第156話
「なるほど・・・、気を抜いたなレイハ?」
「申し訳ございません。まさか2度も襲撃が在るとは考えてませんでした。」
「狙われていると解っていたのだ。消耗した所を狙うのは当たり前だ。これからは問題が解決するまで常に気を張っていなさい。ブリックスも頼むぞ?」
「はっ!!この命に変えましても!!」
これで粗方の説明は終わったな。はてさて俺達はどうなるのかね?
「娘が約束した大魔導図書館の場所を記した地図と入館に必要な書類は準備しよう。しかし、問題が起こっている現状図書に入るのは難しいかもしれんな・・・。」
「それはどうしてかお聞きしても?」
「大魔導図書の管理は今件の問題貴族が握っているのだ。」
「なんですって!!お父様それはどうして!?」
「前任の管理者が御歳を召して引退された。そして宙に浮いた管理者の椅子を金で買い取ったのだ。全くそれほどの資金をどこから調達したのか・・・。」
あぁ、悪知恵の働く方の貴族だったか。多分裏であくどい事やってるんだろうなぁ。
「魔道国には尋問に使われる魔法が在ると聞きますわ。それは使えませんの?」
「もちろん何度も魔法の使用は行われた。だがどういう訳か奴にその手の魔法は効果が無いのだ。」
「持ち物の検査とかはされましたか?」
「持ち物?」
おっと?もしやこちらの貴族様はちょっと抜けてらっしゃる?
「もし魔法効果を防ぐ、もしくは反射する魔道具が存在していれば、魔法は無効化されると思いますが?」
「何を言う。我が魔道国の魔法はそこらの魔道具には負けん。」
あっ駄目だこれ。魔法に誇りを持ちすぎて盲目的になってる奴だ。
「魔道具は日々進化していますよ?先ほどお話したブリンガーも最近開発された魔道具です。高速で移動し、地形の影響を受けない。そのような夢の魔道具が今実現したのですから、魔法を使われた際に無効化する魔道具が在ってもおかしくないと思いませんか?」
「貴様!!我が国の魔法大系を馬鹿にするのか!!」
「落ち着けブロックス。彼の言う事も一理ある。どうやら我々は自身の魔法に誇りを持ちすぎたようだ。」
領主さんが話の解る人で良かったよ。ブロックスさんはまだ納得して無いみたいだけどね。
「ブロックス、すぐに王都に連絡し、例の貴族に魔法行使をするよう魔導王様に連絡してくれ。その際に持ち物を全て没収し、服も念の為に別に用意して着替えさせろ。体内の魔力チェックも怠らないように頼む。」
「畏まりました。」
ブロックスさんが部屋を出て行った所でハジンさんは再度俺達に頭を下げた。
「我が家の家令が失礼した。それと忠告感謝する。君達に言われなければ気が付かなかった。」
「いえ、魔法に重きを置く魔道国ですから仕方ないかと。それに外様の俺達の言葉を信じた領主様の器に感服するばかりですよ。」
「そう言って貰えると助かる。」
「旦那様、連絡してまいりました。」
「後は結果を待つのみか。」
これで決闘なんて事はしなくても良くなると良いなぁ。うん、なんかフラグ建った気がする。
報告が終った俺達は一旦領主館を離れる事にした。いい加減メガネ達と合流しないと駄目だしね。ハジンさんから何か在った時の為にしばらくゴレオンに滞在していて欲しいとお願いされたので了承した。何か在った時は念話っていう魔法ですぐに連絡してくれるらしい。念話とは魔力でマーキングした相手に言葉を送る魔法だってさ。
と言う事でメガネ達に連絡を取って待ち合わせ場所に指定したゴレオンの広場に向かった。
「おー!!おっきいごしんぼく!!ぱぱなかよくしにいっていい?」
「迷惑掛けないようにな?」
「はーい!!」
「メガネさん達はまだ来ていませんね。」
「あれじゃないか?」
「あっ本当です。おーい!!こっちでーす!!」
「2人しか来ていませんわよ?」
「向こうも何か在ったかな?」
こっちに向かって来ているのはララとメガネだけだった。
「お待たせして申し訳ないです。」
「いや、待たせてるのはこっちだから。でも何で2人だけ何だ?」
