第213話

「さて問題はどうやってお宝を回収する?」

「誰かが外に出てインベントリに入れればいいんですわ。」

「それって誰が行くのルゼダ?」

「ここはDEFの高いルドさんが行くべきですわね。」

「と言う事でルドさんお願いします。」

「あかりはかませてー。」

「せめて潜水服かそれに近い物無いのか?」

「「「「ない。」」」」

「いや俺死ぬわ!!」


唯のゲームだったら生身で海の中に出ても酸素ゲージとか水圧ゲージが出てそれを気にしながら活動すればいいけど、ALOは結構リアル寄りに作ってあるから俺が海の中に出たら水圧で潰れて死ぬ。そんなの簡便だぞ。


「それは冗談としてですわ。」

「冗談だったのかよ。」

「シアちゃん、格納庫の2番ロッカー開けて下さいまし。」

「はーい。」


操縦室のモニターに格納庫の壁に備え付けられていたロッカーがプシューと音を出しながら開く様子が映る。中から白い煙が出てるが、あの演出は必要なのか?


「こんな事もあろうかと市長に準備してもらっていた潜水服ですわ!一着しかありませんけど。」

「在るんなら最初から出してくれよ・・・。」

「ルドさんには着せたくなかったんです・・・・。」

「なんでだリダ?」

「ルドさんが巨大化したらあの服破れちゃいますから・・・・。結構お高い素材使ってるんですよ?」

「壊したらもったいないって事ね。まぁ海の中で巨大化する事は無いだろうけど。」

「あっ、今僕にもフラグが立つ音が聞こえましたよ。」

「はたがたったよー。」


いやいやいや、こんな簡単な事でフラグが立つなんて・・・・。そう言えば今までも結構簡単にフラグが立ったな?これ俺が使わないほうが良いか?


「ルド殿、巨神様から話が在るそうです。」

『お困りですか?』


お客様席に座ってたローズと巨神様が話しかけて来た。そう聞くって事は何か解決策が?


『解決策も何も、貴方達は普通に水中で呼吸できるじゃないですか。その指輪は飾りでは無いでしょう?』

「「あっ!?」」

「どういう事ですのルドさん?」

「お揃いの指輪してるなぁとは思ってましたけど、それって魔道具だったんですか?僕はてっきり・・・・。」


忘れてたぁぁ!!全然活躍の場所が無かったからすっかり頭から抜け落ちてたよ。巨神様が言ってたのはこれの事だな!!


マーメイドの誓い:2人の愛を繋ぐ誓いの指輪(水中呼吸 水中移動付与)


呼吸はそのままの意味だとして、水中移動は水圧にも対応出来るんだろうか?


『水中で移動する為に必要な物は全て内包していますよ。水圧も大丈夫です。』

「それは良いですわね!!ではルドさんとリダさんはお宝の回収に向かって下さいまし!!ロアは2人の護衛をお願いしますわ!」

【きゅっ!!】

「船の操縦は僕がやりますね!!」


と言う事で、巨神様の有難い助言(ダメ出しとも言う)のおかげで潜水問題は解決!!俺とリダはエアロックから水中に飛び出した。


「んぐ?がぼがぼがぼがぼ!!」


飛び出したはいいが全然呼吸できないぞ!!ほったらかしにしてたから壊れたのか!?


『ルドさんルドさん、指輪の力を使うって念じてみて下さい。』

『がはっげほっごほっ、あぁ~。死ぬかと思った。サンキューリダ。』


スイッチ式になったのかよ。前は自動発動だったよな?いつの間に修正されたんだか・・・・。後は水中で無理矢理喋っているからか声が響く感じになってるな。


【お2人ともイチャイチャしてないでお宝を回収して下さいまし!!】

『へいへい。』

『べっ別にイチャイチャ何て・・・。』


アルバトロスから早く行けと催促されて俺達はカーラ達が待っている場所に移動する。おー、泳いでも行けるし、海底を歩く事も出来るな。こりゃ便利だ。移動方法を切り替えるのにスイッチ式にしたのか?


