第161話

「ノート!!スクショを!!」

「すでに撮ってます!!」

「ふむ、旅人が選択出来る種族以上に居るなこれ。」

「皆楽しそうっすね。顔が笑ってるように見えるっす。」

「扉の縁に文字が浮かび上がっていますわ。ノートさん翻訳を。」

『ん?あぁこっちも読めるのか。なんで俺が読めるんだろうな?』

「ルドさん読めるんですか!?」


読めるって言うか、皿の文字を見た時から自動翻訳されてる感じ?スキルにはなっていない様だが、書かれている文章の上に翻訳文字が浮かぶんだよな。今度はひらがなとカタカナが混じって表示されてるな。


『なんでか解るんだよなぁ。早速読むぞ?【キョシンのチをヒくダイチのタミよ。ワレらのエイチはアマタのタメに、ケッしてアしきココロでツカうコトナかれ。】だってよ。』

「我らの英知・・・。この巨神に抱かれた人達の事ですかね。」

「すべての種族が協力して作り上げた本・・・・・。是非読みたいですね!!」

「バッチリ記録しますよ!!」

「ワクワクが止まりませんわ!!早く入りましょう!!」


それもそうだな。扉が光った所で住民から無茶苦茶注目されてるし、さっさと中に入るか。


「それじゃあ中に入るぞ!!って扉が閉まってる!!」

「駄目ですね。こちらの魔道具では入館できなくなっています。」

「どうにか出来ませんの?」

「ルドさん!!上の魔道具で入館できませんか!!」

『扉が変わってから反応なしだ。』

「だったらルドさんが開ければ良いんじゃないですか?」

『ナイスリダ!!俺が開けてみるよ!』


何とはなしに、巨神の手が在る場所に両手を合わせて押し込む。いや取っ手とか着いてないから引っ張る訳じゃ無いと思ってね?


その後しばらくは扉相手に悪戦苦闘していたが、何をやっても一向に開く気配がない。一体どうなってるんだ?


『うーん。重たすぎるぞこれ。全く動かん。困ったなぁ・・・。』

「ルドさん。ルドさん。」

『どうしたクリン?』

「引き戸じゃないですかその扉。」

『えっ?あっ。嘘だろ?うわマジか・・・・。すんなり開いたわ。』


扉を横にスライドさせれば簡単に開きましたとさ。うわぁめっちゃ恥ずかしい!!漫画みたいな事やっちまった!!


「これもお決まりですわねぇ。」

「やってくれると思ってたぜ!!プクククク。」

「人間って1つの事に夢中になると視野が狭くなるんっすねぇ。」

「ルドさん、気にしないで下さいね。プッ。」

「大魔導図書館の扉は引き戸っと。」

『さっさと入るぞ!!』


恥ずかしさのあまり、巨大化したまま扉の中に入った俺。皆も後を追いかけて入って来る。すると、どこからともなく球体の何かが飛んで来て俺の前で止まった。球体の下部にはレンズの様な物が付いていて、そのカメラが俺達を見ている。


