第215話
「左舷から敵多数!!弾幕薄いですわよ!!」
「るぜだねぇちゃんもてつだってよー!」
「もう手一杯ですのよ!?クリン早く戻って来てくださいまし!!」
【もう少し・・・・。出来た!!】
クロノミアズマに追い駆け回されながら、ミアズマシャークと戦うアルバトロス。ルゼダはシアの補助をしながらも必死に船に行ったルド達の救出方法を考えていた。だが瘴気の魔物である両者に対して普通の攻撃はあまり効果が無い。敵の数がどんどん増えて行き、アルバトロス一隻では対処出来なくなってきていた。そこに待望の知らせが舞い込む。機関室で巨神様の水晶を組み込む作業をしていたクリンから、作業終了の知らせが届いたのだ。
【これで行けるよ!ローズさん祈りをお願いします!僕操縦室に戻ります!!】
【解りました。では祈りを捧げます。】
ローズの祈祷が始まったのだろう。アルバトロスの船体が徐々に青い光りに包まれ始めた。
「今ですわ!!全問斉射!!」
「たーげっとろっくおーん!!」
誘導式魔道ミサイルが、解放式誘導魔道レーザーが狙いを定めたミアズマシャークに襲い掛かる。
「「「「「「SYAAAAAA!?」」」」」」」」
「やりましたわ!!攻撃の効果を確認!!」
「どんどんいくよー!!」
「僕も補助に回るよ!」
次々とミアズマモンスターを倒していくアルバトロス。だが敵が増える方が早い。数が減らせるようになってもこのままでは追いつめられる事は目に見えていた。
「くっ!せめて艦首の魔道レーザーを撃つ暇さえあれば・・・・。」
「ほねさんどこにいるのーもう!!」
「ルドさんのヘイトスキルが欲しいですね!!」
それぞれが焦りから愚痴をこぼしていると、海底の方から白い塊が上がって来た。カーラを助ける為に潜航していたボンが戻って来たのだ。ルドとリダの帰還に期待を膨らませるアルバトロスの面々、だがその期待は裏切られる。
『大変ですぞ!!』
「すまねぇ!!シーとルド、それにリダが敵に捕まった!!どこにいるか検討がつかねぇ!!」
「なんですって!?」
「ぱぱをさがすの!!」
「死に戻りはしてないみたいだよ。生きてはいるみたい。」
ボンの甲板からアルバトロスに向かって現状を伝えるカーラ。その報告に驚きながらも冷静に2人がどこかで生きている事を確認し、これからどうするのかを話し合う。
「敵の数はこちらで減らしますわ。其方は敵の注意を引き付けて欲しいのですわ!!」
「手はあんのかい?」
「こちらの攻撃はあの靄に有効ですわ!!後は一か所に集まってさえくれれば・・・。」
『GOAAAAAAAAAAA!!』
「やばいよルゼダ。クロノサウルスが急に速度を上げたよ!!」
「クロノミアズマですわよクリン!シアちゃん敵に牽制攻撃をしながら全速後退ですわ!!」
「あいあいさー!!」
追いかけて来ていたクロノミアズマが数が減って行く眷属に気が付き、アルバトロスに猛然と襲い掛かって来た。敵に攻撃を加えながらも逃げるルゼダ達。すると、魔道ミサイルが当たった場所から何か人型の物がポロっと零れ落ちた。
「ルゼダ!!リダさんだ!!クロノサウルスの体からリダさんが出て来た!!」
「回収できますの!?」
「あたいに任せな!!」
カーラはボンから飛び出すと一直線にリダの元に向かう。そのスピードはかなり速く、どうやらタコ足の間から水流を吐き出して加速している様だ。そして、リダを両手で確保すると速度を保ったまま自分の船に戻る。
「確保したよ!でも意識を失っているみたいだね。」
「こちらの船に乗せて下さいまし。瘴気に侵されて状態異常になっている可能性がありますわ。私が治療します!!」
「あいよ。」
「クリン、しばらく頼みましたわよ!!」
「大丈夫!任せて!!」
「しあがいるからへいきだよ~。」
エアロックのある場所に急ぐルゼダ。そこにはすでにカーラがリダを抱えて到着しており、ルゼダの姿を見てゆっくりと床にリダを寝かせた。リダの体には黒い染みが生まれ、斑に体を染めている。見るからに瘴気汚染の症状だ。
「本当に治療できるんだね?」
「任せて下さいまし!これでも実績は積んできていますのよ!『浄化』」
ルゼダの浄化を受けて、体の模様が消えていくリダ。その姿を見てどこかホッとしているカーラ。リダの状態異常が気絶のみになると、ルゼダは額を拭い最後に状態異常回復の魔法を使った。
