第210話

「撃てぇ!!」

『はいはい、怪我してしまったらすみませんねぇ。』ボンボンボボン!!


さて、照準が微妙に合った砲撃が俺達に向けて発射された。飛んでくる魚の骨はダーツの様に角の生えた奴だ。刺さったら痛そうだな。


【ルドさん撃ちますか?】

「いや、こっちで受けてみる。守護者発動してっと。『おーいこっちだぞー。』」


俺は新調した盾を構えて魚の骨砲撃に備える。守護双璧流『守護者』の効果で撃ち出された骨は全部俺の所に向かってくる。一度の砲撃で4~8匹撃ち出されてるからな。結構迫力あるぞ。


「シーちゃんは怖くないか?」

「ルドさんの後ろは安心するの~。」


ぴったりと後ろにくっついているシーちゃんに声を掛けるもとても落ち着いている。味方に攻撃されてるってのに何とも肝の座った子だ。まぁこの子は悪い子じゃなさそうだし、怪我をしない様に守ってあげようかね。


「おっと、そろそろ来るか。ほいほいほいっと!!」ガンガンガガガガン!!


威力があるとは言えども骨は骨、土竜の鱗にはかなうまい。飛んで来た骨を盾で受ける。衝突した骨はバラバラになり海に落ちて行った。骨自体が折れてる奴もあるが・・・・。あぁそれも元に戻るのね。復元力すげぇな。


【盾新しくしたんですか?】

「おう、城塞都市でちょっとあってな。良い素材が手に入ったから強化したんだよ。」


城塞都市での用事がこれを受け取る事だったのだよ。親父達を襲ったハイドの素材を少し分けて貰って、都市の鍛冶屋に頼んで強化して貰った盾だな。耐久∞の力を残すのに凄い苦労したと愚痴られたっけ。


隠れ地竜の双盾(DEF+150被ダメージ-15% 耐久∞ スキル<隠蔽>)×2


DEFは2枚合わせて+300、被ダメージは-30%の壊れ盾だぜ!!スキルと合わせて被ダメージは-40%に巨操盾術の効果を合わせるとダメージは90%カットだ!!うん、チートじゃねと思わなくもない。どうしてこうなった?


盾が強化されたおかげで今の俺のDEFは補正値込みで5670になった。カッチカチだぞ?基礎ステータスは999が上限だが補正値はそれ以上伸びるみたい何だよな。また数字のインフレ起きないか心配だ。


そして装備スキルの<隠蔽>、これはステータスを隠すとかいう効果ではなく、俺自身の体を隠す物。盾の後ろに体を全て入れると、周りの景色と同化して相手から見えなくなるってスキルだ。


盾職の俺に必要なのか?と問われれば必要ない!!と言えるがこれって別の使い方もある。それは俺が巨大化して盾の内側に味方を入れると一緒に姿を隠せるって事だ。潜入任務やら奇襲にも使えそうだよな。


「こらボン!!ちゃんと狙うんだよ!!」

『でも当たったら痛いでしょ?』

「敵に気を使ってどうすんだい!!」

「お頭はまず大砲を全部防がれた事を気にしたほうが良いと思うの。」


仲間たちに盾の自慢をしてたら向こうの船もワイワイと盛り上がっていた。


「えぇい!!埒が明かないね!だったらあたいが直接攻撃してやるよ!!」ドドドドドン!!

『あひぃっ!!』

「あっ、お頭が怒ったの。」

「あれは何してるんだ?」


突然触手になっている足を船に突き刺さし始めましたが?


「さぁ覚悟しな!!優しいボンと違ってあたしゃ容赦しないよ!!」

『お頭無茶し過ぎですぞ。あひん!!おふん!!そこはらめぇ!!ぐりぐりしないれぇ!!』

「俺は何を見せられてるんだ?」

「気にしたら負けだと思うの?」

【シアちゃんの教育に悪いのでもう撃っちゃって良いですか?】

【しあはみてないよー。】


船首でビクビクと身もだえる白骨とウネウネと足を動かしまくって大砲を撃ち続けるカーラ。そして相変わらず俺の後ろにぴったりと引っ付くシー。カオスだなぁ。


【もう我慢できないので撃ちます!!】

「あっこら待て!!多分エネルギーの無駄」ドシューーーッ!!ドカンドカーン!!


