ノックバック無効)※攻撃封印の効果によりダメージ+効果は消失

装備:弾丸兎のフード 感知系スキルの効果UP


やった!!俺にも報酬が在る!!ってか貢献度3位とか俺結構頑張った!!


「ええな!!ええな!!スキルも貰えるとかめっちゃええやん!!」

「凄い、この装備足に吸い付くみたい。それに走りやすいよ!!」


ベニが貰った弾丸兎の具足は真っ白な革で出来たブーツの様な物だった。よく見ると靴の裏に肉球みたいなのも見えるな。スキルも空歩なんて物を貰って機動力がかなり上がったんじゃないか?チャージと一緒に使えるならあのおかしい威力の攻撃が使いやすくなるな。


「おー、ふわふわですね。」

「さわり心地が良いですわ!!」

「スキルも使い易そうですね。」


リダの方はと言うと、腰の所にふわふわな毛におおわれた帯がまかれていた。そのフワフワ感にリダとルゼダがメロメロになっている。俺も後で触らせて貰えないかな?気持ちよさそう・・・・。


スキルは超加速。動き全般の速さが上がるって奴だな。速さが上がればもちろん攻撃力も上がる。連撃とうまく組み合わせてダメージが上がらないだろうか?スキルの成長待ちかな?


「で?なんで誰もこっちを見ない?」

「だって・・・ぶふっ!」

「ぷっくくくく、兄ちゃんそれは卑怯やで!!絶対笑ってまうやん!!」

「いかつい顔のお兄さんがうさ耳フード・・・・ぷふっ!!」

「?私は可愛いと思いますよ?」

「リダさん、あなたは一回眼科に行くことをお勧めしますわ・・・。」

「そんな笑う事無いじゃないか!!結構性能良いんだぞこれ!!」


俺が貰ったのはヘビィウェイトというスキルと弾丸兎のフードと言う装備。スキルの方は呪いが在るからか攻撃力が上がる効果が消えたが(在っても使えなかったけどな!!)防御力が上がってノックバックが完全に無効になったのはデカい。いやぁ、体の大きさに付随する体重で耐えてたから楽になるわ。


フードの方は感知系スキルの能力UPだ。俺で言えば生命感知のスキルの効果が上がった。何とその効果+40メートルだぞ!!今まで半径10メートルだったのが5倍だ5倍。これで敵の奇襲から皆を守れるぞ!!


「ぶはっ!!やっぱり駄目!!ルドさん面白過ぎる!!」

「その格好でキメ顔をしないで下さいまし!!」

「はははははは、あっあかん。笑い過ぎてお腹痛い・・・。」

「お姉ちゃん笑い過ぎだよ。もうごめんなさいルド兄さん。・・・・・ぷっ。」

「俺もうこの装備外す・・・。」

「被らなくても効果が在るんですから、首の後ろに下げて置けばいいのでは?」

「はっ!?リダは天才か!!」


パーカーのフードなんかも被ることはほとんど無いからな。ぶら下げとこ。


ブンッ!


おっ?なんか触ったっぽい?これは装備の詳細説明か?


弾丸兎のフード

かつて、草原のボスをしていた大兎が人々が起こした戦争によりその住処を追われた。兎は自分を故郷から追い出した人間に復讐を誓い、森の中で修行に明け暮れ進化を果たした。


その身は羽の様に軽く、速さは弾丸の様であった為に次第に周囲から弾丸兎と呼ばれ恐れられるようになった。


しかし兎はそこで止まらない、全人類を殲滅する為に、かつて自身を一挙に成長させた異邦人を狩り、今なお力を蓄え続ける・・・。


このフードはそんな弾丸兎の無念の思いがこもった装備である。


・・・・・・、うん皆には黙ってよう。説明文を見たら呪いの装備に思えて来た・・・・。ってかこの兎、草原に居たジャイアントラビットかよ。なるほどなぁ、赤落ちを狩って成長したのを覚えていて、旅人だけを狙ってたんだなぁ。うんうん納得。


「ルドさん?何を頷いて居るんですか?」

「いや?なんでもないぞ?それよりもう確認する事は終わったな。船の修理を手伝うぞ!!」

「他の人達の報酬は弾丸兎の素材でしたからね。街に戻って装備が作れるか調べないと。」

「ヒュマニアに腕の良い鍛冶師がおるらしいで?住人のおっちゃんから聞いたから間違いないわ!!」

「なら早く修理して向かわないと行けませんわね。クランのランク上げクエストも在りますし。時間が足りませんわ!!」

「うっし、じゃあ行動開始!!」


とはいってもウィンドルのダメージはかなり深刻で、この日は残りのログイン時間は全て修理で終わってしまった。資材なんかは大目に持って来ていたが、ヒュマニアに到着したら完全にオーバーホールをした方が良いという話がキニスから出たくらいだ。とりあえず飛行できるまでは修理出来たので、新しい街は明日のお楽しみだな!!


俺達はウィンドルの客室を借りてログアウトするのだった。


その日の夜。平原に停まっている飛行戦艦に怪しい影が3つ、気配を消しながら近づいて来ていた。1人は背の小さな子供の様な姿で、残り二人は男女である様だ。だが、詳しい容姿は黒いフードによって隠れていて見る事が出来ない。


先行して戦艦に近づいた女性が、戦艦の中の様子を見て残りの2人に頷く。どうやらスキルを使って中に誰も居ない事を確認していたらしい。それを見た2人が女性の元に近づき、3人が降ろされているタラップから中に乗り込もうとしたその時。


ぶわっ!


その怪しい影3人に網が投げられた。その事に驚いた3人は即座に逃げようとしたが、そのまま網に囚われてしまう。


カッ!!


「主が留守の間に何の御用でしょうか?お客様が来られるとは聞いておりませんが?」


タラップの上から光を当てられ、その中に浮かぶ人影が捕まっている3人に誰何する。3人は何とか逃げ出そうと蠢くも、不思議とその網が体に張り付き逆にどんどん身動きがとれなくなっていった。


「私の質問には答えて頂けないのですか?」

「「「・・・・・・・・。」」」

「そうですか。では皆さんはここに埋めてしまいましょう。この船に手を出そうとした罪人です。死刑にしても問題無いでしょう。」

「っ!?」

「まっ待ってくれ!!」

「おいっ!!勝手に話そうとするな!!」

「しかしこのままでは!!私達は・・・・。」

子供が人影の言葉に驚き方を揺らす。それを見た男性が自分達の目的を語ろうとして女性に止められた。


だが、男性の方は子供を守るようにしながらタラップの上の人影に話を始めてしまう。それをみた女性はため息を吐きながら、もしもが在れば自分が命を懸けて2人を逃がすと覚悟を決めた。


だが、そんな時間は訪れなかった。事情を聞いた人影は、首を振りながら3人を船内に案内したのである。


「明日の朝までここで大人しくしておいて下さい。あなた達の処遇は主に伺ってから決定します。心配しないで下さい。悪い様にはしませんから。食事は後で運ばせます。」

「・・・すまない。」

「それでは、明日の朝までゆっくり休んでください。」


3人を閉じ込めた部屋から離れる人影。マジックドールであるキニスは明日この船の艦長であり自身の所持者であるアインにどうやって説明しようかと頭を悩ませる。


「まず間違いなく助けると仰られると思いますが・・・。もし断られた時はルドさん達にお願いしましょう。」


絶対にそんな事にはならないと思いながらも、キニスは3人が居る部屋を見ながらそう呟いたのだった。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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