「それは大魔導図書館に入る為っす!!」
どうも最近大魔導図書館の管理人が変わり、入館には法外な入場料を払わないといけないらしい。金を払えないのであれば若い娘を差し出すように言われており、金を稼ぐために他のメンバーは全員冒険者ギルドで依頼を熟しているんだそうだ。
「いや、住民から苦情上がるだろソレ。」
「どうも旅人にだけそのように対応している様で、どこの生まれかもわからない旅人にはそれぐらいしないと魔道国の知識が軒並み奪われると言っているそうです。」
「やりそうですわね。」
「場所は解ってるんですか?」
「大魔導図書館はシンワントにありますよ。」
「所在の情報はすぐ掴んだっす!!でも入れさせてもらえなかったっす・・・。それ所か警備している兵士にセクハラされそうになったっす・・・。」
「ウケンが在の様に起こる所を始めてみましたよ。」
「そっちはそっちで大変だったんだなぁ。」
「チャットで情報はお聞きしていましたが其方はどうです?」
「おう、最初から説明するとな?」
メガネ達にバッチリ大魔導図書館に関係している現状を事細かに説明した。
「なるほど、やはり国としても問題として取り組んでいたんですね。」
「国自体が腐って無くて良かったっす!!」
「今尋問用の魔法で取り調べをするように動いてくれてるよ。」
ザザッ!ザーッ、ザーッ!
説明が終り、これからどう動こうかを話し合おうとしたとき、突然ノイズの様な音が聞こえ始めた。
ザーッピッ!“あーあー、ルド殿聞こえますでしょうか?ブリックスでございます。”
「あぁ聞こえてるぞ。」
「どうしたんですかルドさん?」
「頭変になったっすか?」
「あっ多分これは連絡が来たんです。」
「念話ですわ。」
クリンとルゼダ説明サンキューな、突然独り言言い始めたからメガネとララが俺を変な目で見て来たよ。リダはさすがに念話が来たのを感じたのか俺の事をじっと見つめている。
“お返事は頭の中で大丈夫でございます。”
“こうかな?”
“そうでございます。先ほど首都より連絡がございました。”
“どうでした?何か解りましたか?”
“いえ、魔法の行使は出来ておりません。”
“へっ?”
“件の問題貴族が魔法の行使に猛烈に反対し、魔道具の存在を仄めかした旅人こそ怪しい。自分を嵌める為の工作員だと声高高に仰りまして・・・。”
“まさかと思いますが、魔法の行使を受けさせたいなら言い出した旅人と決闘させろなんて言いだしたとかじゃありませんよね?”
“・・・・その通りでございます。ルド殿は千里眼でもお持ちですかな?”
“そんな便利な物持ってたらこんな状況になりませんよ。”
“そうでございますね。つきましてはもう一度領主館に来て頂きたいのですがお時間の方は大丈夫でしょうか?”
“大丈夫です、すぐに向かいます。”
“お待ちしております。”ピッ
念話が終り、俺はがっくりと肩を落とした状態で他のメンバーに事情を説明する。
「その要求を飲む政権側にも問題はありますわ。」
「決闘はこの国ではかなり重要な制度みたいですからね。その制度を持ち出されれば拒絶出来なかったのでしょう。」
「かなり悪知恵の働く奴っすね!!何して来るか分からないから気を付けるっす!!」
「時間が勿体ないですね。ルドさん、領主館に向かいましょう。」
「そうだな、すぐに行くか。メガネとララはどうする?」
「他のメンバーと合流して金策に励みますよ。必要無くなりそうですがこの先使わないとも限りませんし。」
「私もウケン先輩と合流するっす!!そっちは任せるっす!!」
「おう、気を付けてな。」
と言う事で、せっかく合流したのにすぐに別れる事になった。まぁ連絡はすぐ取れるから問題は無いけどな。俺達は急いで領主館に向かう。あぁ本当に面倒くさい事になったなぁ・・・。
毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!
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