第206話
巨神の涙はクジラの腹の中に眠っているそうです。うん、それどこのキ〇ピオ、あっ違ったピノ〇オだった。キノ〇オはキノコの方だったわ。
「クジラの現在地はどうなっていますの!?」
おっと、現実逃避している場合じゃない。クジラの現在地はというと・・・。もう到着するな。
「本艦まであと300、すぐに来るぞ。おっ?小さいのが先にイカに食いついたな。」
「レーザーであれだけ攻撃しても引き剥がせなかったのに、簡単に食い千切って行きましたね・・・。」
「あれはほとんど丸飲みですわね。」
「しあもたべたかったなぁ・・・・。」
「一番巨大な奴来るぞ。」
ドゴンッ!!
クジラが大王イカ事アルバトロスに噛み付く。イカはクジラの歯でズタズタになって行くが、艦の方はバリアのおかげで無傷だ。まぁそんな様子が見えてるって事は完全に飲み込まれたって事なんだが。
「それで巨神様?涙は何処に?」
『奥の方ですねぇ。』
「これってこのまま探索・・・じゃ無いみたいですね。」
「空気が在りますわ。それに奥に行くにはアルバトロスでは大き過ぎますわね。」
「つまりここからは徒歩で探索しろと。」
「くじらさんいっぱいたべてるねぇ~。」
古い船やら、家の様な物、遺跡の一部や島丸ごとなんてものも沈んでいる胃袋に到着した俺達。ここに涙が在れば話は簡単だったんだけど、どうやらさらに奥に向かわないといけないみたいだ。
そして巨神様が指さした先はあの場所へ続く道・・・。ではなく、どこか別の場所に繋がっている様な穴。人が2人並んで歩けるくらいの幅しかない。なんでわかるのかって?例の場所に通じてる穴は胃の底にあったからだよ。
とりあえず俺達はなぜか穴の傍にある島に上陸。アルバトロスはリダがインベントリに収納した。
「まるで童話の世界の話ですね。」
「クジラの腹の中で探検か。あの童話だとどうやって脱出したんだったかな?」
「たしか・・・、お腹の中で焚火を起こしてくしゃみを引き起こした・・・はず?」
「元々は鮫か大きな魚だったらしいですわね。」
「ねぇいかないのぉ~?」
『早く行きましょう?』
うん、2人とも待ってね。だって目の前にあるのはドクンドクンと脈打つ肉の壁だし、地面も脈打ってるし、ちょっと覚悟が必要なんだよ。うん。こんな経験今までしたことないからさ。
「っし、行くぞ!!」ぐにゅん。「うひゃ~。結構沈むな。後やっぱり気持ち悪い・・。」
「足の下から心音が聞こえるのはなんか不気味です・・・。」
「この血管を傷つけたら勝手に死んだりしないかな?」
「止めておきなさい。何が起こるか分からないですわ。」
『涙はこっちですね。』
「ごーごー!!」
さて、開いている穴から中に入る俺達。壁を見ると・・・無理矢理焼いて固めたような跡が見える。これって誰かが意図的に広げた穴なのか?
巨神様の案内のまま、俺が先頭に立って進む。すると少し広くなっている空間に出た。そこにはボロボロのテントと焚火の痕、そして、並んで横になる白骨があった。
「この人達も飲み込まれたのか・・・。」
「焚火で脱出は出来そうにありませんわね。この人達が先にやってますもの。」
「手を繋いだまま亡くなってる・・・。夫婦だったんでしょうか?」
「あっ!!繋いだ手の中に水晶が見えますよ!」
『えいっ。』
白骨死体の繋がれた手の中に在った水晶を巨神様は容赦なく奪い取った。いや、それ大事なやつだからそうやって持ってたんじゃないの?