『なんだ?』

〔3000年ぶりの大地の民来訪を確認。登録の為に情報収集を開始します。〕

「すごいです!!あれってドローンですよね!?とってもSFチックですが!!」

「記録!!記録しなくちゃ!!」

「昔の人ってのは大分文明が進んでたのか?あんなのリアルでも無いぞ?」

「まぁそこはゲームだからじゃないっすかね?それよりルドさん大丈夫っすか?」

『おう、痛みとかは特に無い。』


情報収集とやらで俺の体に向かってレンズから緑の光を照射する球体。何度か光を行ったり来たりさせた後は、チキチキと音をさせながらその場で浮かんでいた。


〔登録完了。仮入館証を確認。この機体に仮入館証を入れて下さい。〕


パシュン


球体の体が半分に割れ、中にはドッグタグを入れる溝が在った。俺は言われた通りに入館証をそこに入れた。


パシュン チキチキチキ・・・ パシュン


割れた体を元に戻した球体が、チキチキと音をさせた後又開いた。その中には元々銀色だったドッグタグが金色に変わって入っていた。


〔入館証の発行を完了しました。未開放区画へ赴く際はご利用ください。それでは当【万魔図書】のご利用に際して注意事項を説明いたします。〕


俺が色の変わったドッグタグを首から掛けると、球体はこの図書館の注意点を説明し始めた。


蔵書は汚さず大事に使う事。紙媒体は特に注意すべし。魔導媒体は勝手にいじる事無かれ。魔導媒体内の情報が見たければ案内用浮遊球体(ドローンの事)にお願いする事。


蔵書の持ち出しは厳禁。貸し出しは行っていない。メモを取る事は可能。


閲覧、持ち出し禁止と赤文字で書かれた物に関してはメモも見る事もダメ。違反者は即座に捕らえられ、処理される。


外の知識はいつでも集めている。新たな知識を持ち込んだ者には便宜を図る。


蔵書の中には呪いや不思議な力を持つ物が含まれている。それらを利用する際には注意が必要。もし必要であればそのような本を開く専用のドローンが居る。(借り受けるには正規の入館証が必要。)


現在図書館内に不法滞在者が存在している為、トラブルになる可能性が高い。


〔以上となります。何か質問はございますか?〕

『ここは通常の図書館じゃないって事で良いのか?』

〔はい。この場所を訪れるには大地の民である事、もしくは正規の入館証を所持している事が条件となります。〕

「我々からも質問しても良いですか?」

〔はい。お連れ様方の質問も受け付けています。〕

「我々には入館証は頂けないんですか?」

〔申し訳ございません。あなた方はこの万魔図書での実績が足りません。発行は許可できかねます。〕

「その実績はどのように稼げばいいんですの?」

〔万魔図書の管理に貢献して頂ければ実績となります。〕

「具体的にはどうすれば良いっすか?」

〔私共の方から依頼を出させて頂き。それを解決して頂ければ。〕

「その依頼は通常の図書館でも受けられるんですか?」

〔申し訳ございません。通常図書の方は2000年前に現地の方々に譲渡されております。ですので我々は秘匿図書にしか居りません。〕


そっか、まぁ仕方ないよな。管理が別なんだから。それにしても流暢に会話できるんだなこの球体。それにこいつの話の通りだと最低でも3000年前から動き続けている事になるよね?メンテナンスとかどうしてるんだ?


〔自己修復により機能を維持しております。これも我々の保管している知識の中に記載がございます。〕

「ほぅ!!それは是非知りたいですね!!」

〔申し訳ございません。仮入館証であるあなた方には閲覧権限がございません。〕

「なるほど、自由に調べたければ依頼を受けろと言う事ですね?」

〔そうでございます。〕

「やりますわよ!!私たちも入館証を手に入れますわ!!」


ルゼダがやる気になっておられる。おっ?ストーリークエストの目標が変わった?図書館の問題を解決せよ?どっちにしろやらないと駄目なのかこれ。遺跡の文字調べて終わりじゃ無かったかぁ~。


「こっからなら各PTに別れても大丈夫みたいだな。」

「それぞれで別れて依頼を熟すっす!!」

「ですが十分注意を。内容によってはお互い協力しなければいけないと思います。」

「クエスト内容も記録しておきます。」

「全員分入館証を手に入れる為に頑張りますわ!!」

〔依頼を受けるという事でよろしいですね?ではお願いしたいことはこちらになります。〕


球体が空中に文字を表示した。あっまただ、読めないはずの文字の上に翻訳が浮かんでいる。今度は漢字が入ってる?どうなってんだこれ。


俺が戸惑っている様子を見せると球体が俺の疑問に答えてくれた。


〔大地の民はその血の中に記憶を残します。その記憶の中に我々が使う文字が含まれていたのでしょう。文字を全て思い出せば言葉として使えるはずです。〕

『なるほど。これは血の記憶を思い出してるって事なのか。』

「ルドさん、又ですの?」

『おう、文字が勝手に翻訳される。いやぁ便利なもんだなこれは。』

「血の記憶ですか・・・・。大丈夫なんですか?精神を汚染されたり、自分の物じゃない記憶とか思い出したりしてません?」

『あぁ大丈夫だよ。それより皆はこの依頼読めるか?』

「僕には読めません・・・・。」

「しあわかんなーい!!」


まぁそうだよなぁ。俺もこの翻訳が無ければ全く分からんし。


毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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