「『治癒の雫』これで治療完了ですわ。すぐ目を覚ましますわよ。」
「う、うぅ~ん。はっ!ここは!?」
「たいしたもんだね。」
「アルバトロスの中ですわ、一体何が起こったんですの?」
「そうでした!!ルドさんとシーちゃんが!!」
ミアズマシャークに連れ去られたリダは、鮫の体に囚われたままあのクロノミアズマに取り込まれたと言う。クロノミアズマの腹の中には先に捕まったルドとシーが居て、ルドが盾と流派を使ってシーを瘴気汚染から守っていたんだそうだ。このままでは何も解決しないと、リダは1人クロノミアズマの腹から脱出する為に外に向かって攻撃を繰り返し、穴を開けていた。そこにアルバトロスから攻撃が重なり、外に出る事が出来たという事らしい。
「じゃあシーはあのデカブツの腹の中なんだね?」
「はい、ルドさんが守っているのでしばらく大丈夫ですが。このままだとどうなるか分かりません。急いで助けないと。」
「聞いていましたわねクリン。どうにかあのデカブツの腹を突き破るんですわ。」
【解った。シアちゃん、あの大きい奴のお腹に集中攻撃だ!】
【あいあいさー!くらえー!】
「私達は操縦室に戻りますわよ。」
「あたいは船に戻るよ。ボンには周りの鮫の相手をさせる。2人が飛び出して来たら連れて来てやるよ。」
「頼みます。さぁ2人を助けましょう!!」
ルゼダとリダは操縦室に戻り、シアが攻撃に集中できるようにレーダーと出力調整に取り掛かる。クリン操舵を行い、アルバトロスをクロノミアズマの側面に回るように動かした。
ミアズマシャークの方はボンが大砲で攻撃して抑えている。撃ち出した骨が瘴気に汚染されるが、使い潰すつもりでどんどんと撃ち続けていた。最初はボンにも巨神の加護を付与しようとしたが、ボンが成仏しそうになったので断念したのだ。一応ボンも怨念の類なので巨神様の力は毒だったらしい。
「後であの骨が襲って来ますわね・・・・。」
「たまにミサイルを撃ち込んで浄化してるから大丈夫ですよ。シアちゃん!あの大きい奴のお腹に攻撃をお願いします!!」
「ふぁいあー!」
『GYAAAAAAAAAA!?』
「あっ!!シーちゃんが出てきました!無事みたいですね。自力で泳いでこっちに向かって来てます。」
「ルドさんは?ルドさんはどこですか?」
「・・・・お腹の中で瘴気に捕まってましたわ。」
アルバトロスの攻撃でお腹に大きな穴が開いたクロノミアズマは、叫び声を上げながら苦しそうに体をくねらせた。その開いた穴から人魚の少女であるシーが飛び出し、こちらに向かって来る。そして穴の中ではルドが両手足を瘴気に縛られ拘束されている姿が確認できた。
「助けないと!!」
「落ち着くのですわ。あれくらいならルドさんはすぐ抜け出せますわ。ただ・・・。」
「ただ?」
「ルドさんは何処か抜けていますから気が付くかどうか・・・。」
「あー、気が付いてなさそう?」
「ルドさん、ここぞという時に色々忘れてますからね。」
「ぱぱはときどきわすれんぼさんだよ。」
そんな事を言いながら、クロノミアズマに攻撃を続けて腹の穴を維持するリダ達。ルドの方はというと、必死に手足に巻き付いた瘴気を引き剥がそうとしている。
「あぁやっぱり・・・。」
「焦って忘れてますね。」
「チャット仕えれば教えられるんだけどなぁ。」
「そこはスピーカーで教えてあげましょう。せーの。」
「「「巨大化すれば簡単に抜けられるのにねぇ。」」」
アルバトロスのスピーカーから流れた声に、一瞬キョトンとしたルドは、恥ずかしそうに顔を赤らめながら体を巨大化させ始めた。
「ぱぱきがついたみたい。」
「ちょっとバツが悪そうですね。」
「うっかりしてたわぁ~って呟いてますね。」
「さてここから本格的に反撃に出ますわよ!!」
『いい加減離しやがれ!!』
『GYAAAAA!!』
ルドが巨大化して拘束を振り解くと同時に、クロノミアズマから叫び声が上がった。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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