「おっ来たね2人共。それじゃあお宝の場所に案内するよ。」

「2人共凄いの!!水の中でどうやって息しているの?」

『この指輪のおかげだな。』

「ほーん、先祖以外にも奇特な奴が居たんだな。」

「きれいなの~。」


カーラとシーに案内されてまずは近場の船から探索する。木造船だなこれは、何が原因か分からないがかなりボロボロになってるなぁ。ロアは巨体で入れないから船の近くで待機だ。


『崩さない様に気を付けろよ。』

「大丈夫だよ。あたい達は何度もここに来てるからね。」

「庭みたいなものなの!!」

『ルドさん、あれって宝箱でしょうか?』


リダが指さした先は俺達が今いる場所の斜め下に空いた穴の先だった。丁度船の中央にある場所で、頑丈な鉄の扉が備え付けられているのも見える。


『天井部分に穴が開いたんですね。』

『他にもお宝が在りそうだな。』

「前に来たときは穴何か開いてなかったね。」

「新しい発見なの!」

『気を付けながら確認に行くか。』

『そうですね。思ったよりも脆くなっているかもしれません。』


慎重に穴の中に体を滑り込ませ、見つけた宝箱の所に向かう。カーラとシーはさすが海の種族なのかスイスイと先に行ってしまった。俺達はというと?


『ぬぅ、また引っかかった。』

『大丈夫ですか?手伝いましょうか?』

『いや大丈夫だ。ちょっと先に行っててくれ。』


俺の体って2mまでしか縮められないんだよな。泳いで移動しているとは言え、結構幅がギリギリなんだよ。鎧が飛び出した木に引っかかって良く止まっちゃう。壊すわけにも行かないしなぁ・・・。


デーデン♪


『ん?なんの音だ?』


デーデン♪


『また聞こえた?』


デーデン♪デーデン♪デーデン♪デーデン♪


『この音聞き覚えがある様な?』


デデデデデデデデ♪テレレーン♪ジャン!!


「GAAAAAAAAA!!」

『ギャーーーーッ!!』


『ルドさーん?大丈夫ですかー?あれ?居ない?』


船に響き渡ったルドの叫び声を聞いてリダが様子を見に戻って来た。だがそこにはルドの姿は無く、先程より少しだけ広がった穴が在るだけだった。


「どうしたんだい?」


異変を感じ取ったのかカーラも様子を見に来たようだ。問いかけてくる彼女にリダは状況を説明する。


『ルドさんがここに居たはずなんですが、姿が見えないんです。』

「本当にここに居たのかい?」

『はい、体が引っ掛かったから先に行ってくれと言われて・・・。ちょっと連絡をしてみますね。・・・・あれ?チャットも使えない?』


何かがおかしい、2人はそう感じてシーの元に戻ろうとした。


「キャーーーーーーッ!!」

「っ!?シー!!」

『急いで行きましょう!!』


宝箱のある部屋で待機していたはずのシーが叫び声を上げた。緊急事態に急いで現場に向かう2人、だがそこにはルドと同じように何も残されていなかった。


『これは一体・・・。』

「何かが居るね・・・。」

『えっ!?じゃあルドさんとシーちゃんは!?』


カーラの言葉に最悪の状況を思い浮かべるリダ。だがカーラはしばらくあたりを見回した後にリダに大丈夫だと告げた。


「食われたわけじゃない。もし少しでも傷が出来てれば血の匂いがするはずだよ。でも血の匂いはしていない。つまりは捕まったって事だ。」


2人が無事だと知ってほっとするリダ。だが正体不明の敵に2人が囚われている事に変わりはない。今頃どのような目に合わされているのか・・・。


『すぐに探しましょう!!』

「一緒に行くよ。こういう時にバラバラに動いたら駄目だ。まずは船の中をくまなく探そうかね。」

『はいっ!!』


リダとカーラは2人を探す為に船の探索を進めた。くまなく内部を調べたがどこにも2人の姿は見つからない。焦りが彼女たちを襲い、このまま行方不明という最悪な状況が頭に過ぎった時、カーラが穴を発見した。


『これは・・・・。別の船ですかね?』

「そうだね。ここは今いる船の船尾だ。この穴から別の船の横に抜けられそうだね。」


そこには別の船に繋がる大穴が開いていた。


「この船には居なかったんだ。2人はたぶんこの先だね。」

『行きましょう!!』

「あぁ、待ってろシー!!」


2人は暗い穴の中に入って行く。その姿を後ろで黒い影が見ている事に気が付かずに。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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