誘導式魔道ミサイルが発射され相手の船の側面に着弾。骨の破片をまき散らしながら青い炎を噴き上げているが・・・・。あっやっぱり、吹き飛んだ骨と大砲の弾として発射された魚の骨が損傷個所に集まってあっという間に元に戻って行く。


「ふはははは!!あたいのボーン・ダッチマン号に攻撃は効かないよ!!さぁ突撃だ!!」

『あひぃぃぃぃぃっ!!そこはらめなのぉぉぉぉ!!』

「野太いおっさんボイスの嬌声・・・。どこに需要が在るんだよ・・・。」

「海底だと意外と人気なの。」

「まじで?」

【飛びますわよー。】

【ひこうすいっちおーん。】


突っ込んでくるボーン・ダッチマン号。対してこっちは落ち着いて空に逃げる事を選択。シーちゃんがくっついたままだが・・・。まぁ何とかなるだろ。


フィィィィィィィ!!


アルバトロスの翼が開き。エンジン音があたりに響く。突然甲高い音が響き渡った事でカーラは少し戸惑っていたが、そのまま突撃してくる。


【浮上しますわ!!】

「なっ!!なんだいそれは!!ずるいじゃないか!!」

『あひんっ!!逝く!!これ以上ぐりぐりされた逝っちゃう!!』

「おー、飛んでるの!!この乗り物凄いの!!」

「さてこっからどうするかねぇ。」


浮かび上がったアルバトロスの下をボーンダッチマン号が走り抜けていく。船を反転させながら両手を振り回してカーラが文句を言っているが、足元注意したほうが良いと思うぞ?白骨の顔が表情も無いはずなのに見せられない状態になってるから。


『もうらめぇぇぇぇぇ!!いぎゅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!』

「あっこら馬鹿!!ここでバラバラになったら。」ガラガラガラガラ、バッシャーン!


うん、ボンさんは我慢の限界だったみたいだな。自らばらばらになって海中に沈んでいった。もちろん足を突っ込んでいたカーラも一緒に。


「なぁシーちゃん。あれって大丈夫なの?」

「大丈夫なの。ボンさんは落ち着いたら勝手に元に戻るの。親分も頑丈だから大丈夫なの。しばらく待ってたらまた上がって来るの。」


そうなのか。何度も蘇る海賊船とか普通の人だったら恐怖だろうなぁ・・・・。シーちゃんもこっちに居るし、しばらくここで待機しとくか。


「シーちゃんは水が無くても大丈夫なのか?」

「人魚は水が無くても足が変わるだけで大丈夫なの!」


そう言えばそうだったか。俺の後ろにくっついている時から鱗の生えた足で立ってたからな。心配する必要は無いか。


「じゃあ船が戻って来るまでお菓子食べるか?」

「食べるの!!」

「という事だから、お茶とお菓子を準備してくれ。シアもシーちゃんと一緒におやつ食べて良いぞー。」

【わーいおやつー!!】

「食い尽くすなよ?それじゃあ中を案内するから着いて来て。」

「はいなの!!」


まぁ案内すると言っても客室と貨物室、後は食堂ぐらいしか案内出来ないな。機関室とか操縦室は見せるわけには行かんしなぁ。まぁそれでもシーちゃんは喜んでくれたけどな。


最後に食堂に案内すると丁度仲間たちがお菓子と飲み物の準備をしているところだった。


「わー、お菓子がいっぱいなの!!」

「いらっしゃいシーちゃん。準備しておきましたよ。」

「?この人達だれなの?」

「俺の仲間だよ。上に居た時に声を聴いただろ?」

「そう言えば聞いた事のある声なの!!」

「しーちゃんいっしょにおかしたべよー。」

「シアなの!!一緒に食べるの!!」


シアに呼ばれてシーちゃんがシアの隣に座り、お菓子をパクパクと食べ始めた。こりゃリダ達の自己紹介は後でかな?今言っても覚えてなさそうだ。それくらいお菓子に夢中になっている。ってこらシア!!俺達の分まで食おうとするな!!


「まずはあの船が戻って来るまで休憩だな。」

「そうですね。それにお菓子も全部食べられちゃいそうですし。」

「ずっと飛んできて疲れました。」

「私達もお茶にするのですわ。」


さて、どれくらいで戻って来るのかね?


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る