「あぁ~ひどい~!!」
「巨神様それはあんまりでは?」
『私が取らないと多分襲われてましたよ?』
「襲われる?」
『はい、だってこの人達リッチですから。』
『いやはやばれてましたか。』
『せっかく訪ねて来られたから驚かせようとしたんですが失敗ですね。』
「「「「きゃーーーしゃべったーーーーー!!」」」」
『ほらね?』
突然動き始め、カタカタと顎を動かしながら話し始めた白骨死体。リッチって事は記憶を持ったままアンデッドになった魔法使いって事だな。
『いやぁ~。あなた様の清浄な気で今にも昇天しそうですよ。カカカカカ。』
『2人そろってこのクジラに囚われてますからね。成仏できそうで良かったわぁ。』
「えっと?どういう事?」
「たとえフラグ大好きな私でもなんでも解るわけじゃないんですのよ?まぁおそらく女神の涙を飲み込んだ後、涙を守る為に守り手として2人を体の中に封じ込めているという所ですわ。」
『正解~。この水晶を取り返そうとして戦いを挑んで敗北。飲み込まれて水晶の守り手に掛けられたのが私達でーす。』
『もう200年くらいになるかしら?長かったわねぇ。』
ずいぶんのんきそうなお2人である。ってかそれなら俺達と戦わないとダメなんじゃ?
『さっきも言ったけど、光ってるお人の清浄な気で呪縛溶けちゃったから。』
『あとは成仏するだけなのよ。』
「さすが巨神様。存在するだけでアンデッドを抑えるとか凄い!!」
『( ・´-・`)ドヤァ!!』
「なんで俺の方を向く?」
まぁ戦いになっていたとしても俺の白熊鎧が呪縛をどうにかしそうだったけどな。なんせ死体を見た時にちょっと動いてたから。
『GUOOOOOOOOO!!』
『あらあら、バレちゃったみたい。』
『じゃあ後はよろしく。僕たちはさっさと成仏するから。』
『はい、来世では良き人生を。』
「いやちょっとまってどういう事?何が起こってんの?」
『化け物クジラに呪縛が解けて水晶が奪われたのがバレただけだよ?』
『こいつ、水晶の力を使って力を付けたから取られたくないみたいなんだよなぁ。』
『だからこれから大暴れするから対処よろしくね☆彡』
『じゃあ後は任せた。アデュー!!』
「あっこら待て!!消えるな!!もうっちょっと色々説明してから逝けーーーーーーー!!」
さらっと軽いノリでリッチの2人は消えて行った。つまりあれか?イカの次はクジラとバトルか?マジで?
ゴゴゴゴゴ
何かが動く音と同時に俺達の居る地面が怪しくうごめく、これかってにどっかに運ばれてないか?
『あー、排出されますね。』
「巨神様?つかぬ事をお聞きしますがそれは何処からですか?」
『あぁ大丈夫ですよ。下では無いですから。』
「あー、まさか潮吹きでしょうか?」
『ですねぇ~。』
「全員急いでアルバトロスに乗り込んでくださいまし!!飛び出したら即戦闘ですわよ。」
ブシューーーーーッ!!
全員が何とかアルバトロスに乗り込んだ所で下から大量の海水が噴き出し、外に追い出された。水の勢いでぐるぐると回転していたアルバトロスはルゼダが飛行スイッチを入れた事で今は空を飛んでいる。
「あっ危なかったですわ・・・。」
「ギリギリでしたね・・・・。」
「それで次はあれの相手ですか・・・。このまま逃げません?」
「ボス戦だから多分無理。」
「めがまわるぅ~。」
いつの間にか海面に顔を出しているあのクジラは、取り巻きの2匹と一緒にこちらを睨んでた。取り巻きはこっちを睨みながら周りをぐるぐる回っている。逃げようとしたら攻撃されるなコレ。
「さて、まずは取り巻きから戦ってみるか。」
「あー、海面に色々浮いてますわ。本来であればあれを足場に戦うんですわね。」
「ルゼダはそうやって戦いたいの?」
「楽が出来るならそちらの方が良いですわ。」
「戦闘開始しますよ~。」
「こうげきかいし~。」
シアの操作でアルバトロスの搭載武装が唸りを上げる。空中なら6連魔道速射砲も使えるからね。うん、一瞬で取り巻きはミンチ肉に変化したよ。
「簡単に終わり過ぎじゃないか?」
「水中ではレーザーの威力も減衰していたんですわ。やはりアルバトロスの主戦場は空中ですもの、本来はこれくらいの攻撃力を持っていますわ。」
「あのイカがおかしかったんですよ・・・。」
「今度水中用の武装を市長にお願いしてみましょうか。」
「しあもっといっぱいうちたい!!」
『のんびりしている所ですが、本命が来ますよ?』
『BUOOOOOOO!!』
巨神様の注意で最後のクジラに視線を戻すと、アルバトロスの前に大きな尾鰭が迫ってきている所だった。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
This work will be sent to you by kotosuke5, who is Japanese. Unauthorized reproduction prohibited
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます