第152話

ブリンガーを軽快に走らせている俺達。時たま魔物は襲って来るけども特に問題無く対処出来ている。いやぁ順調順調。平和なのって良いね。


キャーーーーッ!!


平和終了のお知らせ。どこからか絹を裂くような女性の悲鳴が上がる。助けに行かないと駄目だよなぁ・・・・。短い平和だったぜ・・・。


「なぁこれあれだと思うか?」

「多分そうでしょうね。お約束って奴ですよこれ。」

「テンプレですね。でも普通は物語の序盤とかでこういうのに出会いません?」

「そんな事今は良いですわ!!早く助けに行きますわよ!!フラグですわクエストですわ!!」

「るぜだおねぇちゃんおちついて?」


とりあえず叫び声はブリンガーで入れなさそうな林の中だったので全員降りる。魔道具だからインベントリに仕舞えるの超便利!!


声のした所に急いで向かうと、車輪の取れた馬車とその馬車を守る様に立ちはだかる兵士、そしてその兵士達を囲う様にする赤落ち達の姿が在った。


「あー、国境が近くなって来たから沸いてんのかぁ。久しぶりに見たな赤落ち。とりあえず『城壁』っと。」ずごごごごっ

「うっしこれで保護対象の確保完了。兵士も一緒に入れたけど大丈夫だろ。」

「城塞都市付近は住民も協力しての赤落ち狩りが一時期流行りましたもんねぇ。『遠心打』」バシッ!!ぐえぇっ・・・。

「『光の矢』全く迷惑ですわ。」ドスッ!ぎゃぁぁぁぁぁっ

「『機械蟲』『遠隔爆弾』、レベルも上がりにくいのに良くやりますよねぇ。」ボカーンッ!!

「ぱぱ?しょうかしてもいい?」

「赤落ちだけなぁ。」

「はーい。いただきまーす。」

ΩΩΩ>⁽⁽(ી₍₍⁽⁽(ી⁽⁽(ી₍₍⁽⁽(ી(^ω^)ʃ)₎₎⁾⁾ʃ)₎₎ʃ)₎₎⁾⁾ʃ)₎₎<ΩΩΩ{ギャースッ!!


不意打ちで赤落ちの半分くらいは倒せたかな?まぁ逆に言うと不意打ちでも倒せなかったのが半分も居るって事なんだけど。人数多すぎでしょう?まだ20人くらい居るんだけど。


「てめぇら何者だ!!」


おっとこの人が頭なのかな?昔のリダさんを彷彿とさせる風貌ですなぁ。両手に斧持って髭もじゃの顔なんてそっくりだよ。


「それはこっちの台詞。あんた等こんな所で何やってんの?あっ俺はこういう者ね。」

「兄貴!!こいつ守備隊の隊長っすよ!!まずいっす!」

「くそっ、守備隊がなんでこんな辺鄙な所に!!」

「それを言う必要はありませんわ。そろそろ覚悟は良くて?」

「あっシア、こいつ等消化しないで残しといてな。話聞きたいから。」

「はーい。」

「こんなガキに何が出来るってんだ!!」

「ぶー!!しあがきじゃないよ!!」


うん、シアもレベル上がってるからね。多分あんた等よりも強いよ?それにそうやって姿を侮ってると足元掬われるぞ?文字通りの意味で。


「つかまえたー!!」

「「「「「ウワァァァァァァァッ!!」」」」」


さっきシアが蔓で攻撃してたの見てなかったのかな?丁度林の中で地面が雑草で隠れてるからね。蛇の様に忍び寄って一気に釣り上げたよ。


「びったん♪びったん♪びったん♪びったん♪」

「ぐえっ!!」

「おげっ!!」

「ぐふぅっ!!」

「やっやめごふぅっ!!」

「もうごろじてぶふぅっ!!」

「そろそろ止めときなさいシア。そいつら死んじゃうから。」

「うっ動くな!!」


おろ?俺の城壁の前にいつの間にか男が立ってる。手には何やら箱の様に尻尾が着いている物が・・・・。あれって導火線か?つまり爆発物なのあれ?


「動くなよ!!動いたらこの壁事こいつ等爆破してやる!!」

「ありゃま、爆弾使う職業何て在ったのか。」

「ルドさんルドさん、僕も爆弾使ってますよ。」

「赤落ち限定職の爆弾魔ですわね。野蛮ですこと。」

「何グダグダ喋ってやがる!!」


こっちの態度が気に入らないのか爆弾を片手に持ったままこっちを怒鳴りつける赤落ち。禿げ頭で人相が悪い体の細い男だ。そんなにイライラすると頭の血管切れるぞ?いやゲームだから切れるかどうか分からんけど。


「いや、その状態になって何がしたいのかなぁって。人質取ったら俺達が言う事聞くとでも?そもそもその壁の固さはそこら辺の爆弾じゃ通用しないぞ?」

「ルドさんお手製の壁はかなり固いですからね。僕の遠隔爆弾も効きませんし。」

「時間を稼いで仲間が来るのを待っているのでしょうか?」

「倒れてる人達より強くないと意味はありませんよね?」

「・・・・・・・るせぇ。」


あっ、時間稼ぎは図星だったのか。めっちゃ目を逸らしてプルプルしてる。今の内に城壁に転痛掛けとこ。念の為にね。


「で?どうすんの?投降するなら無意味に痛めつけないけど?」

「・・・・こうなったらこのまま爆破してやる!!俺と一緒に死ねぇぇぇぇ!!」


ドガァァァァァァァンッ!!


「はい残念。」

「ケホッ。ちょっとダメージ通ったな。」

「レベルが低いくせに結構威力がありましたわね。」

「なななな、なぜ生きてるんだ!!あれっ?俺も生きてる?」

「ほばくー。」(^ω^)ʃΩ<グスンッ


うむ、手慣れたもんだ。城塞都市周りの赤落ちを軒並み狩り尽した俺達には軽い相手だったな。俺壁作っただけだったけどな!そもそも序盤で出会うようなイベントのキャストになった旅人が強いわけ無いんだよなぁ。出演乙!!


「事情は聞けたか?」

「こいつ等流れの赤落ちみたいです。ソノーハ魔道国で赤落ちして、締め付けが厳しかったから王国に流れて来たそうですね。そして最初の仕事で運悪く私達に出くわしたと。」

「なんでこいつ等赤落ちになったんだ?」

「どうもソノーハ魔道国に居た時に、謎の人物から盗掘を依頼されて何度か行ったみたいです。その現場を押さえれてって事ですね。」


生かしておいた赤落ち達をリダに尋もゲフンゲフン、事情聴取して貰った。ふむ、謎の人物ねぇ。ストーリークエストに関わってきたりするのかね?ん?ストーリークエスト?


「はっ!!いかん!!時間を使い過ぎた!!メガネ達を待たせたままだ!!」

「ブリンガーのおかげで大分移動時間が短縮されてますから大丈夫ですよ。」

「想定していた時間の3分の1も過ぎていませんわ。」

「それでも向こうからしたらいつ来るかヤキモキするだろ?一応連絡入れとくよ。」

「でしたら城壁解除して貰っても良いですか?中から壁を壊そうとしているのか先程から音がしてますから。」

「おっと忘れてた。解除っと。」


城壁が地面に潜っていき、その中から現れたのは赤い髪のメイドさんと金髪のお嬢様っぽい人。後はこちらの事を厳しい目で見つめる執事さんに、壁を壊そうとしていたのか武器を手に取った兵士達だった。俺達の足元に転がる赤落ちを見て全員動きを止めている。さてと、ここでも身分に役立ってもらおうかな!!


「こちらは城塞都市ルド第5守備隊隊長のルドだ。そちらの所属と名前を伺いたい。」

「はっ!!お嬢様、あのバッジは守備隊の物で間違いありません。もう大丈夫です。彼らは味方です。」

「そうですか・・・。助けて頂き感謝いたします。私は国境都市ゴレオンの領主が娘。レイハ・カナキィ・ゴレオンと申します。」

「執事のブリックスと申します。主人を助けて頂き誠に感謝いたします。」

「メイドのアンジェリカです。アンとお呼びください。お嬢様をお救い下さり本当にありがとうございます。」


護衛の兵士達もそれぞれ俺達に向かって頭を下げている。それは良いんだけどなんでソノーハ魔道国の領主の娘がこんな所に居るんですかね?


「ゴレオンの領主のお嬢様がこんな所で何を?」

「ゴレオンにて王国から流れて来た赤落ちなる悪漢を処罰している事をお伝えする為にヤゴニャに赴いた帰りだったのです。」

「赤落ちの報告をする為に赴いて赤落ちに襲われるとは何とも因果な物です・・・。」

「ご安心を、襲って来た赤落ちは全て牢獄に送っておきましたので。」

「えぇ、大変助かりました。」


王国内で指名手配された人でも捕まえたのかな?どんだけ悪事を働いたんだかその赤落ちも。

 

毎回無断転載対策で以下の文を入れます。読み飛ばしても大丈夫です。無断転載ダメ!!絶対!!

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